ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2016J1リーグ1stステージ第12節FC東京vsサガン鳥栖@味スタ20160513

2016-05-14 19:55:50 | FC東京

バラはバラは気高く咲いて バラはバラは美しくちる♪。

東京に華麗な季節がやってまいりました。

ひさかたぶりのミッドウィーク観戦は金曜ナイター、エキサイティングリーグJ!。

ミステルとの再会です。今日はフィッカデンティさんではなくミステルと呼ぶことをお許しください。つい半年弱前のわかれだったのですけど、なんだかもう懐かしくもあります。ミステルが残していってくれたことがいっぱいあるので、感謝の気持ちを込めた、お帰りなさいマッチです。本日のYou'll Never Walk Alone♪。本日のキャンドルサービス

ミステルが去り際に求めた課題レポートをきっちり提出して、ミステルサッカーらしい、おおむこうを唸らせる地味なドローで、再会戦1stレグは痛み分け。

東京はひさびさの勝利となった湘南戦を踏襲です。シフトは4-3-2-1。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは徳永と諒也。3CHは右から草民、秀人、ヨネ。WGは右に広貴左に拓馬。1トップは遼一です。

鳥栖はひさびさにベストメンバーです。シフトは中盤ダイヤモンドの4-4-2。GKは彰洋。CBはキム・ミンヒョクと谷口。SBは右に優人左に豊。アンカーは義希。メイヤは右にキム・ミヌ左にチェ・ソングン。トップ下は鎌田。2トップは翔平と大エース豊田です。

前述の通り、ヒロシは前節の闘いかたをトレースしました。前節はサラッと書いたのですけど、ヒロシ東京のシフトモデルは大きく分けて二つあるのだと思います。Aプランはもちろん4-4-2。そして秘めていたBプランは4-3-2-1。ヒロシが本来進めたいのは前者なのは明白。ではなぜこの時期に3センターを試したのか?。

この命題の答えはもちろんヒロシにしかわからないのですけど、あえて真実を問わず、サポが勝ってにいろんな解釈をしてみても楽しいと思います。自分は山崎豊子風なドロドロ人間ドラマで捉えてみました(^^;;。もちろんフィクションですよw。

現ヒロシ政権は、実質前政権の閣僚を基盤にして成立しています。なので、運営機関のなかには、脈々とフィッカデンティイズムが残っています。残っているというか、思想として根付いているかもしれません。試合後にコーチ陣がコンカさんと長ーく話し込んでいるのを遠目に見て、そんな妄想をしながらドキドキしていました。という前提を作ると、当然レトリックとしては、既得権益側のコーチ陣と改革派のヒロシの対立という構図を作ることができます。くどいようですけどフィクションですからw。

そこでなぜこの時期に旧モデルに回帰したのか、ですけど、これはヒロシの、ミステルの亡霊への挑戦状なのだと思います。ただヒロシもさるもの。旧体制へのただの当てこすりではありません。もちろん本家本元のミステル鳥栖に旧ミステル東京を当てて、負ければAプランをあらためて肯定する説得力になります。もし勝ったとしても、現在のコピー版ミステル東京は純然たるコピーではなく、ヒロシのアレンジが練りこまれた、源氏物語で言わばヒロシ本ミステル東京ですから、それも一つの作品。解釈の仕方で成果が異なることを証明することもできるわけです。

そろそろフィクションをやめますね(^^;;。でも、最後に言ったことはマジです。真面目ですし、第二次ヒロシ政権発足時から自分が願っていたことでもあります。シンプルに言うと正常進化。つまり、ミステルの守備システムを活かしたまま攻撃力を上げるという課題への答えです。

おそらくミステル自身の回答はよっちモデルの復活だったのではないかと思います。守備を前提とするチームの攻撃はカウンターが最良と仮定すると、当然速く長い距離を走れる圧倒的なスピードスターが必要になります。ミステル在籍時はもとよりポポさん時代を振り返っても、よっちをイレギュラーケースとして除外すると、東京の編成は必ずしもアタッカーにスピードを求めてきませんでした。この路線の本質がどんな志向に基づくのかはわからないですけど、もしかすると東京首脳とミステルの決別の原因はそんなところにあるのかもしれません。

