◯ Drugs Dangerous!! 特に慎重な投与を要する 薬物のリスト 一般名

2018-02-25 07:18:44 | fuckin Health & Med. 最先端. 健康と医学

2018-02-25 07:18:44 日本医師会

 

 

#薬物有害事象と多剤併用 加齢に伴う薬物有害事象の増加と要因

高齢者は若年者に比べて薬物有害事象(※1)の発生が多い。急性期病院の入院症例では、高齢者の6~ 15%に薬物有害事象を認めており、70歳以上は60歳未満に比べて1.5~2倍の出現率を示す。高齢者の薬 物有害事象は、精神神経系や循環器系、血液系などの多臓器に出現し、重症例が多いことが特徴である。ま た高齢入院患者の3~6%は薬剤起因性であり、長期入院の要因にもなる。 高齢者における薬物有害事象の要因の多くは、高齢者の疾患・病態上の特徴に関連する。特に、薬物動態 の加齢変化に基づく薬物感受性の増大と、服用薬剤数の増加が有害事象増加の二大要因である。 表1 高齢者で薬物有害事象が増加する要因 多くの因子が高齢者における薬物有害作用増加に関連しており、表にまとめた。そのうち最も重要なのは 薬物動態の加齢変化に基づく薬物感受性の増大と、服用薬剤数の増加である。 疾患上の要因 ● 複数の疾患を有する→多剤併用、複数科受診 ● 慢性疾患が多い→長期服用
● 症状が非定型的→誤診に基づく誤投薬、対症療法による多剤併用 機能上の要因 ● 臓器予備能の低下(薬物動態の加齢変化)→過量投与 ● 認知機能、視力・聴力の低下→アドヒアランス低下、誤服用、症状発現の遅れ 社会的要因 ● 過少医療→投薬中断 多剤併用の問題点 高齢者は多病のために多剤併用になりやすい。老年科外来の多施設調査では平均4.5種類、レセプト調 査では70歳で平均6種類以上服用していた。多剤併用の問題は、薬剤費の増大、服用の手間などを含む QOLの低下、そして、最も大きな問題は、薬物相互作用および処方・調剤の誤りや飲み忘れ、飲み間違いの 発生確率増加に関連した薬物有害事象の増加である。有害事象に直接つながらなくても、多剤処方に起因 する処方過誤や服薬過誤は医療管理上問題である。

 

※1 薬物有害事象(adverse drug events):広義の副作用。薬物アレルギーなどの確率的有害事象のほかに、薬効が強く出すぎることで起こる有害 事象や血中濃度の過上昇による臓器障害も含む。 高齢者が
多剤併用になる
理由 大学病院老年科外来の調査では(Suzuki Y, et al. Geriatr Gerontol Int 2006)、65歳以上で平均4.5種類服用していたが、一疾患当たりは 平均1.3種類で、加齢変化はなかった。加齢とともに併存疾患が増える こと、それぞれの疾患治療ガイドラインに従って効果不十分の場合に薬 剤が増えることが、高齢者での多剤併用の主因である。さらに、複数の診 療科・医療機関の受診も多剤併用の原因となるため、医療者間の連携や 患者啓発が求められる。

 

#2 多剤併用による
薬物有害事象の発生リスクと基本対策 多剤併用(polypharmacy)の定義 何剤から多剤併用とするかについて厳密な定義はない。しかし、高齢入院患者の薬剤数と薬物有害事象 との関係を調査した報告によると、6種類以上で薬物有害事象の頻度は特に増加していた(図1)。この結果 と高齢者の処方実態から考えると、6種類以上を多剤併用と考えるのが妥当であろう。ただ、3種類で問題 が起きることもあれば、10種類必要な場合もあり、本質的にはその中身が重要である。 薬物有害事象の頻度 東大病院老年病科 入院データベース(n=2412) 図1 多剤処方と薬物有害事象のリスク 20(%) 10 0 1~3 4~5 6~7 8~9 10以上 薬剤数(種類) (Kojima T.et al:Geriatr Gerontol lnt 2012;12:761-2. より引用) 多剤併用への対応 減薬による病状悪化もありえることから、多剤即減薬ではなく、症例毎に病態と生活機能、生活環境、意 思・嗜好などから総合的に判断することが重要である。その上で、多剤併用を回避するためには、(1)予防 薬のエビデンス(2)対症療法の有効性(3)薬物療法以外の手段(4)処方薬剤の優先順位にもとづいて、 各薬剤の必要性を再考してみることを勧める。特に処方薬剤に優先順位をつけて、必要性の低いものを中 止する努力が最も求められる。 薬物動態からみた対処法 高齢者では、薬物動態の加齢変化により半減期 (t1/2)の延長、最大血中濃度(Cmax)の増大が起こりや すい。よって投薬に際しては、高齢者の薬物動態の特 徴を考慮して、少量投与(成人常用量の1/2~1/3)か ら開始し、徐々に増量するなど、処方量を調節する必 表2 薬物動態からみた対処法 最大血中濃度の増加→投与量を減らす 半減期の延長→投与間隔を延長する 臓器機能(腎、肝)の測定 血中濃度の測定 ● 少量投与から開始する ● 長期的には減量も考慮 要がある。

