『あやし草紙』に続くシリーズ第2作。今回も妖怪探偵、折口信夫が謎の連続殺人事件を解明するミステリーは安心して見ることができる。
遺産相続を巡る諍い。横溝正史の金田一シリーズを思わせる。犯人は誰か、という推理ものになっている。寺田さんは自由自在にいろいろなタイプの芝居を作る。前回の『王征路』のような冒険もすれば、今回のようなエンタメもする。しかも妥協せずに自分らしく作ることができるから、そこには必ず「よろずや」らしさが刻印されている。
2時間のエンタメ・ミステリーは落ち着いたタッチで展開していく。ゆったりとした気分でこの世界を満喫できる。折口信夫と彼と共にこの屋敷に招かれた客人たちが、連続殺人の謎に挑む。それだけの作品で、お話には奥行きはないけど、今回はそんなことは気にしない。楽しい時間を過ごすことが大切。
次回はまた『オー・マイ・リョーマ』に挑むようだ。今度はどんなリョーマを見せてくれるのか、こちらも楽しみだ。