OSQZSS

オープンソース準天頂衛星(QZSS)受信機

NV08Cの技術メモ

2013-03-23 14:57:09 | みちびき
なにやらNVS社のGNSS受信機モジュールであるNV08Cが
人気を博しているようなので,1年前を思い出しながら
備忘録を兼ねて技術メモを残しておきます.

RTKは搬送波位相による測位ですが,その性能は疑似距離の
品質にも左右されます.特に,GPS+GLONASSのRTKでは,
GLONASSの周波数間バイアスが問題になります.

測量向けの高価な受信機では,個体差は無いのかもしれませんが,
NV08CのようにIFフィルタが内蔵された安価なフロントエンドの場合,
周波数間のgroup delayのばらつきが大きいようです.

同じロットのNV08Cで,7台同時に受信してgroup delayを比較した結果は
次のようになります.横軸は,GLONASSの周波数チャンネルです.
チャンネル0を基準として計算しています.



最大で70ns(約20m)の周波数間バイアスが生じています.
バイアス自体が大きくても,個体差がなければ調整は楽なのですが,
問題は受信機間でのばらつきです.



ある1台を基準にgroup delayの差を計算すると,最大で10ns(約3m)も
異なっています.そのため,個々の受信機で周波数間バイアスを測定し,
調整しなければなりません.

しかし,マスマーケット向けの安価なGNSSモジュールにそんな手間は
かけられませんので,出荷時は基本的に未調整のようです.
どれも同じノミナルのテーブルのようです.

幸い,NV08Cは,group delayのテーブルをコマンドで指定できます.
RTKにGLONASSを使いたい場合には,モジュールごとに計測して,
group delayのテーブルを自分で制作しましょう.

NV08Cと比べると高価ですが,NovAtel社のOEMStarは,このような
調整をせずにGPS+GLONASSのRTKが実行できます.測量用受信機の
ノウハウがあるので,group delayの個体差が少ないのでしょうね.
ただし,16チャンネル14チャンネルしかないのが残念…

もうひとつ問題になるのが,疑似距離観測値のスムージングです.
NV08Cはデフォルトで疑似距離にかなり長時間のスムージングを
かけています.測位精度が向上したように錯覚しますが,
観測値としては余計なダイナミクスが入るので困りものです.

スムージングをdisableすることはできませんので,以下の
コマンドで,最少の1秒に設定することをお勧めします.

0x10 0xd7 0x03 0x01 0x00 0x10 0x03

その内にGLONASSもCDMAになるだろうと,面倒な周波数間バイアスの
調整が必要なNV08Cはお蔵入りになっていましたが,Galileoも
増えてきたことですし,復活させようかな?

【追記】周波数間バイアスの比較は,group delayのテーブルを
すべてゼロに指定してから計測しています.実際には,ノミナルの
テーブルが設定された状態で出荷されていますので,購入時の
ばらつきとしては,二枚目の図程度になります.

【追記2】FOSS-GPSでMicheleの投稿を見つけた.どうやら,
2012年4月以降に出荷されたモジュールであれば,group delayの
キャリブレーションをしているらしい.古い在庫品を掴まされる
ことがなければ問題なく動くのか?
コメント (2)
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