菓子屋というタイトルから食を巡る話だと勘違いしたのだろう。今回借りて来た食を扱う文庫3冊のファイナル。(これは食を扱わないけど)
川越(以前ふらふら歩いて楽しかった)が舞台だったり、古民家(好き)が描かれたり、広瀬斜子って名前(自分が広瀬だから、それだけで)が気になったりと、ここには読むべきいろんな(どうでもいいような)要素がある。それに読みやすそうで、移動中の軽めの読書用にちょうどいいと思って借りてきた。
そんな感じで、たまたま手に取った本だが、これがなかなかの作品でとてもよかった。必ずしも表紙のイラストのような軽い作品ではなかったけど。それに広瀬斜子って人の名前ではなく、織物だったけど。
主人公は家がしゃべる言葉が聞こえる人で、彼が家と話をするところから話は展開する。これはそんな不思議な物語。
しかもなんとこれはシリーズもので、これが第6作だということだ。しかも完結編だし。最後だけ読んでわかるかな、と思ったが、大丈夫だった。
古民家が生きてきた歴史を背負ってそこにあり、それを受け止める人がいる。家とのささやかな対話。家と人との淡い恋。そんなことがさらっとしたタッチで描かれていく。不思議だけど不思議じゃない。そんな一冊。