旧暦、水無月と呼ぶ6月は、快晴の夏日で始まった。
この時期、「蒼翠にして山滴る」(臥遊録)という。
六甲山の東端、甲山の裾辺りに大池があって、池越しに眺める山は蒼く、翠が滴り、水辺で野鳥が遊ぶ。
水無月の由来は、文字通り梅雨が明けて 「水がなくなる月」だからとされるのが一般的な解釈とか。
古文では 「無」を 「の」と読み、「水の月」とするのが正しいとする説もあると聞く。
これは、旧暦11月の神無月と同じで、やおよろずの神々が出雲に集まるため「神がいなくなる月」の他に 「神の月」とする説もあり、考えの根本は同じ。
衣更えは、季節の移ろいに応じて衣服を改め、そのために収納を見直し梅雨の晴れ間をぬって虫干しをする生活の知恵。
昭和の初め頃、今ほど環境も悪くなかったのだろうが、勤め人は謹厳に麻の背広にネクタイを結んだと聞く。
また、和服は袷から単衣に、さらに、紗や絽に替えたとか。
お上が主唱するクールビズとは趣を異にし、風情もありなにやらおくゆかしくもある。
梅雨、何かと鬱陶しいものの、この月にはやはり 「雨」と 「紫陽花」が似合うようだ。