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映画・演劇のレビュー

『アリス・イン・ワンダーランド』

2010-04-25 20:45:38 | 映画
 キネ旬の特集で見たティム・バートンの写真がなんだかクロム・モリブデンの青木秀樹さんとやけによく似ていた、と思ったのはきっと、僕だけだろう。もうすぐ、クロムの新作がまた、大阪でも見れて嬉しいな、なんて思いながら、ティム・バートンの新作を見る。本当は『第9地区』が見たかったのに、劇場に行ったら、1時間以上待たなければ、見れないので、あきらめて、アリスを見てしまった。

 もちろんティム・バートンが描く13年後のアリスの物語もとても見たい映画だったし、青木さんの顔を思い出しながら、えい、もう今日はアリスでいいや、と思い、切符を買った。本当は少し不安もあった。最近のティムははずれが多い。だいたい『チョコレート工場の秘密』(確か映画化タイトルは『チャーリーとチョコレート工場』)なんか最悪だったし。今回はきっとあのラインの作品だから、やばいなぁと心配しながら見た。しかも、ディズニー映画だし。ディズニーは昨年の『クリスマスキャロル』も失敗してる。あれはゼメギスなのに、である。今回もCGだらけの3Dだけの、つまらない映画なら、どうしようか、と考えれば考えるほど心配になってくる。

 もう3Dは飽きたので、2Dヴァージョンを見たのは、正解だった。このほうがちゃんと映画に集中できる。

 全体的にはなんだか甘い映画で、やはりディズニーはだめだわ、と思う。だが、さすがティム・バートンである。ただの甘いだけで、視覚効果だけの映画ではない。ジョニーデップはチョコレート工場同様ただの色物だが、アリスが主人公なので問題ない。19歳のアリスはもう子供ではない。だが、大人でもない。これは彼女が不思議の国を再訪し、そこで少女時代との決別を果たすまでのお話だ。

 不思議の国がもっとグロテスクな造形でもよかったのだが、さすがにディズニーなんで抑えてある。でもジョニーとか、ヘレナ・ボナム・カーターとか、相変わらず無茶苦茶してくれるから、笑える。お話は単純で、いささか退屈。途中居眠りしてしまいそうになった。だが、ラストの処理はいい。

 アリスがちゃんと現実世界に戻ってきて、しっかりと自分の生き方に落としまえをつける場面は爽快だ。ふっきれた彼女が周囲の大人たちを相手にまわしてきっちり勝負をつけるのだ。まぁ、話が上手くいき過ぎだ、とも思うがそれでもこのくらいしてもいい。

 アリスを演じた新人女優は、けっこうふてくされた感じで、ただのいい子ちゃんではないのがいい。つまらない美人ではないが、でもアリスっぽい、というなかなか難しいところをクリアしている。

 ところで、青木さんとティム・バートンなのだが、なんとなく2人はよく似てる。(もちろんそれは顔が、ではない)きっとお話されたら趣味が合うのではないか。

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