カラヴァッジョの傑作に出会うために、氷雨のベルリン、ハッケシャーマルクト駅(上)から通勤客で混む郊外電車で40分ほどのポツダムに行った。
エルベ川の支流や湖からの風が強く、横殴りの雨が降る駅前からバスに乗った。
市街地を抜け広い雑木林の公園をバスは走るもの、降りるべきバス停が分からず運転手氏に訊くと 「ドライ」と言う。
三つ目らしいが殆どノンストップのため役に立たず、再度、彼女が訊けば、後ろを指差し 「ツヴァイ」、なに!ふたつ戻れ。
慌ててバスを棄てたのがポツダム大学の前、大学生に交じり10分ほど待って逆行きに乗ったが、今度の初老の運転手氏は親切で 「ここで降りろ」と教えてくれた。
プロイセンのフリードリッヒ大王の夏の居城・サンスーシ宮殿、ここの絵画館に目指す傑作 「トマスの不信」(下)は、ある筈だった。 ()
絵画館のチケットを求めたところ、女性係員から 「今の時期、絵画館は冬休みなのよ」と言われ 、えっ、どうして?
ペトロは 「確か、地球の歩き方に、“ 5月から10月は絵画館の見学料込みで12ユーロに値上がりする ” とあった」と、何だか頼りないことを言う。
後で読み返せば、この期間以外は休みと読めないこともないが、これを休館と読ますには少し無理があるようにも思える。
案内書を鵜呑みにせず、インターネットなどで直接調べなければ駄目だと改めて学習した。
件の係員、呆然とする私たちに 「何枚?」と尋ねるが、ふたりともサンスーシ宮殿には関心がなく 「ノーサンキュウ」と踵を返すと 「まあ、呆れた!」とばかり肩をすくめられてしまった。
本館は開いているのに付属する絵画館が冬休みなんて考えられないことと、憮然とバス停に向かった。
さすがに気の毒と神様も思し召したのか雨は上がっていた。 ()
ベルリン郊外、森と湖の静かな町ポツダム、ふたりはこの町で、こんな半日を過ごした。