
今年のHPFは7月22日から8月4日まで、3会場で13本の芝居が上演された。なんと今回はその半分以上である7作品を見ることになった。依頼された最初の予定よりも多い。昨年はたったの2本だったから、これは大躍進だ。(余談だが初期の頃は、連日3本とかで、全体も20本くらいあり、そのすべてを講評委員は見ることが義務付けさせていて大変だった。でもあれはあれで楽しかったけど)今年、僕は時間に余裕ができた。そのことがこの躍進の大きな理由なのだが、僕を見たいという気にさせられる作品がたくさんあったことも影響したのだろう。そして、それらは作り手の本気が伝わってくる作品ばかりだった。
実際僕が見た7作品はいずれも完成度が高く、連日驚きの連続だったのだ。高校生だから、高校生なのに、といろいろ思うことがある。でも、この30年ほどHPFを見てきて、これだけ全体の出来がよかったと思えた年はない。毎回、とんでもなく困った作品も多々あった。それはそれでかわいいし、高校生だから、ね、と思ったものだ。でも、今回はそんなことを思うことが一切なかった。今年の高校生たちのレベルが高い、ということもあるのだろう。参加高校が絞られてしまい、そういうことになったのかもしれない。このコロナ禍で、それでもHPFに出たい、と思うだけの熱い思いがある集団しかエントリーしていないという事情もある。いずれの公演も客席は満席だった。作り手の熱気、それを受け止める観客側の熱狂。その相互作用が心地よい。ライブの楽しさがそこにはある。信頼できる舞台を提供し、それを満喫する観客がいる。そんな当たり前のことがなんだかこんなにもうれしい。
見ることができなかった6作品もきっと素敵な作品だったことだろう。今、甲子園では高校野球が連日行われているけど、大阪の高校演劇も凄いと改めて感心する。楽しい時間だった。