ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2016J1リーグ1stステージ第14節FC東京vsガンバ大阪@味スタ20160529

2016-05-30 23:07:22 | FC東京

皐月晴れに恵まれた東京の五月の空も、少しずつ雲が重なるようになってきました。

2016年のACLの冒険を終えた東京は、さらなるステップアップを期してリーグ戦の闘いに戻ります。

本日の対戦は、昨年チャンピオンシップ出場権を最終戦でさらわれたガンバです。なぜだか味スタでの相性がよく、2012年の昇格後は、ガンバが降格していた年をはさんで4連勝中。You'll Never Walk Alone♪

そして今年もジンクスは続き、遼一のヘッド一発で5連勝となりました。

東京はACL上海上港戦を目下のベストスタイルと見たのでしょうか。ほぼ同じ布陣で臨みます。大黒柱モリゲがサスペンションで不在。シフトは4-3-2-1。GKは安定感が出てきた秋元。今日のCBはまるとカズ。SBは拳人と徳永。3CHは右から羽生、秀人、ヨネ。WGは右に宏太左に慶悟。1トップは遼一です。

ガンバはパトリックと今野のコンディションが心配されましたけど、ベストメンバーです。シフトは4-2-3-1。GKは東口。CBは丹羽と岩下。SBは右に米倉左に藤春。ボランチは今野と秋。WGは右にアデミウソン左に宇佐美。トップ下に大先生。1トップはパトリックです。

サッカークラブがDNAを持つ生命体に成り得るとすれば、国内でその資格を得ているのは、プロレベルでは鹿島とガンバのみでしょう。サッカーの本質が何かは捉え方によってまちまちですけど、同じサッカーを志向するひと達が集まって、それを実現することを目的とする集団においては、その目指すサッカーのスタイルこそが本質なのだと思います。

今日のガンバは、実に本質的にガンバでした。

それはとても羨ましいことであり、クラブが迷走しそうな時に立ち戻るセーフティネットでもあります。ところが一方で、志向するサッカーによっては、危険な香りのする魔女にも成り得るんだなというのが、今日のガンバを見た率直な印象です。

2014年に優勝した時のガンバは、およそガンバらしくなく、4+4の2ラインをコンパクトに保つディシプリンの良く効いた守備を基礎に、奉仕精神豊かな前線からのフォアチェックを誘いに中盤高い位置でトランジションし、一気にパトリックあるいは宇佐美を単騎優駿、ショートカウンターを狙わせるサッカーを展開していました。当時は強いなあと思っていましたけど、同時にとっても気持ち悪くもありました。高度で確かな技術に裏打ちされた選手達が、その技術の披露を封印してまでモダンでステレオタイプなサッカーを実行すると、手に負えないほどの強さを発揮するんだなあと感心しました。

でもそれは、おそらくガンバの本質ではありません。2013年の途中から2014年のキャンプにかけて、健太さんはしきりに守備強化の話をしていたように記憶しています。降格したガンバを再興するために結果を残すことが使命だったでしょうし、それは選手達にも共有できていたのでしょう。でもそんなのガンバじゃない。ガンバは憎らしいほどに驕り高ぶる技術のチームじゃないとガンバとは言えない。

なんとなく予感がありました。最低限の(それでも三冠ですから凄いのですけど)結果を残した以上は、ガンバの本質に回帰するのは必然でしょう。おそらく他ならぬ健太さん自身が、ガンバのDNAを持ち合わせない身として、それを輸血してまでも至上のガンバスタイルを追及したいのだと思います。

ただし、これまで数多のチームが落とし穴にはまっていくのを目撃してきたぼくらは、傍目ながらガンバに不安のまなざしを注ぎます。手順を間違えれば2012年の二の舞も無いわけではありません。パトリックと東口を除くと、当時のメンバーがいまだに主力をはっていますから。

客観的に、今のガンバの編成を見ると、ストロングポイントを活かすサッカーはカウンターサッカーだろうと思います。丹羽、岩下(あるいはキム・ジョンヤ)、今野、大先生という強力な中央の守備陣がいること。そしてなんと言ってもパトリックと宇佐美です。とくにパトリックは、ロングスプリントを活かしたカウンターでこそ活きる選手で、言い換えると遅攻のなかではもしかすると活かされないキャラなのかもしれません。宇佐美も、ボールコントロールとシュートのクオリティは驚異的なのですけど、本来はハイスピードのなかでこそ活きる技術のような気がします。

