アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

地下醸造所に…サムライ、スモウレスラー、ゲイシャガール…

2010年07月24日 | Weblog
 カナダ国内だけで流れているサッポロビールのテレビCM…およそ2分間の長編CM。日本のTVでは見られないが、インターネットで見ることが出来る。なるほど!これなら人気が出ると思いました。白人が喜びそうな「日本」を、ちりばめ、地下深くから、ビールの製造工程順に地上へ上がっていく。

 このCMの放送以降、カナダにおけるサッポロビールの売り上げは、前年同期比で9割増という。どうしてサッポロビールが、カナダのTVでCMを流すのか?サッポロは、カナダのビール会社を買収し、オンタリオ州でビールを醸造し、カナダ全土で販売しているのです。現在、カナダのプレミアムビール市場でトップシェアを誇っています。プレミアムビール…早い話が、高級志向のビール。原料や醸造方法にこだわりを持たせて作っている。

 さて、カナダで8月末までTVに流されるというサッポロビールのCMですが…「なかなかいいぞ!」とは思うが、ツッコミどころもある。まあ、揚げ足取りですが…。
 冒頭、騎馬の戦国武将が登場する。背の旗には、「愛」でも「義」でも「風林火山」でもなく、「伝説」と書かれている…。なんなんだ?「伝説のビール醸造始まるよ」ってことか?サムライを登場させて度肝を抜く作戦?
 遠くの山頂から、何段にも渡って滝が流れ落ちている。そ、そ、その水、どこから流れてくるの?山頂から大量の水が噴き出しているの?

 およそ100mの地下から、ビールの製造が始まる。階ごとに作業内容は変わる。天井がやたら高く吹き抜け部分もある。地下とは思えない広々とした空間。働く人々、調度品、石像から…「こりゃあ、中国だろう!」と思いました。カナダの人々にとって、日本も中国も同じだろうから、クレームはつかないだろうってことかな?

 力士が四股を踏んでいる階もある。これから相撲をとるのであろう。し、しかし、BUT!両力士とも、土俵の外で向かい合って四股を?!賭博問題があるので、土俵外で相撲をさせようということか!?もう一人力士が居るのだが、岩に座って足をぶらんぶらんさせて、メランコリックな雰囲気を醸し出している。醸造所だけに?力士は、「胡座(あぐら)」だろう!

 ゲイシャ(芸者)さんが、襦袢(じゅばん)姿で、団扇(ウチワ)を持って踊っている階もある。盆踊りか?それにしては踊り手が数人…。

 竜が火を吐いて金属タンクを加熱するシーン…ますます中国っぽい。竜は、ルーツが「鯉」ですから…火は吐かんやろ!ゴジラは吐きますけど。

 ツッコミはこれくらいにして、なぜ日本文化のアピールを目指したCMが中国っぽくなったか?「撮影は、中国で1か月に渡って行なった」という。つまり、制作者側がそもそも日本も中国も区別がついていなかったということ。制作スタッフに日本人が入っているかな?…探したが見つけられなかった。「日本文化のアドバイザー、ノブ・タナカ」という名を見つけたが、日系でしょう。ノブが、スモウ、ゲイシャ等々にどれほどの知識を持っているか?CMを見れば想像がつきます。

 楽しいツッコミのつもりが厳しいツッコミになってしまいました。印象は悪くないので、褒めて締めます。
 CMの中には、語りも(商品名の)連呼もない。BGMは、軽快な和太鼓の演奏。これが、観る人を映像に惹きつけます。
 「人々を謎めいたサッポロの醸造所のユニークでエンターテインメントなツアーに連れて行くことで、興味を引きつけるとともに、とてもパワフルなやり方でクリエイティブを行っていると証明したかった(電通カナダ)」・・・成功したと思います。