習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『焼肉ドラゴン』

2018-06-25 21:52:59 | 映画
1969年から71年までの3年間のできごと。伊丹空港の横にあった朝鮮人集落の焼肉屋を舞台にしての家族の物語。最近見る映画はなぜかみんな家族をテーマにしたものばかりだ。たまたまなのだろうけど、なんだか不思議。これもたまたま昨日見たのだが、『月と雷』という映画もそうだった。壊れてしまった家族のお話。ひとりの女が、そこから再生していくまでの。(安藤尋監督作品だからDVDを借りてきて見た。)   . . . 本文を読む
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川上弘美『森へ行きましょう』

2018-06-25 21:50:51 | その他
人生という森の中で迷子になってしまう。ルツと留津。同じ時に生まれ別々の人生を歩む同じ女性のふたつの人生が交互に描かれていく。生まれる前から始まり、50年間が同じくらいのボリュームで描かれていく。同じ家で生まれて、でも、微妙に環境や状況が違って、母親が死んでしまった場合と生きている場合とか、誰と結婚するのか、しないのか、とか。人生の様々な局面での選択の違いが同じ人間をこんなにも変えてしまうのか。 . . . 本文を読む
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ももちの世界『鎖骨に天使が眠っている』

2018-06-25 21:39:16 | 演劇
久々に芝居を見てシビれた。劇場に入った瞬間からこれは本気に芝居だ、ということがビンビン伝わってきた。まず、舞台美術が素晴らしい。この狭い空間に的確に必要なものがちゃんと乗せられている。そこからはここで忌まわしいできごとが起きる予感がひしひしと伝わってくるのだ。通夜が行われているのは、ここではない。桐野家の父親の死から始まるこのドラマの舞台は、家の裏手に立てられたプレハブの前。ここは本編の主人公であ . . . 本文を読む
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遊劇舞台二月病『Delete』

2018-06-25 21:35:30 | 演劇
1年ぶりの新作だが、中川真一は変わらない。生真面目に「事件」に至る顛末を描いていく。だが、それはあまりに直線的すぎて、芝居は単調になる。そこがなんだかもったいない。もっと緩急が欲しいのだ。   とことん彼女を追い詰めていく。だが、事件の全容を描くのではない。そこに至る時間を丁寧に、貪欲に、追いかける。何が彼女をそうさせたのかに対して、作者の批評を加えることはない。事実を積み重ねるだけ . . . 本文を読む
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『終わった人』

2018-06-25 21:30:53 | 映画
これはコメディ映画なんだろうが、まるで笑えない。それが作り手の意図なのなら、救われるがそうではあるまい。このお話をシリアスに描いたなら悲惨な話にもなる。どういうスタンスで望むかが作品の成否にもつながる。中田秀夫監督はどっちつかずの映画にしてしまった。だから何がしたかったのかもわからない。悲惨だ。   定年を迎えた男がその日から先の時間をどうして生きるのかを描く。「終わった人」という定 . . . 本文を読む
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