今年ガンバは強力な補強を施しました。アデミウソンと淳吾です。アデミウソンは中央のハブ、淳吾は右サイドのクロッサーとキャラが異なりますけど、ともに中盤のゲームメーカーです。このことから、中盤のポゼッションを高めることで圧倒的に試合を支配するチームへの変質を目指していることがわかります。でも、淳吾はともかくアデミウソンも、実は縦に流麗な流れが起きているなかで活きるダンサブルな選手で、けしてスタンディングで映える選手ではありません。

ガンバがガンバらしさに回帰しているのは、もちろん自然の摂理だとは思います。ただ、三冠という極上のディナーを味わったチームで、しかもメンバーもほとんど変わっていませんから、2014年の闘い方をベースに技術を味付けする正常進化のアプローチをとってくるものと思っていました。ところが今の、少なくとも今日のガンバは、2014年の姿が影も形もありません。ともすれば2012年のガンバが見えさえします。もしかすると、風間川崎が見せるサッカーが影響しているんじゃないかなと思います。技術の連鎖をベースとしたサッカーで、おそらくその域に達した選手たちだからこそわかる羨望というものがあるのでしょう。そうだとすると、2014年のサッカーは極論すると封印したいほどの妥協的作品で、「わいらは川崎以上のサッカーでけるんやで」という気持ちが沸いても不思議ではないと思います。ただし、川崎が華やかさのみならず強さを身に着けたのは、ロマンチックにこだわらずリアリスティックな守備的なアプローチを取り入れた成果だと思います。ドラマチックフィナーレを保証する川崎劇場も、それまでの長い時間、守備を安定させているが故の産物です。

つまりガンバが北摂の貴婦人の如き華麗さを取り戻すためには、高速カウンターを、チャイコフスキーのしらべに乗って踊る優雅な舞に昇華させるべきだろうと思いますし、そんなふうに期待していました。東に吉本新喜劇のごとき川崎があれば、西にはタカラジェンヌに比するガンバあり、そんな構図をJで楽しめれば、対戦相手としてこの上のない至福だろうと思います。

ところがガンバのDNAは、こってこての大阪ソースのように濃厚なようです。本来大阪人はそれほどものごとにこだわりのない人種だと思うのですけど、ガンバにこれほどまでのスタイルオリジンの思想をもたらした要素にとても興味があります。おそらく本質的なガンバサポは、今ガンバが展開しているサッカーに、結果に納得はできないでしょうけど、サッカーそのものには「まあ、ええんちゃうん」と鷹揚に理解をしているだろうと思います。なぜならば、サポにもまったく同じ青と黒のDNAが育まれているから。

長々ガンバ讃歌を展開しましたけど、あらためてガンバのサッカーを概略すると、ショートスペースに対するアクションを連鎖させるサッカーだと思います。どの選手からでも有効な攻撃スイッチとなるパスを出せて、どの選手もハブになれて、どの選手もシュートを打てる。シュートに至るプロセスをリアルタイムに複数の選手が共有し、その意識がシンクロした時、ゴールが生まれる。そのライブ感たるや!。このサッカーは相手を選びませんし、どんな守備でアプローチされても優位性を持つことができるでしょう。実現すれば。

残念ながら今日のガンバは、目指すサッカーの意図は伺えるのですけど、およそ表現できていませんでした。原因はもちろん選手間の意識の連鎖ができなかったことにあります。とくにアタッキングサードから奥側にいるアタッカーが、東京守備陣のウィークポイントとなるスペースを見つけられなかったことが、パスの出し手にパスコースを見せられない要因になっていました。ゆえにガンバは、中盤で安易な横パスを繰り返します。技術のあるチームが陥る、最も危険なプレーである、ホスピタルな横パス。

