アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

ティンプーの夜…ビールと御飯で更けていきます

2011年09月28日 | Weblog
 陸路(インドから)、ようやくの思いでブータンの首都ティンプーに到着。プンツォリンからティンプーに至るまでに、三度の検問がありました。車のナンバー、運転手の氏名、乗客数、乗客の男女別人数などが調べられます。しかし、立ち入り検査ではないので形式的なものとの印象でした。
 ティンプー市内に入る前に、門をくぐります。インドとの国境の、「ブータン門」を小型にしたような門で、おそらくチベット仏教から来ている様式と思われます。門をくぐり、「世界一幸福な国へ来た!」と、実感しました。くぐっただけで実感したのかって?そうです。くぐったら、道路は舗装されているし、しっとりと落ち着いた町並みが出現しましたから。折からの建築ラッシュで、4~5階建てのビルが作られておりました。ビルといっても、巨大な箱ではなく、ブータン様式とでもいうのでしょうか、味わいのある装飾が施されたものです。もちろん、鉄筋コンクリート製。その上に、木をふんだんに使っていました。
 夜の8時ごろのティンプー入りでしたから、道を歩く人はまばら。車も、まばら。一国の首都がですよ!?犯罪がほとんどないのも当たり前です。

 そもそも、ブータンには、「酒」は良くないという道徳がある。しかし、酒の文化はある。代表的なものは、「バンチャン(お湯で溶かしてのむ固形酒)」でしょう。製法は…米や麦などの穀類を蒸す→ござに広げて乾燥させる→麹を混ぜてバケツに入れ蓋をする→アルコール臭がしてきたら密閉できる容器に入れて数週間発酵させる。これをコップに入れてお湯を注いで飲む。民家を訪問させていただいたとき、バンチャンを味見させていただきましたが…ま、確かに酒でした。「美味いっ!」というものでもありませんでしたけどね。バンチャンの他に、日本でいうところのドブロクである、「シンチャン」がある。なお、「チャン」は、酒の意味。
 「アラ」とよばれる焼酎もある。ウイスキーやブランディーも、ブータン産はあることにはある。しかし、「飲酒=良くないこと」のため、レストランでは、バンチャンも、シンチャンも、アラも用意していない。
 唯一用意されている酒類は、「ビール」。このビールも400円~600円と、日本並み。大卒初任給が2~3万円の国でですよ。高いよ!なお、ビールは、「大ビン」が普通でした。

 料理?ブータン料理は、驚くほどレパートリーが少ないです。「エマ・ダツィがあるだろう!」って?確かに、エマ・ダツィは代表料理ですが、他には、せいぜい焼きそばとギョウザぐらいのもの。エマ・ダツィは、唐辛子とチーズを煮たもの。外国人向けに辛さをおさえたものですら、辛いのなんのって…私は、半口でギブアップしました。食べ物に対して、文句など言わない私が「ヒィー、ヒィー」と、泣いて降参したのですからいかに辛いか!ブータン人にとって、トウガラシは、「野菜」なのだそうで…。生のトウガラシが丸ごと出されたことも。ブータン人は、これをキュウリを食べるようにバリバリと食べるのでしょうねぇ…。

 結局私は、御飯(赤米)に、カレーや、中華風の料理を少し混ぜて食べるという食事の連続でした。肉はなかったのかって?豚肉は毎度出されました。し、しかし!赤身を食べるのではなく、「脂身そのものを食う」!私は、見ただけでギブアップ。脂身が美味しいことぐらい分かっている。しかし、そんなもの食べたら翌日はトイレに籠城することは明白。魚は出なかったのかって?大きな川があるので、魚を獲ろうと思えば獲れるはず。しかし、「殺生を好まない」。川の魚を殺すなどということは間違ってもしないのです。豚は殺しても平気なのかって?殺さないというだけで、食べないとは言っていません。すでに死んでいる豚肉であれば食べることに何らの躊躇もないのです。ブタはブータン産じゃないのかって?そのあたりは、いい加減な推測で答えることは慎みますが…たぶん、「鯨を殺すな」と言う人たちが牛を殺して牛肉を食べるのと同じではないでしょうか。

 こうして、ティンプーの夜は更けていきました。カラオケ?そんな良くないものあるわけないでしょう!世界一幸福な国ですよ!良くないものは排除です。