 

 

 

 

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(※1)クラスまたは一般名(※2)すべて該当の場合は無記載(※3)すべて対象となる場合は無記載 薬物(※1) 代表的な一般名(※2) 代表的な

商品名 対象となる 患者群(※3) 主な 副作用・理由 推奨される使用法 エビデンス の質と 推奨度 抗精神病 薬全般 定型抗精神病薬(ハロ ぺリドール、クロルプロ マジン、レボメプロマ ジンなど) 非定型抗精神病薬(リ スペリドン、オランザ ピン、アリピプラゾー ル、クエチアピン、ペロ スピロンなど) 定型抗精神病薬 (セレネース、ウイ ン タ ミ ン 、コ ン ト ミン、レボトミン、 ヒルナミンなど) 非定型抗精神病 薬(リスパダール、 ジ プ レ キ サ 、エ ビ リファイ、セロクエ ル、ルーランなど) 認知症患者 全般 錐体外路症状、 過鎮静、認知 機能低下、脳 血管障害と死 亡率の上昇 非定型抗精神 病薬には血糖 値上昇のリス ク 定型抗精神病薬の使用は できるだけ控える。非定型 抗精神病薬は必要最小限 の使用にとどめる。 ブチロフェノン系(ハロペ リドールなど)はパーキン ソン病に禁忌。 オランザピン、クエチアピ ンは糖尿病に禁忌。 エビデンス の質;中 推奨度;強 ベンゾジ アゼピン 系睡眠薬・ 抗不安薬 フルラゼパム、ハロキ サゾラム、ジアゼパム、 トリアゾラム、エチゾ ラムなどすべてのベン ゾジアゼピン系睡眠 薬・抗不安薬 ダルメート、ベノ ジール、ソメリン、 セルシン、ホリゾ ン、ハルシオン、 デパスなど 過鎮静、認知 機能低下、せ ん妄、転倒・骨 折、運動機能 低下 長時間作用型は使用する べきでない。 トリアゾラムは健忘のリ スクがあり使用するべき でない。ほかのベンゾジア ゼピン系も可能な限り使 用を控える。使用する場合 最低必要量をできるだけ 短期間使用に限る。 エビデンス の質;高 推奨度;強 非ベンゾ
ジアゼピ
ン系睡眠
薬 ゾピクロン、ゾルピデ ム、エスゾピクロン マイスリー、アモ バン、ルネスタ など 転倒・骨折。そ のほかベンゾ ジアゼピン系 と類似の有害 作用の可能性 あり 漫然と長期投与せず、減量、 エビデンス 中止を検討する。少量の使 の質;中 用にとどめる 推奨度;強 三環系 抗うつ薬 アミトリプチリン、ク ロミプラミン、イミプ ラミンなどすべての三 環系抗うつ薬 トリプタノール、 アナフラニール、 トフラニール など 認知機能低下 せん妄 便秘、口腔乾 燥、起立性低 血圧、排尿病 状悪化、尿閉 可能な限り使用を控える エビデンス の質;高 推奨度;強 SSRI パロキセチン、セルト ラリン、フルボキサミ ン、エスシタロプラム パキシル、ジェイ ゾロフト、デプロ メール、ルボック ス、レクサプロ など 消化管出血 消化管出血 リスクの悪化 SSRIは慎重投与。 スルピリド スルピリド ドグマチール、ミ ラ ド ー ル 、ア ビ リットなど 錐体外路症状 可能な限り使用を控える。 使用する場合には50mg/ 日以下に。褐色細胞腫にス ルピリドは使用禁忌 エビデンス の質;低 推奨度;強 エビデンス の質:中 推奨度:強s

