日本列島は寒波に包まれ冷え切っているけれど春はもうそこまでという時期だった、東北三県の沿岸部を大津波が襲ったのは。
その日、カタリナ は稽古、一人で本を読んでいたら、高層ゆえにゆっくりとした揺れが震源地から遠く離れた関西にまで届き、思わず腰を浮かした。
慌ててTVをつけて暫く、わが目を疑う無残な光景が画面に流れた。
その大震災から早いもので一年になる。
過日の朝日新聞に、「短歌が受け止めた震災」という記事が載っていた。
朝の食卓で、朝日歌壇の11年の年間秀歌に選ばれたそれら幾首かを目にして涙した。
ランドセル負いたる遺体抱きしめて自衛隊員泥沼の中 (浦安市・白石美代子さん)
この震災では、いたいけない子供も多く犠牲になった。
大地震の間なき余震のその夜をあはれ二時間眠りたるらし
(仙台市・坂本捷子さん)
間断なく続く余震、一年経った今でも震度5クラスの強い余震があるという。
わが町はチェルノブイリとなり果てし帰るあてなき避難民となる (福島県・半杭蛍子さん)
その地震に追い討ちをかけるように起こったフクシマの原発事故。
昨年12月、野田政権は冷温停止宣言を出したが、それ以降も事故が次々と起こっていると聞く。
子供やこれから出産を計画する夫婦など、山も川もそこにある木々や草花も、見た目は以前と少しも変わらなくとも、透明の物質に汚染されたわが町を思えば、幾ら除去して安全だと言われても、帰宅に身も心も怯むのは当然だろう。
記事の最後に、朝日俳壇選者の長谷川櫂氏が震災直後にこんな歌を詠んだとあった。
日本列島東国はいま死に瀕(ひん)し西国はそをうち伏して嘆く
弥生・三月、梅や桜は美しく咲いても、東日本大震災や阪神淡路大震災、フクシマやJR福知山線事故、多くの人が犠牲になったこと忘れまじ。二月のブログに彩を添えた藪椿、紫陽花、紅梅に木瓜。
Peter & Catherine’s Travel Tour No.441
福島の水はきれいと思いしがフクシマとなり水を買う日々 (2月20日・朝日歌壇 / 郡山市・昆キミ子さん / 高野公彦氏選)