おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「食堂かたつむり」 小川糸

2008年04月16日 | あ行の作家
「食堂かたつむり」 小川糸著 ポプラ社 (08/04/16読了)

 私って不感症-という不安にさいなまれつつ読了。「王様のブランチ」で取り上げられてかなり話題になっています。優香ちゃんが「泣きながら読んだ。すごーくオススメです」と言えば、はしのえみちゃんは「飛行機の中で読んでいて、何度も、上を向いて涙が流れないようにグッとこらえた」と絶賛。というわけで、最近は、どの書店に行ってもポップに「王様のブランチで…」と書いてあります。さぞや、感動巨編と思いきや-ついに、一度も、涙が出そうにならなかった私。

ストーリーは家財道具と二人で貯めたお金ごと恋人に逃げられた倫子が、故郷に戻り、実家にものおきで一日一組限定のメニューのない食堂(まるで、ビストロ・スマップ?)を開業。おいしく食べることの幸せ、おいしく食べてもらうことの幸せ-というテーマとともに、母娘の物語でもあるのですが…客観的にも、どこが泣きポイントなのか、私には、よう、わかりませんでした。

表紙だけでなく、中身の文章までほわほわとしたパステルカラーチックな女性作家って、イマイチ、ハマれないのですが…まさに、そういう種類の文章なのです。ま、シュミの問題ですかね。心がビュアな人は泣けるのかもしれません。心が干からびている自分自身に合掌。

「今朝子の晩ごはん」 松井今朝子

2008年04月16日 | ま行の作家
「今朝子の晩ごはん」 松井今朝子著 ポプラ文庫 (08/04/16読了)

 ああ、楽しかった!! 「吉原手引草」「幕末あどれさん」などの著書である松井今朝子さんのブログのノベライズ。実は「ブログのノベライズ」と発想自体が、私のシュミには合わないのですが、「今、最も文章が美しい作家」と惚れてしまった松井さんなので、例外的措置とし購入。そして、見事にハマりました。

 タイトルどおり、松井さんの毎日の晩ごはんのメニューを中心に、ベランダで巨大カメを飼い、日曜日には乗馬のレッスンに通い、たくさんの舞台や映画を観て、テレビや政治に突っ込みを入れる日常記。松井さんという人が、美しい文章を書く人にふさわしい、ステキな方であることが伝わってくるのです。

 ここまで、キユーピー3分クッキングを愛している人はいないのではないか-と思われるほど、熱心に3分クッキングをチェックして、夕ご飯に実践して、しかもブログで紹介。文章はいかにもあっさりとしているのだけれども、おいしそうな感じがとっても伝わってきます。かといって、手作りに固執しているわけではなく、お出掛けの帰りは渋谷の東横のれん街(ビミョウにおしゃれっぽくないところが、またまたステキ!)や家の近所の総菜屋さんでお弁当を調達したり、お友だちやお仕事仲間とおいしそうなレストランで食事されたり-なんか、本当に柔軟で幸せな食生活を送っているんだなぁというのが伝わってきます。

 そして、シンゾー、シンタロー嫌いじゃ!! しかし、民主党もヘナヘナじゃないの!!等々の政治への突っ込みにはとっても共感。(でも、ブログノベライズの限界で、話題が古いというのが、残念!)さらに、市川染五郎を切り捨てゴメンの刑に処している一文にもスカッとしました。松井さん、ホント、カッコイイです!凄いタフなんだけど、それは、ガチガチに強いといのうではなくて、柳のようにしなやかに柔軟に強い感じ。そして、年上の女性に失礼ながら、とってもカワイイのです。ますます、松井さんファンになり、そして、新刊の「そろそろ旅に」も早く読みたいなぁと思って読了致しました。