 

 

$ 特に慎重な投与を要する 薬物のリスト

 (※1)クラスまたは一般名(※2)すべて該当の場合は無記載(※3)すべて対象となる場合は無記載 薬物(※1) 代表的な一般名(※2) 代表的な商品名 対象となる 患者群(※3) 主な 副作用・理由 推奨される使用法 エビデンス の質と 推奨度 パーキン ソン病治 療薬 (抗コリン 薬) トリヘキシフェニジル、 アーテン、アキネ ビペリデン トンなど 認知機能低下、 可能な限り使用を控える。 せ ん 妄、過 鎮 代替薬:L-ドパ 静、口腔乾燥、
便秘、排尿症 状悪化、尿閉 エビデンス の質;中 推奨度;強 経口 ステロイド 薬 プレドニゾロン、 プレドニン、メド メチルプレドニゾロン、 ロール、リンデロ ベタメタゾンなど ンなど 慢性安定期の COPD患者 呼吸筋の筋力
低下および呼
吸不全の助長
消化性潰瘍の
発生 使用すべきでない エビデンス 増悪時、III期以上の症例や の質;高 入院管理が必要な患者では、 推奨度;強 プレドニゾロン40mg/日 を5日間投与が奨められる 抗血小板 薬 アスピリン、
クロピドグレル、
シロスタゾール バイアスピリン、 心房細動患者 プラビックス、
プレタールなど 抗凝固薬のほ うが有効性が 高い。出血リ スクは同等 原則として使用せず、抗凝 固薬の投与を考慮するべき エビデンス の質;高 推奨度;強 アスピリン アスピリン バイアスピリン など 上部消化管出 血の既往のあ る患者 潰瘍、上部消 化管出血の危 険性を高める 可能な限り使用を控える。 代替薬として他の抗血小 板薬(クロピドグレルなど) 使用する場合は、プロトン ポンプ阻害薬やミソプロ ストールなどの胃保護薬 を併用(適応症に注意) エビデンス の質;高 推奨度;強 複数の抗血 栓 薬( 抗 血 小 板 薬 、抗 凝 固 薬 )の 併用療法 出血リスクが 高まる 長期間(12カ月以上)の使 用は原則として行わず、単 独投与とする エビデンス の質;中 推奨度;強 ジゴキシン ジゴキシン ジゴシン > 0.125mg/ 日での使用 ジギタリス 中毒 0.125mg/日以下に減量 する。
高 齢 者 で は0.125mg/日 以下でもジギタリス中毒 のリスクがあるため、血中 濃度や心電図によるモニ ターが難しい場合には中 止を考慮する エビデンス の質;中 推奨度;強 ループ 利尿薬 フロセミドなど ラシックスなど 腎機能低下、 必要最小限の使用にとど 起立性低血圧、 め、循環血漿量の減少が疑 転倒、 われる場合、中止または減 電解質異常 量を考慮する。 エビデンス の質;中 推奨度;強 アルドス テロン拮 抗薬 スピロノラクトン、
エプレレノン アルダクトンA、 セララなど 高K血症 適宜電解質・腎機能のモニ タリングを行う
特 に K 高 値 、腎 機 能 低 下 の 症例では少量の使用にと どめる エビデンス の質;中 推奨度;強 分 類 抗パーキンソン病薬 ステロイド 抗血栓薬(抗血小板薬、抗凝固薬) ジギタリス 利 尿 薬

 

 

 

 

