ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2016ACLグループステージ第6節浦和レッズvs浦項スティーラーズ@埼スタ20160503 -おかえりなさい加賀さん-

2016-05-04 13:49:13 | 加賀さん

初夏らしく空ひと色に青く、爽やかな風薫る皐月。

結局4日に心配された雨も、夜のうちの嵐が吹き飛ばしてくれました。今日も晴れ。皆さまGWをいかがお過ごしでしょうか。

ぼくは、初夏の風に遊ぶ、風のなまはげに会いにまいります。

なかなか埼スタにも大原にもお邪魔できる機会がなくて、加賀さんにお会いするのは、1月のREDS Festa以来。

加賀さんご自身も今シーズンはまだ出場機会がなく、メンバー入りもACLのアウェイ2戦のみ。なんとなんと、ぼくだけじゃなく、レッズの加賀さんファンのみなさんにとっても、埼スタのマッチデーで加賀さんに会えるのは、今日が今年初なんですね。レッズサポで熱烈な加賀さんファンのsugo_mamaさんに、なんとなんと、ぼくの必須アイテムのがま口と巾着をプレゼントしていただきました。素敵なサプライズでびっくり(((o(*゜▽゜*)o)))。ママさん、ありがとうございます!。これからも加賀さんをよろしくお願いします。

加賀さんが怪我に悩まされるようになったこの3~4年の間、ファン心理から勝手に気にやみ続けてきました。ぼくはそれ以前の、チームの主力として活躍していた時代のことを肌感覚で知らないので、短いながらも加賀さんファンとしての日々は、これまでは心配しかありませんでした。

それでも、東京にいた頃に比べて、少なくとも長期間別メニュー調整を強いられるようなことはなく、2015年から年々、怪我の心配はしなくなってきました。

でも、選手のファンって欲張りなものですね。怪我している間はただただ、またサッカーを全力で楽しめるようになることを純粋に祈るだけだったのですけど、プレーできるようになったら今度は試合で観たくなるものです。

昨年は、GWの頃の時点で6試合の出場でしたけど、今年はまだゼロ。リーグ戦はスコッドにすら入っていません。今年、DFに航さんにイリッチさんと主力クラスが加入したので難しくなるなと覚悟していましたけど、さすがに辛いです。レッズの編成を考えたら仕方ないなと思う気持ちもどこかにあります。なので昨年は、とくに初夏から晩夏にかけて、個人的にはかなり憤っていたのですけど、今年は自然に受け入れています。

ひさしぶりにスタジアムで加賀さんを観ます。

出場する時の加賀さんは、とくにスターターの時は、普段クールなのに試合前にとても緊張しているのが伝わってきて、ナーバスな印象があります。そんな時の加賀さんにプロの姿を見ることができ、それでいてかわいくもあり、とても好きです。逆にサブの時は、試合前のアップの時は角も牙も収納していて、リラックスしている様子が伝わってきます。今日はみっちゃんとモリさんがサブに入っているので、よほどの展開にならない限り、出場は叶わないだろうなと思いました。観ているぼくも悔しいのですけど、でもどこか、加賀さんがスタジアムにいて姿を観られることに幸せを感じていました。

それじゃダメなんだろうけど。

これはサッカーとレッズへのある意味冒涜かもしれないのだけど、試合中もアップがはじまると加賀さんの姿を追ってました。前半は22分から3分間と終了間際の2分間、後半は50分から3分間、アップのためにベンチから出てきました。結局3回目のアップの直後に一気に三枚交代があって、今日の出場はその時点で無くなりました。3回目のアップの時点でユニフォームを準備していたのが、出場した三人と平忠さんだけだったので、その時点で分かっていたと思います。なんとなく雰囲気も伝わりました。悔しいだろうなと思って観ていたのですけど、那須さんの惜しいシュートの後に楽しそうに笑っていたので、納得はしてないだろうけど、ひさしぶりに埼スタのピッチにいることを今日は楽しんでいるような、そんな雰囲気がありました。なんか、ホッとしました。と同時に、やっぱりレッズは居心地がいいんだろうなと思いました。

ところが。

試合後のクールで穏やかなかっこいい表情を撮ろうと緊張して身構えていたら、ぼくのフレームに、こんな表情を届けてくれました。

「サッカーできなくてつまんねーよ」。

もちろん妄想です。妄想です。やっぱりサッカー小僧なんだよね。駄々っ子みたいにぶーたれてるように見える、こんな表情を初めてみました。

加賀さんは、いつも何か、新しいものを届けてくれます。

ただ加賀さんに会えたことだけに満足して、無意識に納得して、勝手にほっこりしてたぼくに、「こんなもんじゃねーよ」って言ってくれた気がして、ハッとしました。

うん、やっぱり試合で観たいです。その日、ぼくはスタジアムにいられないかもしれないけど、試合に出てほしい。今年も試合に出たって記録を、はやく観たいです。

加賀さんらしい演出にドキドキして、悔しさと心地よさを新たに、埼スタを後にしました。

そんなわけで、今日は加賀さんメインになっちゃったので、試合のほうはインプレッションだけ。前節でベスト16進出を決めた浦和ですけど、1位と2位ではトーナメントの対戦で違いがあります。結果は互いにPKの1点を分けあって、ドロー。浦和はグループ2位でステージ突破です。