とくに危険なのは、SBからボランチに返すパスです。もちろん、東京はそこを狙います。ガンバが2014年のアグレッシブな守備を忘れてフルゾーンのリトリートスタイルに終始したのに対し、東京の中盤はアグレッシブでした。まず前提に、ガンバの攻撃陣を機能不全にするために、4+3の守備網を敷きます。ガンバ同様にリトリートスタイルですけど、個々の選手の守備アプローチはとてもタイトです。かつ守備網がコンパクトですから、ガンバは中央に人を配置することができません。パトリックはともかく、大先生をトップ下に置く意図は、タイトゾーンでも基点を担えるからだと思うのですけど、大先生はついに、バイタルエリアを嫌ってサイド、極端には中盤の底に位置するようになります。なので、宇佐美とアデミウソンが頻繁に左右のポジションを入れ替えながら、ボールを持って仕掛けても、預け処がなく、そこから先に進めません。

ガンバの攻撃を止めると、安心して中盤でトランジションを狙ってアグレッシブなチャレンジを仕掛けます。狙いは前述の通りです。ガンバがホントに安易な横パスを繰り返すは、もちろんガンバが分かってないわけじゃなく、そうせざるを得ないように東京がサイドに追い込んだ結果だと思います。

トランジションしてからの東京の攻撃は、とてもシンプルでした。プランは上海上港戦から取り組んでいる高速サイドアタックです。パターンは左右でアシンメトリー。右はまるやヨネからダイアゴナルなロングフィードを藤春の背後に飛ばします。そこに宏太が走りこんで、ガンバが背走する流れのままクロスをゴール前に供給します。

一方左は、慶悟が基点になります。左右のゆさぶりで慶悟をフリーにしてボールを預けます。慶悟が引き付けている間に、タイミングよく徳永がオーバーラップします。右の徳永よりも左の徳永のほうが積極的なのは、阿修羅男爵の二面性が徳永にあるのではなく、東京の左SBの伝統だからです。なんとなく諒也に「東京の左」を見せているような気がしないでもありません。

ガンバのノラリクラリとしたリズムが試合の根底に流れつつも、東京が放つ高速サイドアタックがスパイスになった前半は、スコアレスのまま終了。

後半に入っても両チームの闘い方に変化はありません。リズムは相変わらずガンバが作っているのですけど、どちらかというとイニシアチブは東京が握っていたような気がします。ガンバ対策の守備が安定的にはまって、ガンバが確変する恐れも感じられなくなっていたのかもしれません。前半よりも、ガンバのホスピタルパスを狙った中盤でのトランジションのシーンが増えます。なので、東京がガンバ陣に攻め込む頻度が高まります。

とっても地味だけど、これほど作戦が一定の水準ではまり続ける試合はあまりないので、せっかくなら勝利で終えたいものだと思いはじめました。ただ、やっぱりガンバの中央は堅いです。網にかかるまでの寄せはとてもルーズなのですけど、一度ゾーンに入ると、今野、岩下、丹羽はさすがに1on1の強度が高く、そして心難いほど演技力があります。丹羽ちゃんは西のベストアクターだと思うのですけど、岩下が入ると、このコンビのクオリティはもはや新喜劇級。丹羽ちゃんと岩下が絡むと何かが起こる期待感が溢れます。

先に動いたのはヒロシでした。慶悟に代えて拓馬を同じく左WGに投入します。慶悟はACL同様攻守に走り回っていたので、コンディションを考慮したのだと思います。拓馬の役割は慶悟と同じで、徳永を引っ張り上げることですけど、幾分アタッキングサードでの独力突破も加味します。

すぐに健太さんが動きます。パトリックに代えて淳吾を右WGに投入します。アデミウソンがトップに上がります。アデミウソンはフィニッシャーではないので、高い位置で基点を作れるようにはなると思いますけど、アデミウソンを追い越して裏に抜ける動きがないと、なかなか1トップ有効にはならないと思います。

ヒロシが動きます。宏太に代えて広貴を同じく右WGに投入します。これも宏太のコンディションを考慮したのだと思います。ただ幾分攻撃パターンが変わります。広貴は裏に抜けるタイプではないので、右も広貴を基点に拳人を押し上げるパターンに変わります。バイタルエリアの基点が増えて、東京の攻撃リズムがさらに良くなります。