$ 特に慎重な投与を要する 薬物のリスト

る (※1)クラスまたは一般名(※2)すべて該当の場合は無記載(※3)すべて対象となる場合は無記載 薬物(※1) 代表的な一般名(※2) 代表的な商品名 対象となる 患者群(※3) 主な 副作用・理由 推奨される使用法 エビデンス の質と 推奨度 スルホニ ル尿素 (SU)薬 クロルプロパミド、ア セトヘキサミド、グリ ベンクラミド、グリメ ピリド アベマイド、ジメ リン、オイグルコ ン、ダオニール、 アマリールなど 低血糖とそれ
が遷延するリ
スク 可能であれば使用を控え る。代替薬としてDPP-4阻 害薬を考慮 エビデンス の質;中 推奨度;強 ビグアナ イド薬 ブホルミン、
メトホルミン ジベトス、メトグ ルコ、グリコラン など 低 血 糖、乳 酸 可能であれば使用を控え アシドーシス、 る。高齢者に対して、メト 下痢 ホルミン以外は禁忌 エビデンス の質;低 推奨度;弱 チアゾリ ジン薬 ピオグリタゾン アクトスなど 骨粗鬆症・
骨 折( 女 性 )、 心不全 心不全患者、心不全既往者 には使用しない。高齢者で は、少 量 か ら 開 始 し、慎 重 に投与する エビデンス の質;高 推奨度;強 α-グルコ シダーゼ 阻害薬 アカルボース、
ボグリボース、
ミグリトール グルコバイ、ベイ スン、セイブル など 下痢、便秘、 放屁、腹満感 腸閉塞などの重篤な副作 用に注意する エビデンス の質;中 推奨度;弱 SGLT2 阻害薬 すべてのSGLT2 阻害薬 ス ー グ ラ 、フ ォ シーガ、ルセフィ、 デベルザ、アプル ウェイ、カナグル、 ジャディアンス 重症低血糖、 脱水、尿路・ 性器感染症の リスク 可能な限り使用せず、使用 する場合は慎重に投与する エビデンス の質;低 推奨度;強 スライディ ングスケー ルによるイ ンスリン投 与 すべての インスリン製剤 低血糖の リスクが高い 高血糖性昏睡を含む急性 病態を除き、可能な限り使 用を控える エビデンス の質;中 推奨度;強 オキシブ チニン(経 口) オキシブチニン ポラキスなど 尿閉、認知機 能低下、せん 妄のリスクあ り。 口腔乾燥、便 秘の頻度高い 可能な限り使用しない。 代替薬として他のムスカ リン受容体拮抗薬 エビデンス の質;高 推奨度;強 ムスカリ ン受容体 拮抗薬 ソリフェナシン、トル テロジン、フェソテロ ジン、イミダフェナシ ン、塩酸プロピベリン、 オキシブチニン経皮吸 収型 ベシケア、デトル シ ト ー ル 、ト ビ エース、ウリトス、 ステーブラ、バッ プフォー、ネオキ シなど 口腔乾燥、便 秘、排尿症状 の悪化、尿閉 低用量から使用 前立腺肥大症の場合はα1 受容体遮断薬との併用 必要時、緩下剤を併用する エビデンス の質;高 推奨度;強 分 類 糖尿病薬 インスリン 過活動膀胱治療薬

 

 

 

 

$ 特に慎重な投与を要する 薬物のリスト

る (※1)クラスまたは一般名(※2)すべて該当の場合は無記載(※3)すべて対象となる場合は無記載 薬物(※1) 代表的な一般名(※2) 代表的な商品名 対象となる 患者群(※3) 主な 副作用・理由 推奨される使用法 エビデンス の質と 推奨度 NSAIDs すべてのNSAIDs ボルタレン、イン テ バ ン 、ラ ン ツ ジ ー ル 、イ ン フ リー、ミリダシン、 クリノリル、ブル フェン、ナイキサ ン、ニ フ ラ ン、ス ルガム、ロキソニ ン、フェルデン、 フルカム、ロルカ ムなど 腎機能低下、 上部消化管出 血のリスク 1 使用をなるべく短期間 エビデンス にとどめる の質;高
2 中止困難例では消化管 推奨度;強 の有害事象の予防にプ ロトンポンプ阻害薬や ミソプロストールの併 用を考慮 3 中止困難例では消化管 の有害事象の予防に選 択的COX-2阻害薬の使 用を検討(セレコキシブ など) a その場合も可能な限り 低用量を使用
b 消化管の有害事象の予 防にプロトンポンプ阻 害薬の併用を考慮 分 類 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

 

 



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