おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「お鳥見女房」 諸田玲子

2008年04月06日 | ま行の作家
「お鳥見女房」 諸田玲子著 新潮文庫 (08/04/05読了)
 
 私にとっての初・諸田玲子です。江戸時代の「御鳥見役」の一家の物語。「鳥見役」なんていう役職は初めて聞きました。なんと将軍様の鷹狩りのために、餌場の巡視をしたり、日々の餌とするスズメをとったりする役割なんだそうです。そういえば…実家の近くに「鳥見塚」というところがあったけれど…もしかして、御鳥見役と関係あるのかも。それにしても、今も昔も、役職のポストというのは、無尽蔵です。

 タイトルの通り、お鳥見役の女房である珠世さんが主人公。お鳥見役であるご主人と、隠居したじいちゃん、娘・息子の5人住まいのところに、大居候軍団が転がりこんできて、日々の騒動をやわらかいタッチで描いています。珠世さんは、肝っ玉母ちゃんというのとはちょっと違うけれど、腹が据わっていて、それでいて、ホワッと周囲の人の気持ちを阿暖かくしてくれる癒し系。疲れた時にホッとするために読むのにピッタリかも。でも、あくまでも癒し系なのです。「なんとなくいい」けど、強烈な引力には欠けている。シリーズ2冊目を積極的に読むかどうかは微妙です。