某月某日の某TVの料理番組、メニューは「春野菜のかき揚げ」。
菜の花と蕗の薹と春キャベツに定番の人参を彩に加え、油で揚げてウスターとお好みソースを合わせたタレと山椒塩のどちらかで食べるのだそうだ。
見るともなしに見ていると、ゲストが揚げたての天ぷらを頬張りながら、料理人への世辞か知らぬが口を揃えて「美味しい!」と、陳腐に褒めていた。
まさか涎は垂らさなかっただろうけど生唾ぐらいは飲み込みながら、呆け顔で番組を見ていたかも知れない。
何せ、入院中は当然のこととして、退院してからも一体何日、油もんを食っていないのだろうか? 大袈裟だが、何時食べたのかも思い出せないほど。
その悪夢? は、ふたりして受けさせられた退院前の栄養指導会に始まる。
その時の教えを、まるで中世の修道女のように頑にお守りになる誰かさんのお陰もあって、天ぷらやとんかつは言うに及ばず、カレーライスにコロッケにラーメン、マグロにウナギ、五目飯に寿司、果ては生の果物まで、高脂と繊維質の物は悉く、避けたい食べ物のリストにあったと言い張る。
それを承知で食べさてと懇願すれど、「腸閉塞になると七転八倒だよ、最低でも術後二月は駄目!」と冷ややか、今や完全に油切れ、術前に比べて10キロ近くも体重が落ちてしまった。
腹腔鏡下手術だと食事制限もそんなにもないのだろうが、なんせ、ばっさりと腹掻っ捌かれたうえ、油の抜けた病院食にようやく馴染んだのが退院の数日前という食の細さ。
厳格な修道女さんがいなくとも、このダイエット状態?は必然だったのだろうけど。
で、はしたなくも吾知らず指咥えて? TVの料理番組を眺めていたような訳・・・、お陰様でとも言おうか、直立すれば己が腹が邪魔して爪先が隠れるほどのメタボ振りも、すっきりとしてきたのも事実。
入院中、200近くの高血圧が下がらず、内科の外来診察を受ける始末。
その際、境界型糖尿病と脅かされたこともあり、「よしこの際、油を断ってこの体重を維持すべい!」と決意したまではいいが・・・、やっぱ食いたいよなあ、昔ながらの洋食屋さんのビーフカツレツ!
で、“ 元の木阿弥 ” メタボに戻るのも時間の問題?
Peter & Catherine’s Travel Tour No.443