美術館の真髄「上階」へ足を運ぶ前に、彫刻、装飾芸術を中心に展示されているリール・テラスを覗いた。
第72室には象徴主義などの絵も展示してい、19世紀末から20世紀前半にかけて活躍したフランスを代表する後期印象派・ナビ派・親密派の画家ピエール・ボナールの 「クロケットの仲間」が印象に残った。
また、彼のシルクスクリーンの作品 「庭園の女」は、当初一枚のものだったのだそうだが、作者自身の手で四枚に切られ、一枚ずつ額装されていた。
♪ 「クロケットの仲間」(左)と四分割された「庭園の女」(右)
♪ 平面的、装飾的な構成はセザンヌと日本絵画の影響を受け、極端に縦長の画面は掛軸の影響とも
♪ ただ、暖色を主調にした華やかな色彩表現は彼独自のものとされている
その後、この美術館の主役、印象派と後期印象派の実力派の主要作品が実力を競う「上階」へ向かった。
最初に登場するのは小学校の図画の教科書で最初に出会った画家ポール・セザンヌ。
後期印象派にして近代絵画の父と呼ばれ、20世紀絵画の扉を開いたともされる画家である。
♪ まず目に入ったのは、やはり一連の静物画
♪ 傑作「静物‐リンゴとオレンジ」(左)「台所のテーブル‐籠のある静物」(中)「たまねぎのある静物」(右)
♪ 対象物があり得ない角度、視線で描かれていて面白い
セザンヌは、当時有名な批評家ギュスターヴ・ジェフロワに、「僕はリンゴでパリを驚かせてやりたい」と語ったとする逸話があり、ほぼ同時期に描かれたこれらの絵は、対象を写実的に描くのではなく、対象から感じられる雰囲気や内面を、異なる角度、視線で見つめ描いたとされている。
♪ 初期の最も重要な作品のひとつ、「オーヴェール・シュル・オワーズの首吊りの家」
♪ 「カード遊びをする人たち」
♪ 当時、強く関心を寄せていた労働者階級の人々をモデルにカード遊びに興じる人々を描いた連作的作品
♪ 現在5点が確認されているという
無視された遠近法的表現、複雑で分裂的な空間構成など、独自の手法を用いることで、現実では決して目にすることのできない造形の世界として、その芸術性を高めているとされる。
Peter & Catherine’s Travel Tour No.447