これは鳥栖の翔平の起用と活躍がある程度証明すると思います。翔平は、豊田の周囲を衛星のように動き回ります。豊田との距離感を大切にし、豊田がフリックしたボールを追って裏に抜け出すシーンが何度もありました。翔平には技術的な華麗さはないのですけど、とにかく積極的にボールがあるところに絡み、貪欲に次のプレーポジションを探す動きを継続することに特長とストロングポイントがあるようです。ただ、もちろんアタッカーとして最も大事なことは、隣にいる大先輩が身近に示してくれています。

一方、ヒロシが仮説する答えはカウンターモデルではありません。よりコレクティブな崩しを志向しています。両者の合理性は、突き詰めるとどちらに正当性があるかわかりません。極論すると好みの問題。一般的にこの国のサッカーファンはカウンターを好みます。その意味では、興行的にはミステルの仮説に合理性があったでしょう。一方で元来の東京サポはセクシーフットボールを好みますから、東京コアを意識するならヒロシモデルがいいのかもしれません。ようするに、サッカーそのものにイデオロギーが確立されていない東京にとっては、どっちでもいいということです。

以上の妄想が正しいかどうかはさておき、ミステルがブレないサッカーをし、対するヒロシがにわかにやり方を変えたことで、まったく同じレシピの上に微細な味付けの違いがもたらす出来栄えの差異を確認できる、滅多にない機会になりました。しかも日本広しと言えど、この差異を楽しめるのは、両者を知る東京サポだけ。サッカーの楽しみかたは千差万別ですけど、そんなマニアックな楽しみかたが出来る機会は、長く見ていてもなかなか巡り会えるものではありません。

先に鳥栖を4-4-2と表現しましたけど、これはメイヤの個性を考慮したためです。実際は、4-3-1-2だと思います。と言いますのも、鳥栖は攻撃時と守備時でかたちが異なります。攻撃時はミヌとソングンがライン際に開きます。一方守備時はミヌもソングンも義希との間隔をタイトにし、三人が横並びになります。このことからミステルの基本的なサッカー感は鳥栖の編成でも変わってないことがわかりますし、安心しました。

ですから、鳥栖は守備を前提とした闘いかたです。4+3の3ラインをコンパクトに並べます。そして、ここからがミステルサッカーの特長のひとつです。前線の三人がボールホルダーに対してフォアチェックを仕掛けます。このアグレッシブな守備の意図は二つ。ひとつは東京の攻撃をサイドに押し出すこと。もうひとつは中盤でのトランジションです。

中盤の守りかたは、東京時代とはちょっと違う気がしました。東京にはヨネという個でボールを奪える稀有なMFがいますから、中央でタイトコンタクトを仕掛けてトランジションを狙います。鳥栖のそれはより確実性を高めるために、コレクティブなやり方を選んでいるようです。サイドにボールが出るとメイヤとSBで挟み込むようにゾーンを作って追い込みます。

東京時代との違いのディテールは、メイヤの動き方です。東京の場合はサイドはもっと内に絞って、アンカーとバランスを取りながら、主に中央で縦の動きを担っていました。鳥栖のやり方では、攻守の切り替え時にリスクが生じますし、攻撃でも中央に広大なスペースができるため、サイドチェンジ時のつなぎの難易度が上がります。この課題解決に取り組んでいるのは義希です。義希は中盤の底を左右幅広く動いて、攻守にカバーし続けます。それだけでなく、攻撃の起点として、CBと分担しながらパスを散らす仕事もこなします。正直鳥栖の中盤は藤田のイメージがあったので義希のクオリティの高さに驚きました。藤田ロスなど微塵も感じませんし、むしろ義希をブレイクさせるきっかけになっているのかもしれません。

鳥栖の攻撃はまずは中央突破を基軸にします。豊田のポストの落としを鎌田が拾って、鎌田から手数をかけず前線にパスを供給します。東京でトップ下を担っていた広貴よりも鎌田はいわゆるトップ下の色が濃いようです。鎌田のプレーエリアはバイタルエリア中央で、省エネな動きで自分のプレーエリアのスペースメイクをします。

