「翳りゆく夏」 赤井三尋 講談社文庫 (08/03/15読了)
ぐいぐいと引き込まれました。友だちとの約束に遅刻しそうになりながら、どうしてもページを閉じることができず、ギリギリまで読んでしまいました。実は、途中でカラクリはなんとなくわかっちゃうのですが…文章の上手さが勝っていて、多少の設定の甘さは「ま、いっか」という気分になれてしまうのです。
物語は、とある新聞社の内定者の中に、20年前の誘拐事件の犯人の娘がいることを、某週刊誌がスッパ抜くところがあります。「東西新聞」vs「週刊秀峰」のバトルは、朝日vs新潮をホウフツとさせて、ちょっと笑ってしまいました。被疑者死亡のために、なんとなくウヤムヤになっていたその誘拐事件を、当時のその取材を担当した記者が、もう一度、トレースする形で物語は展開していくのですが、「刑事の妻」「誘拐犯の娘を引き取った育ての親」とか脇役の描写が大変いいのです。なんか、味わい深い人柄がよく出ているのです。だから、物語にリアル感があるんじゃないかと思います。
ちなみに、作者はニッポン放送社員(現在はフジテレビ社員)だそうです。なるほど、マスコミ関係者なのかぁ。記者の姿、報道の現場の様子がリアルなのも、マスコミ関係者ゆえなのかと納得。それにしても、こういうスゴイ作家を抱えているというのは、フジサンケイグループ、奥が深い…。
ところで「翳りゆく夏」っていうタイトルだけが、いまいちシックリきませんでした。わざわざ「翳り」なんていう難しい感じをわざとらしく使った分、かえって安っぽいような…。でも、ストーリーは面白かったです!
ぐいぐいと引き込まれました。友だちとの約束に遅刻しそうになりながら、どうしてもページを閉じることができず、ギリギリまで読んでしまいました。実は、途中でカラクリはなんとなくわかっちゃうのですが…文章の上手さが勝っていて、多少の設定の甘さは「ま、いっか」という気分になれてしまうのです。
物語は、とある新聞社の内定者の中に、20年前の誘拐事件の犯人の娘がいることを、某週刊誌がスッパ抜くところがあります。「東西新聞」vs「週刊秀峰」のバトルは、朝日vs新潮をホウフツとさせて、ちょっと笑ってしまいました。被疑者死亡のために、なんとなくウヤムヤになっていたその誘拐事件を、当時のその取材を担当した記者が、もう一度、トレースする形で物語は展開していくのですが、「刑事の妻」「誘拐犯の娘を引き取った育ての親」とか脇役の描写が大変いいのです。なんか、味わい深い人柄がよく出ているのです。だから、物語にリアル感があるんじゃないかと思います。
ちなみに、作者はニッポン放送社員(現在はフジテレビ社員)だそうです。なるほど、マスコミ関係者なのかぁ。記者の姿、報道の現場の様子がリアルなのも、マスコミ関係者ゆえなのかと納得。それにしても、こういうスゴイ作家を抱えているというのは、フジサンケイグループ、奥が深い…。
ところで「翳りゆく夏」っていうタイトルだけが、いまいちシックリきませんでした。わざわざ「翳り」なんていう難しい感じをわざとらしく使った分、かえって安っぽいような…。でも、ストーリーは面白かったです!