アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

リー・アンを増やすと虐待は減る

2010年08月22日 | Weblog
 実の親でも子供を虐待する国、日本。「ほんの一握りの人間だ。大げさに考える問題ではない。どこにだって、バカはいるんだ」…こういう御意見もある。正しいかもしれない。ただ…「親から子への虐待は、動物よりはるかに劣る行為」と、思うので情けなくなってしまうのです。

 そして、「親が子を虐待」のニュースを耳にするにつけ頭をよぎるのが、「マイケル・オアーの生い立ち」。情報源は、昨年のアメリカ映画、「しあわせの隠れ場所(The Blind Side」…ノンフィクション小説の映画化)。
 そんな映画知らんぞ!という人のために、プロローグをザックリと…
 マイケル・オアーは、実の父親の顔を知らず、母親も薬物中毒。親から引き離され兄弟とも生き別れになった。そんなマイケル(黒人)が、裕福な白人がほとんどの私立の高校に入学。同校のアメフト部の監督が、マイケルの身体能力に目を付け、学校側にマイケルの入学を強く推してくれたため。身長2m以上、体重200kgでありながら俊敏な動き…。しかし、学力は最低レベル。ある日、それまで居候をさせてくれた家から出なければならない状況になった。
 真冬の夜に半袖短パン姿で、行く当てもなく歩いていたマイケルを見かけたリー・アンが、彼を自宅へ連れ帰る…

 と、まあこのような出だし。その後、リー・アンがマイケルを虐待…という話ではない。高校生とはいえ、ボブ・サップ並の体格ですから、いじめることはできません。暴れ出したら家屋さえ破壊しそう。リー・アンは、マイケルの後見人になり、家族の一員として育てた。リー・アンはもちろん素晴らしい人だが、御主人も理解があった。そして、マイケルと同じ高校へ通う娘さんのコリンズがまた…信じられないほど優しい。息子のSJ(通称名)は、黒人も白人もな~んも関係ない。天真爛漫な小学生。

 実話に基づいたストーリーは、紆余曲折を経ながら…マイケル・オアーは、ミシッシッピ大学からNFLのボルティモア・レイブンズにドラフト指名された。
 絵に描いたようなハッピーエンドなのだが、正真正銘の実話。リー・アンと御主人は、今もメンフィスで暮らしておられる。

 日本でいうところの、「どこの馬の骨だか分からない」巨大な黒人を育て上げた。簡単なはずはありません。なぜ、リー・アンにはできたか?人間の心を持っており、人一倍、「保護本能」が強い人だったから。映画の中で、リー・アンが保護本能が強いなどとは出てきませんでした。しかし、マイケル・オアーは、学力に関しては(分野により)下位5%とか1%とかが目白押しでしたが、保護本能だけは、上位2%でした。

 日本でも、保護本能をテストする必要があります。小中学生のうちに保護本能が高いか低いかが分かれば、虐待を防ぐ手だてができようというもの。
 「おまえは虐待する可能性が高いので子供を作るな、とは指導できないだろう」だって?「自分は虐待する親になる可能性が強い」ということを意識させるだけでもいいんじゃないかなあ。