おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「禁断のパンダ」 拓未司

2008年04月17日 | た行の作家
「禁断のパンダ」 拓未司著 宝島社 (08/04/17読了)

 このミスの大賞受賞作。途中までは、超絶賛モードで読んでいました。読み終わらないうちから「すごい、イイ感じ!」と人に薦めてしまったのですが、途中から雲行きが怪しくなり、読み終わって「もしかして、あんまり人に薦めない方がいいのかなぁ」という気がしています。正直、後味のよろしい作品とは言いがたいですなぁ。

 小さなビストロのオーナーシェフである柴山コウタくんほか、料理人や美食家がたくさん登場。前段の料理の描写は、本当に、素晴らしかったです。私は下戸なので理解が及びませんが、ワイン好きの方には、料理に合わせたワインの記述も楽しいではないかと思われます。とにかく、料理や味覚に対する知識が深く、それが、文章に反映されている。「食堂かたつむり」の料理描写とはレベルが違う感じがするのです。それもそのはず、著者は調理師の専門学校を卒業し、レストランなどで働いていた方なのですね。ストーリー展開も「さすがこのミス大賞!」という感じで、ついつい解きに参戦したくなるし、登場人物の会話が上手い!料理人と美食家の会話なんて、楽しくってニコニコしながら読んじゃいました。

 しかし、最終コーナーを回ってからが、ちょっと…イマイチです。あまりにもありえないというか、クレイジーすぎる気がしました。私個人としては「さすがに、そこまでしないでしょ。ちょっと、やりすぎだって」と突っ込みを入れて読み流せますが(読み流しても、後味は、やっぱりよくないです)、もしかしたら、すごく、気分が悪くなるというか、「許せん!!!!」と思う人もいっぱいいると思うのです。気持ち悪い系が嫌いな人には絶対に薦められません。というわけで、途中までは最高で、途中からはイマイチという微妙な作品でありました。