試合当事者では無い門外漢ではありますけど、これについて意見しないとこの試合を綴る記事として成立しないので、まず最初に。試合後の浦項の一部選手の行為を残念に思います。人種文化を越えた世界共通のモラルとして恥ずべき行為です。サッカーの枠にとどまらずスポーツの常識に基づいて、浦項のチームとサポーターのなかで、自主的な反省が成されることを強く望みます。

浦和はターンオーバーです。ステージ順位がかかる大事な試合ですけど、リーグ戦が好調でしかも連戦ですので、無理からんことです。シフトはおなじみ3-4-2-1。GKは周作。3CBは右からイリッチ、那須、わたる。ボランチは陽介とカピ。WBは右に駒井左に梅崎。2シャドウは右に石原左にトシ。1トップはズィライオです。浦項のシフトは5-4-1。GKはキム・ジニョン。3CBは右からキム・ウォニル、キム・グアンソク、パク・チュンフィ。ボランチはキム・ドンヒョンとパク・ソニョン。WBは右にイ・ナムギュ左にカン・サンウ。2シャドウは右にイ・グアンヒョク左にチョン・ウォンジン。1トップはラザル・ヴェセリノヴィッチです。

基本的なシフトのかたちは3-4-2-1でシンメトリーですけど、その主旨は180度異なります。ごく一部にフォーメーションに限定したシステム論が好まれる傾向にありますけど、サッカーにおけるシステム論がそんな単純なものではないことを分かり易く伝えてくれた試合だと思います。ようするに、浦和は攻め浦項は守ります。あえて無理やりシフトで違いを表現するなら、前述のとおり浦和は3-4-2-1で、浦項は5-4-1です。

浦和を観るにあたって陥ってはならない方向があると思っています。それは選手個人を批判すること。浦和は、ミシャのサッカーイデオロギーに選手を当てはめるアプローチです。同様なアプローチをするコーチは多くいるのですけど、ミシャのそれはとても特異なため、そこにはめるパズルのピースとしての選手個々のクオリティ差が目立ち易いのです。ですから、試合のなかでのチームの好不調の理由を選手に求めたくなり易い特質を持っていると言っていいと思います。

ただそれは、あまりにも選手に酷な評価だと思います。ミシャの基本的なコンセプトは変わらないにしても、大まかな意図や細かな作戦は当然試合ごとに変わります。たとえば前線の組み合わせひとつをとっても、今年は忠成、慎三、ムトゥがベストセットのようですけど、試合によってトップは忠成と慎三を使い分けていますし、時として試合のなかでも変動します。なぜ忠成がトップなのか、あるいはなぜ慎三がトップなのか。ミシャとスタッフには明確なロジックがあると思うのですけど、観る側がその命題に取り組みことはまず無いでしょう。

ミシャが求める浦和のサッカーは、とっつきが難解で、慣れると明解で、さらに理解が深まると最終的にはよく分からなくなります。ミシャのサッカーはベースとして約束事があります。それを理解すればある程度浦和のサッカーを理解できたと言えるでしょう。ただ、そこから、いま目の前で起こっている事象を理解しようとすると、これはもう難解です。そこには、その日限定の意図と作戦、そしてプレイヤー個人のアイデアがあるから。ミシャのサッカーは、イデオロギーに選手を当てはめると言いましたけど、矛盾したことを言うようですけど、その究極は選手の個性の尊重にあると思います。

その個性の求められる度合いは、やはりポジションによって差異があると思います。サイドプレイヤーは、どちらかと言うと個人で勝負できる技術のクオリティが求められ、梅崎、宇賀神、タカ、駒井、わたるに共通するのですけど、アプローチの違いこそあれ基本的にはオラオラ系ドリブラーです。浦和の攻撃の本質はそこには無いのですけど、言い換えると浦和の攻撃を機能させる原動力はサイドにあります。まずサイドを征圧することが、浦和の優先事項です。

