おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「ジーン・ワルツ」 海堂尊

2008年04月01日 | か行の作家
「ジーン・ワルツ」 海堂尊著 新潮社 (08/04/01読了)

 日曜日の「王様のブランチ」で紹介されていて、ついつい、買っちゃいました。流行りモノに弱い私。このミス大賞に輝き、映画化までされた「チームバチスタの栄光」の著者の作品ということで、相当の期待度で読み始めましたが、なんか、ちょっと期待はずれでした。

 主人公は美貌でキレ物の産婦人科医。数多の官僚を輩出する超有名大学に籍を置きつつ、週に何度か、民間の産婦人科医院で診察・出産に携わる。少子化問題、不妊治療、代理母、赤ちゃんポストなど超・今的テーマを取り上げている意欲作であることは間違いありません。大学病院やお産の現場を素人にもわかりやすく説明しようとしてくれていることはわかるのですが…それを、いちいち、登場人物に語らせていると、どうしても、会話が不自然になるのです。「プロ同士で、こんな、くどくどしい不自然な会話をするわけないじゃん」と突っ込みを入れたくなってしまいます。それに、美貌でキレ物の主人公があまりにも、できすぎ。ま、男性がクールビューティーに憧れるのは、なんとなく、わからないではないけれど…。

 産婦人科を取り巻く現状や、厚生労働省の施策に対して著者が抱いているだろう問題意識については、基本的に共感できます。ただ、その問題意識をあまりにも前面に出しすぎた結果、小説としての楽しさ、リズム感は犠牲になってしまったように思うのです。もちろん、フィクションを通じて問題提起することで、そのテーマに関心がなかった人も引きつける効果はあるので、問題提起自体に反対するつもりはありません。要は、バランスの問題ですが、ちょっと、これは、問題提起に偏りすぎているのではないかと。チームバチスタは面白かったのだろうか-?? 大ヒット作なので、そのうち読もうとは思っていましたが、ちょっと躊躇するなぁ。