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とある地区の外れにある、おばんちゃ山。
お婆さんの腰が曲がっている姿から、そう言われていた。
今は雪を被って葉の落ちた木が一本立っているだけだが
むかし…私たちの小さな頃は、そこでよく遊んだものだった。
山といっても、こんもりとしたごくごく小さな丘なのだが
何故だろう…子供の頃は、とてつもなく大きな丘だったような気がする。
その丘の脇には、小さな小川が流れていて、水辺には何本かの桑の木があり
私たちは口の中を紫色に染めながら食べたものだった…。
また桑の実をポケットに入れて、ポケットに桑の汁がついて よく怒られもした。
そこに行けば、いつも誰かしらが居て遊ぶ事は事欠かなく
春にはタンポポの綿毛を飛ばし
夏には一本だけの、何と言う木なのか? 木陰で食べたトマト。
秋には丘の上で鬼ごっこをしたり、冬にはソリ遊びをしていた…。
シロツメグサの首飾りや冠、仲良しの友達との弁当持ち
ガキ大将に泣かされたり、雑誌を持ち寄って読んだ木陰
スカナ…(すかんぽ)に塩をつけて食べたりもした。
小川にはメダカやサワガニなどもいて、かっこうな遊び場になっていた。
注:すかんぽ=すいば【酸葉】:タデ科の多年草で原野や土手に多く見られる。
茎は往々紅紫色・雌雄異株・初夏に淡緑色の花が咲く。
若い茎・若葉はともに食用となり、蓚酸を多く含み酸味が強いのでこの名がある。
因みに、強烈に酸っぱいので私の所では「スカナ」と呼んで
若い茎の皮をむいて子供頃のおやつとした。
シュウ酸を含むので食べ過ぎるとよくないようだが
フランス料理ではよく使われるらしい。
子供の頃の思い出の、おばんちゃ山。
あの頃は高額なゲームや玩具などはなかったけど
誰もが暗くなるまで遊んで、夕暮れの中帰り道…懐かしいなぁ。
今はもう、帰りたいけど帰れなくなってしまった。
大人になって、あんなに大きかった丘もこじんまりとして
昔の面影も、子供達の遊ぶ姿も見られなくなってしまったけど
何時になっても子供の頃の思い出が、心の中のしこりのようになって残っている。