児童文学に分類されてもかまわないくらいに単純で誰にでもわかりやすい小説だ。「『しずかな日々』の少女版」と帯には書かれていたが、感触はまるで違う。あれは大人に向けての小説だったが、この幼い少女たちの世界はファンタジーのようなお話とも相俟って、児童文学と呼ぶのがふさわしい。まずこれは子供たちのための小説であり、それは大人たちにもちゃんと通用する。
ここには子供たちへの確かなメッセージが込められてある . . . 本文を読む
昨年の11月の末にひっそりと公開された瀬々敬久監督のこの作品は実はとても重要な作品だったのか、と改めて気づく。先日公開された最新作『友罪』は東宝系公開のメジャー映画なのだけど、こんなにも地味で重くて暗い映画がメジャー作品として公開されていいのか、と心配になるような作家主義の映画だった。商業映画としての妥協は一切感じられない見事な作品だ。スターを使いながら彼らの最高の演技を引き出し、自らの求めるテー . . . 本文を読む