これに対して東京の守備はミステル東京を忠実に再現したものです。エースに対してはエース。豊田にモリゲが、セットプレーを含めた要所で密着マークして、自由を許しません。中盤中央では、鎌田に対し秀人がマンマーク気味につきます。序盤は鎌田のスペースメイクの特長を把握しきれていなかった秀人ですけど、次第にアジャストし、鎌田を中盤に留めます。これでは鎌田は、一次基点には成れますけど、肝心のアタッキングサードの局面での仕事ができません。秀人も、のちに鎌田と代わるペク・ソンドンを含め、完封します。秀人は鳥栖の長いフィードに対し、CBの間に入って空中戦を担う場合があります。秀人をアンカー+リベロ的に使うことはミステルが始めたアイデアですけど、結果的に二試合連続完封につながる、守備の安定をもたらす要因のひとつと言えると思います。

さしもののミステル。中央を抑えられてもオプションがあります。鳥栖には、むしろ中央よりも年季が入った伝家の宝刀サイドアタックがあります。このサイドアタックはおなじみ左右アシンメトリーです。右はミヌのドリブルによる独力突破を基調とし、優人、翔平が絡んでサイド深くをえぐることを狙います。。一方左はソングンがやや下がり目の内側に位置し、豊を押し上げます。豊はソングンを追い越して高く位置取ります。ソングンを基点に、豊をフリーにする意図だと思います。

このワイドアタックは、東京がミステル東京をトレースしていることを利用する意図もあったと思います。秀人のところで述べた通り、東京の中盤はマンマーク気味になります。ミヌとソングンが開くことで、ヨネと草民をサイドに引っ張りだそうとしたのだと思います。つまり中央では、秀人vs鎌田。元ミステル東京の申し子vs現ミステルの教え子という構図です。ホントにミステルが意図したのかはわかりませんけど、今日の結果を導く要素のひとつになった対決だったと思います。

今日は、右では攻撃時に草民をバイタルエリア近くまで上げて攻撃に絡ませていて、左では諒也に何度もパスを回します。ミステル東京をトレースするなか、昨年までとの違いを生み出すキーマンとして、昨年まではプレー機会があまりなかった草民と諒也を推すことで、味付けの工夫を強調したかったのかもしれません。でも皮肉なことに、鳥栖から力づくでイニシアチブを奪った原動力は、中盤での秀人とヨネの対人コンタクトの強さと、広貴のトリッキーなボールキープ力であり、遼一の二、三人引き付けるポストの粘りでした。つまり、出来栄えの鍵は基本レシピだということだろうと思います。ちょっと惜しかったなと思うのは、ミステル東京モデルに回帰するのが遅かったことです。今年をヒロシのオリジナルでスタートするのではなく、ミステル東京の延長線上でアジャストしていれば、今日はもっと違いが鮮明に見えたかもしれません。

そんなわけで、中盤を制した東京がイニシアチブを握ります。ただ、こういった時の対応力は、さすがミステルです。鳥栖は守備モードを持っていました。フォアチェックを控え、4+3+3の3ラインの守備網を作ってリトリートします。東京はサイドである程度ボールが持てますし、イーブンボールも拾えます。でもペナルティエリアのなかで、なかなかフリーになる状況を作れません。鳥栖は、最終局面で人数をかけて守り、とくにペナルティエリア内でSBも絞る守備網はとても強固です。守備時に選手同士が話す声が聞こえてきます。コミュニケーションを取り合って、試合中に起こった課題を現場で対処しようとしているのが伝わってきました。この点でも、ミステルのチームらしいなと思いました。前半はスコアレスのまま終了。

両チームとも前半の闘いかたをおおむね評価したのか、後半開始もとくにアジャストはありません。これも、互いに守備を前提にしていることの現れでしょう。東京はたしかにシュートアテンプトが少ないのですけど、中盤は圧倒的に支配していましたし、シュートに至るプロセスも、左右のサイドアタックに、細かくスペースを狙ってつなぐ中央突破もバランスよく展開できていました。惜しいシュートもあって、ほんのちょっとのアジャストでゴールが入るようになるような気がします。ちょっとしたタイミングのずらし方とか、連携の強化とか。