ヒロシが流れを一気に引き寄せるべく、続けます。羽生に代えて草民を同じく右IHに投入します。攻守のバランスよりも、ファイターアタッカーを入れることでゴリ押しのテイストを加えます。さらに、中盤で目立つ草民がガンバ守備網を引き付けることで、ヨネ、広貴、拓馬の前線の動きを活かす狙いもあったと思います。

流れのなかでは結果は出ませんでしたけど、前半から狙い続けた中盤でのアグレッシブな守備が、ついに奏功する時が訪れます。

80分。拓馬が今野に倒されて得た、広貴のFK。ペナルティエリアの外、中央やや左寄りです。FK獲得までアプローチが秀逸です。遼一と拓馬のチェイシングでガンバのプレーの選択肢を狭めます。このチャレンジで今野のホスピタルパスを誘い、拓馬がインターセプト。たまらず今野が警告覚悟のアーリーチェックでした。さて、ガンバはペナルティエリア外に一列横陣を作ります。ニアから大先生、丹羽、岩下、今野、藤春。対峙する東京も横陣で、ニアからファアにかけて幅広にシュートオポチュニティを作ります。ニアから遼一、カズ、ヨネ、拓馬、まる。やや離れ気味に拳人がいて、宇佐美が見ています。ニアにストーンで秋。この時点で、コアの横陣ラインでは、すべてのエリアで1on1のマッチアップが形成されます。ミスマッチのアドバンテージがありそうなのは、ニアの遼一vs大先生と、大外のまるvs藤春。広貴の選択はシンプルでした。左足で、大先生の頭をギリギリ超えるスーペルクロスを遼一に供給します。このクロスが二重に意味でスーペルだったのは、ギリギリ届きそうな高さとスピードだったので大先生がボールにチャレンジし遼一から離れたことと、丹羽がカバーのために遼一に寄せるにはこれまたギリギリ遠い距離だったことです。遼一は合わせるだけでした。広貴にとっても、これまでのプレー経験でもなかなか無いほどのクロスだったのではないでしょうか。東京1-0ガンバ。

これを受け、健太さんが動きます。大先生に代えて呉屋を右WGに投入します。淳吾がトップ下に回ります。大先生がらしくなく、タイトスペースを嫌ってフリーエリアに流れる選択をしていたので、致し方ないと思います。もしかしたら、パトリックと今野だけじゃなく、大先生もコンディションがイマイチだったのかな。

試合展開でよくあるパターンは、先制した東京が守勢に回って、耐えに耐える展開ですけど、今日に限ってはガンバ対策がバッチリはまっていこともあって、ガンバの攻勢がほとんど目立ちません。

健太さんがあがきを見せます。アデミウソンに代えて大森を右WGに投入します。淳吾がボランチ、呉屋がトップ下に回ります。1トップはなんと今野^^;。華麗なサッカーを志向してこだわり続けたあげく、最後はガテン系なパワープレーに頼ることになってしまいました。前線に怪我人が増えてきたこともあるのですけど、手詰まり感を打破する手立てが見当たらないことは、ガンバにとって辛い処だと思います。

ガンバのパワープレーも、東京の守備が安定し不安をまったく感じさせないまま、試合終了。東京1-0ガンバ。眠らない街♪プロポーズ大作戦♪遼一のシュワッチカズのシュワッチ

1stステージの優勝のチャンスはもはや無いので、2ndステージ優勝と名称が変わるリーグカップ初代王者に向けて、チームを軌道に乗せるチャレンジをしてほしいと思います。ガンバと180度違ってリアリスティックな方向に向いてる現状ですけど、これをもって2016ヒロシ東京の完成というわけではもちろん無いでしょう。どんぐりの背比べながらも粒の揃った選手たちですから、色んなやり方を試すことができると思います。カウンターベースの今の路線は間違ってないと思いますので、それを正常進化させながら、もっとゴールを取れるサッカーを見せてほしいと思います。

6月中旬からの怒涛の連戦を前に、次週はちょっとした休息です。心身ともにコンディションを整えて、リフレッシュして臨んでほしいと思います。次は初めてのアウェイ磐田戦ですでにワクワクしています。加賀さんルーツ旅もできるし。