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映画・演劇のレビュー

金城一紀『レヴォリューションNo.0』

2011-04-26 21:58:15 | その他
 往復の電車1日で、読み終えることができた。なんともお手軽な小説。単行本1冊がこんなにも一瞬で読めるなんて、なんか詐欺見たいだ。それでも面白かったなら文句は言わないが、こんなぬるい小説では、納得いかない。まぁ、図書館で借りてきた本なので、文句を言う筋合いではないのだが、本屋で購入した人はきっと怒っているのではないか、と心配になる。でも読みやすいし、口当たりもいいから、喜ばれているのかも。まぁ、人それぞれなので、気になる人はまず、自分で読んでみてください。

 『GO』を初めて読んだ時の興奮は忘れない。こんな小説がとうとう登場したのか、と思った。とてもうれしかったし、感動した。金城の基本姿勢が好きだ。この小説だって、そういう意味では変わりがない。彼らしい小説だと言える。だが、これを読みながらなんだかなぁ、と思ったのは、自分のテリトリーで安易に書き流している気がしたからだ。ここにはまるで作家としての冒険がない。書き慣れた素材で、ちょこちょこっと書いて、はい出来上がり、って感じ。『レヴォリューションNo.3』の前日譚だなんて、いうのもなんだか気に入らない。

 おちこぼれ高校の問題児たちが、学校の生徒を生徒とも思わないやり方に反発して、学校側を敵に回して戦う、なんていう話なのだが、その話自身はそれでいいのだが、彼らの置かれている環境や状況があまりに紋切り型すぎて、これでは、この小説の描こうとする世界までもが、書割にしか見えなくなる。問題はそのへんにあるだろう。このシリーズは好きだが、今回のような何の可能性もないストーリーと、おざなりの展開には感心しない。


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