プロセスのなかでちょっと気になったのは、拓馬と諒也の連携です。ポジションチェンジで広貴が左に回ったときに、とても諒也がやり易そうにしているように感じました。現れは攻撃参加のタイミングです。拓馬と諒也はよく話していますけど、どうも拓馬がボールを持ったときの諒也の思い切りが無くなってしまう印象があります。

さて、先に動いたのはミステルでした。鎌田に代えてペク・ソンドンを同じくトップ下に投入します。ここ最近はソンドンがスターターで入ることが多いので、チームに違和感はなかったと思います。ただ、鎌田と違ってソンドンは広範囲に動くので、攻撃の組み立てにすぐに絡めるのかなと思いました。

さらにミステルが動きます。翔平に代えて富山を同じくトップに投入します。これは翔平のコンディションを考慮したのだと思います。

直後、ヒロシが動きます。広貴に代えて宏太を同じく右WGに投入します。こちらも広貴のコンディションを考慮したのだと思います。広貴は広範囲に動き回っていましたし、攻守にコンタクトを辞さない粘り強いプレーを見せていましたので、攻撃スイッチを押す重要な役割を担っていましたけど、交代は致し方ないと思います。宏太も、楽しみにしていただろう古巣との対決ですから、期するところはあったと思います。

ヒロシが続きます。草民に代えて拳人を同じく右IHに投入します。これも草民のコンディションを考慮したのでしょう。それに、ミステルが育てたシューターを投入することで、鳥栖に様々な脅威を与えようという意図だと思います。

ヒロシが立て続けに矢を放ちます。遼一に代えて相太を同じくトップに投入します。遼一は、豊田が東京守備陣に手を焼いたのと同様に、ポストだけでなく仕切りに裏を狙いますけど、ミンヒョクと谷口になかなか自由を許されません。トップを代えることで、この流れを変えようという意図だと思います。

連敗中ということもあり、ミステルは勝点1を九州に持ち帰ることを優先したと思います。とくにソングンがバランスを意識したポジショニングをはじめ、リスクを極力抑える選択をするようになります。

一方ヒロシのほうも、守備前提のビジョンを最後まで崩しません。安定した守備陣形を維持し、対人コンタクトも集中し続け、鳥栖がゴールに迫ることを許しません。

終了間際にアクシデントが起こります。セットプレーのゴール前でのコンタクトで富山が負傷します。スクランブルで菊地がアンカーに入ります。同時にシフトを4-3-3に変更します。ミヌが右WG、義希が右IHに回ります。

ホームで勝利を臨むスタジアムの空気に、最終盤東京が猛攻をしかけますけど、シュートが遠かったです。ボールを持ててもシュートに至れないことは、シュートコースを塞がれていることですから致し方ありません。でも、シュートコースに入られる前にシュートを打つモーションの速さを身につけることで、シュートアテンプトの向上につながるでしょうし、視野の広さ、フェイントや動きかたのバリエーションも増えると思います。個々の選手で取り組んでほしいと思います。スコアレスのまま試合終了。東京0-0鳥栖。アジアの純真♪

というわけで、課題レポートは提出しましたけど、学位の取れる論文になるまでには至りませんでした。結果的にイニシアチブは東京が握り続けましたけど、これは、互いにガチファイトを挑むなか、選手のクオリティの差が強調されたかたちになりました。

とは言えその差異は極めて小さく、ゴールという最善の結果に結びつくほどの威力ではないということもわかりました。つまり、ミステルがミステルサッカーに課した宿題は、いまだ誰も答えを見いだせないままです。この魅力的なミステリーに取り組む権利を持つことは、サポーターの特権かもしれません。再戦は7月。

あらためて、願わくばミステル東京への回帰からのリスタートに、これからも取り組んで欲しいと思います。さっそく次のACLベスト16で確認できるかもしれませんね。楽しみです。