浦和の攻撃の本質は、言うまでもなく扇の要の1ボランチと前線の3人です。つまり中央。ここで求められる個性は、アイデアです。中盤の選手が持つべきアイデアは駒の動かし方。アタッカーのアイデアは連携です。もちろん中盤にはポジショニングとパスの精度、アタッカーにはアジリティというプレーそのもののクオリティが一定水準求められますけど、浦和のサッカーを成立せしめるのは、最終的には現場のアイデア、もっというとフィーリングの共通認識でしょう。

長々と今更ながらミシャ浦和のサッカーを振り返りました。ようするに、たしかに今日の浦和は策に乏しかったですけど、その因はターンオーバーした一部選手にあるのではなく、主力として出ている陽介、梅崎、ズィライオを含め、全員の組み合わせが作り上げたものなのだと思います。ミシャ浦和のサッカーは、言うなれば全国ツアーするロングランの舞台劇です。台本そのものは変わらないけど、その年その回のキャスト、お客さんやその土地、気候などの空気感がもたらす微細な差異が演出の最終的な味付けになる。サッカー自体にそのようなエッセンスがありますけど、ミシャのサッカーはとくにそれが顕著で、だからこそおもしろいのだと思います。

今日の浦和は、ふつうでした。正しく言うと、並。ふつう以上のクオリティを作り上げる個の要素に欠けていました。その原因は、主には浦項にあります。普段の浦項を知らないのですけど、少なくとも今日は守備過重だったと思います。まず5バックで最終ラインの幅にスペースが出来にくいかたちを作ります。そしてリベロを中心に5人が細やかにかつシステマティックに連動して、浦和にとって美味しいギャップを生み出してしまわないようにケアします。浦項はけしてフルリトリートというわけではありません。意識は間違いなくラインから後ろのケアにあったと思います。ペナルティエリアに入るまではラインを維持するゾーンを基本とし、ペナルティエリアに入ると、対峙する浦和の選手にマンマークでケアします。結局浦和は、最後までのこの浦項の守備システムを崩すことができませんでした。

前述のとおり、これはアタッカーだけの問題ではありません。サイドにも中盤にも原因はあります。今日は浦項のサイド守備がとても粘り強く、かつタイトだったので、駒井にしろ梅崎にしろイリッチにしろわたるにしろ、ドリブルでゲームメイクできません。これでは浦項のCBにサイドを意識させることができないので、浦和のアタッカーがよく見せる、ラインの間からひょっこり顔を出すパターンを作り出せません。加えて、今日は風の影響があって、クロスが安定しません。中盤でも、試合序盤は浦和が、今年のテーマである、トランジションされた直後のファーストディフェンスがしっかりできていました。それが次第に、浦項の中盤の圧力に押されるようになり、故に後半はカウンターの驚異にさらされます。

さらに、今日はサイドの選手がスルーパスで抜け出すシーンがほとんどありませんでした。つまり、中盤のゲームメイクでサイドに数的優位を作るかたちができていなかったということです。通常浦和は、守備を固められたとき、シャドウが中盤まで下りてきてゲームメイクに加わりますけど、基本的に前線で仕事をするタイプの石原とトシの組み合わせは、少なくとも今日は陽介とカピとのリズミカルなパス交換を生み出すまでには至りませんでした。観ていると、どこかそれは作戦だったような気がします。というのは、慎三が入って、慎三が意図して中盤に下がってゲームメイクするようになって浦和の攻撃リズムが生まれていました。慎三が良かったというよりかは、作戦変更の要素が高かった気がします。

守備に関しては、前半浦項が1トップでいた間は、ラザルがサイドにひとりで流れて基点を作るパターンだったので、ラザルのフィジカルに手を焼いた部分こそあれ、セカンドアタッカーには十分対処できていたと思います。ところが、後半から浦項がラザルとチェ・ホジュの2トップにして、3-4-1-2にシフトを変更してから、カウンターに苦しむようになります。浦和は攻撃時に2バック+1アンカーのかたちになりますので、浦項はマッチアップするかたちを作ったのでしょう。とくにカピと陽介に守備を意識させることで、攻撃の発動初点そのものの選択肢を狭めとようという意図だと思います。

浦和が慎三、ミツ、モリを投入して、さらに中盤でビルドアップ起点を作る作戦変更により、攻撃が機能します。でも、結果的にゴールに至ることはありませんでした。試合の趨勢を分けたのは、浦和にとって良し悪しはあれど、ジャッジでした。モリのオブストラクションもキム・ジュンスのハンドリングも明確ではありましたけど、イコライズの流れもなんとなくあったような気がします。もうひと押しが足らず、このまま1-1のドローで終了し、浦和はステージ2位で通過です。

時間を見つけて、今年も大原にお邪魔したいと思います。今年の加賀さんのサインは、昨年よりかなり大きく描いてくれるようです。ユニにサインもらわなきゃ。

笑顔で楽しそうな加賀さんに会えるといいな。