アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

嬉しい話

2018年07月04日 | Weblog
 「にんじん」・・・「いじめ防止教材(パワーポイントで作成)」のタイトルです。自作資料をひっさげて自分で授業をする。1週間前、小学校2年生2クラスで、「にんじん」の授業をしてきました。
 ルナールの「にんじん」。古いって?鮮度の問題じゃないんですがね。少年は、赤い髪とそばかすのある顔のために、家族から「にんじん」と呼ばれていた。不当な扱いを受けたり、雑用を押し付けられたり…。理解不能な母親の怒り。なぜか冷淡な父親。その状況を、皮肉とも言える視点で冷静に観察しながらにんじん少年は成長していく。思い出しましたぁ?おそらく、読んだことがあると思いますよ。
 「赤毛のアン」は、モンゴメリの長編小説。孤児院暮らしだったアンが、11歳でカスバート家(アヴォンリー)に引き取られてからクィーン学院を卒業するまでの少女時代5年間を描いたもの。で、アンは赤毛。自分の赤毛に劣等感を抱いていました。

 私が「にんじん」で使用した動画は、スエーデンの「friends」という団体が、いじめ防止のために作成したテレビ用のCM。50秒18という短いモノ。赤毛ゆえにイジメられている少年。いじめられている少年を見た若者が、何とかしてあげたいと考えた。若者は自分の金髪を、赤く染めた。それを見た「いじめっ子達」が、赤毛の少年をいじめるのをやめた…と、まあこのようなあらすじ。スエーデン語のタイトルは、「赤毛」。この赤毛の動画を見せる前に、「にんじん」と「赤毛のアン」の話をするわけ。欧米では「赤毛」がイジメの対象となることがままある事を説明します。一枚の画像で、ルナールのにんじんと、赤毛のアンに触れるので、ほんのわずかな時間しか使いません。

 前置きはこれくらいにして(前置き長っ)、いよいよ佳境(佳境早っ)…。授業から1週間後。その小学校へお邪魔したところ、ニコニコ顔の小2男児に呼び止められました。
 「お侍先生!ぼくねえ、赤毛のアンを図書館で見つけて読みました!おもしろかったです!」 …児童たちは、私を、「おさむらい先生(お侍先生)」と呼びます。理由ですかぁ、私のファーストネイムが「おさむ」なので、それからの類推…
 
 「赤毛のアンを読んだ!」これには私も、顔面の筋肉の全てを緩めて喜びました。
 人権の授業で見てもらった「赤毛のアン」の画像。それを覚えていて、本を図書館で探し、読んだ。嬉しいですよっ。私が蒔いた小さな種が、双葉どころか本葉まで出した。この男児、私の授業を受けていなければ、「赤毛のアン?なにそれ?」で終わっていたのではないでしょうか。人生の佳境に入っている私でも、少年に刺激を与えることができるんだなあ!幸せな気持ちになりました。