おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「夜は短し、歩けよ乙女」 森見登美彦

2008年04月07日 | ま行の作家
「夜は短し、歩けよ乙女」 森見登美彦著 角川書店 (08/04/07読了)

 またしても“途中棄権”のユウワクにかられながら、後半は10行飛ばしの斜め読みでなんとか読了。古文のような独特の文体もちょっと苦手だけど、それ以上に、ストーリー自体に私はついていけませんでした。さすが「ダ・ヴィンチ」のベスト1というだけであって、平々凡々な感性しか持たない私には、キュビズムの絵画を見せられたような「???」という困惑だけが残りました。意味不明ぶりは万城目学の「鴨川ホルモー」に通じるものがあります。あぁぁ、せっかく、珍しく単行本を買ったのに…。

 大学のよくわからないサークルを舞台に、黒髪の乙女に恋する先輩と、そんな先輩の気持は露知らずの乙女。二人が交互に一人称で語るというところが、小説の手法として斬新なのでしょうか?? 斬新でも、面白くなきゃ、意味ないと思うけど。なにしろ、全ての登場人物(特に、黒髪の乙女!)が浮世離れしている上に、非現実的な出来事ばかりが相次ぐのです。誰にも肩入れする気分にならないまま、「訳わかんないよぉ~」と心の中で叫びながら読み進むのは苦行でした。

 なにも、非現実的であることを否定しているわけではありません。絶対にありえない「図書館戦争」(有川浩著)は、めちゃめちゃ楽しかったし…。まぁ、シュミの問題でしょうか。何しろ、山本周五郎賞を受賞し、07年の本屋大賞では、私が愛してやまない「図書館戦争」を上回る2位なのです。そうです。きっと、凡人の私には理解が及ばなかっただけです。「鴨川ホルモー」を楽しめた人には、楽しい小説なのかもしれません。