ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

続・カッセル美術館 ‐ えっ、どうして?

2009年06月10日 |  ∟ドイツの美術館

 カッセル美術館、正式には「ヴィルヘルムスヘーエ城・古典絵画館」、オランダ絵画黄金期の画家レンブラントの傑作 「横顔のサスキア」「ヨセフの息子たちを祝福するヤコブ」「自画像」などの所蔵を誇る。。

 まずは、「横顔のサスキア」から。
 レンブラントは、1634年に裕福な美術商の娘サスキアと結婚、42年に死別するまでの期間は彼の芸術活動において自信と気力に満ちた期間であったとされている。
 ほぼ同時期に描かれた本作は、まさに彼にとって幸福の絶頂期に描かれた作品とされ、細部に至るまで実に細やかな色使いが見られる。

    

 続いて 「ヨセフの息子たちを祝福するヤコブ」、主題はヤコブの祝福。
 臨終のヤコブは長幼の序列を無視、長男のマナセではなく次男のエフライムを祝福、ヤコブの息子ヨセフが慌てて父親の手を置き変えようとするがヤコブはそれを拒み、「いや息子よ、分かっておる。私の子よ、私には分かっている」と言う場面。

 聖書は、ヤコブが間違えたのでなければ、勝手な意志によって祝福がされたのでもなく、“ 神の意志で行われたのだ ” ということを伝えているが、彼はそのことを深く理解し本作を描いたとされている。

 29年に描いた「自画像」は、前年に描いた「自画像」(アムステルダム国立美術館蔵)と殆ど違わない。

 館内の小さな展示室に、彼にしては46 x 69cmの小品、「猫のいる聖家族」も架かる。
 
子を抱きしめる母の姿に「愛と優しさ」が見てとれるこの作品、寓意性を意図したのか、それとも当時流行したというトロンプルイユ・騙し絵的な要素を取り入れたのか、赤いカーテンが描かれている。

   

 ところで、余り笑えない笑い話があった。
 本作、光と影の魔術師と呼ばれるレンブラン トに違わず陰影が深いうえに表現が細かく見辛い。
 目を凝らして鑑賞していると急に部屋が明るくなった、で、私たちのため照度を上げてくれたのだと暢気に喜んでいた。

 ところが、係員が飛んできて「離れろ!」と厳しい顔で言う、作品に近づき過ぎたために警報システムが機能、部屋を白日の様に明るくしたらしい。
 苦笑いで、「ソーリー」と伝え、そそくさと絵から離れたものの、彼のブラック・リスト?にノミネートされたようで、その後暫く視野の片隅に彼の姿が見え隠れし閉口した。

 ※ 「カッセル美術館 ‐ 雪の町で」へは、<コチラ>からも入れます。

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