あと3カ月で死んでしまうと宣告された青年が、残された時間をどう生きるのか、というこれまでも何度となく描かれたようなお話。なのに、こんなにも新鮮な映画になる。大切なことは何を描くかではなく、その語り口であることを改めて思い知らされる。主人公の青年を演じた野田洋次郎がすばらしい。自分に訪れた災厄を茫洋と受け止めて、自然体で生きる。暴れたり、もがいたり、見苦しいことはしない。では、諦念からか、というと . . . 本文を読む
第10回公演となる。区切りの1作。でも、ことさらそこを前面に出さない。チラシには書かれてなかったし。(当日パンフのアンケートを見て知った)安心して見ていられる。2時間の至福の時間だ。「音楽」と「物語」。その二つの融合する世界。変わらないスタイル。その中でいつも新しい世界紡がれていく。シンプルで、ストレート。でも、だからこそ、こんなにも心に沁みる。胸に届く。石井さんが心がけるのは、バランスだ。ふた . . . 本文を読む
久々の紀行文集。雑多な原稿を並べてある。でも、そこがとてもいい。旅をするとき、系統立ててする、なんていうのはない。行くところも、時期も、メンバーも、目的も、さまざまなものだろう。もちろん、彼の場合は仕事として、ということも多々あるはず。この原稿を書くことが目的で旅に出る、というのも。でも、基本的に、書きためたものを一冊にした、だけで特にそれ以外の意図はない。そういうのも、なんだかいいなぁ、と思う。 . . . 本文を読む
スケールの大きなソードアクションを期待したのだが、そうではなく、スタイリッシュで美しい映画だった。でも、あまりに単純すぎて、少し退屈する。こんなにもドキドキ感のない映画では2時間でもきつい。主人公4人の関係性(実際は3人でひとりは蚊帳の外だ)のみで、ストーリーを引っ張っていくが、それではさすがに世界が狭すぎてドラマには奥行きが生じない。
硬い誓いで結ばれた3人。だが、ひとり(イ・ビョンホン)の . . . 本文を読む