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もんく [とある南端港街の住人になった人]

ダッパーワーラーとデジタル時計と

あれは半年以上前の事だったかな?

生産の時に作業者が記入する票で
記号を使ってもらおうかと考えた。

完成品に貼り付ける紙があって、
そのある部分に、欠点があったりするとそれを書く事になっている。


この「書く」と言う作業がけっこう鬼門なのだ。
それは書く人間に問題があると言うか、
書かせる方に問題があると言うか、
まあ、そう言う事なのだ。

書く人間と言うのは、
ここでは最低賃金で働く外国人労働者を指す。
って事は、一応文字は書けても英単語を間違いなく書けるかどうか、
と言う程度なのだ。

時々見てみると、
果たして、ちゃんと間違えている。
彼らはその言葉を読んだり書いたりして覚えているのじゃなく、
音で覚えているから、
アルファベットは使っているにしても
要は日本人がカタカナで英単語を書いているのと同じ状態なのだ。


そこで考えたのが記号だ。
欠点を見つけた時に簡単に描ける記号を使う。
生産が終わって一番最後に製品に貼る紙にそれを全部描き写す。

簡単だし間違えない。

ここで問題なにが、次の工程の品質管理。
こっちがまたちょっとアホで、
自分たちで欠点に勝手に名前を付けている。
その名前を聞いても誰も何の事かわからない。
それにはいろいろあるのでここでは書かない事にする。



インドのムンバイにダッパーワーラーと言う職業があると
Twitterで言っている人がいて、初めて知った。
世界ではもうとっくに有名なものらしかったけれど、
初めて知った。

簡単に言うと、お弁当を毎日家からオフィスに運んでくれる仕事。
それが近所に自転車で運ぶと言うようなものじゃなくて
宅急便のようにけっこう複雑な仕組み運ぶらしい。
何人もの手を経て電車に乗ったり乗り換えたりしているのに
ほとんど間違い無くお弁当が届き、
食べ終わったお弁当箱も家に着くのだとか。

FedExみたにバーコード付きの伝票とかコンピュータとかの
先進昨日は使われない。
あるのはお弁当箱にペイントした幾つかのアルファベットだけ。
それをやっている人達は特に教育レベルが高いわけじゃない。
(お弁当運びだから当たり前だけれど)
要はうちの工場で働いているのと同じレベルの人間なのだ。


それで、全然間違えない。
そこいらの工場なんかより数百倍すごい。
うらやましい。



先日、5人ほど新しい作業員が入ってきた。
全員バングラデシュ人。
マレーシアでビザが無いまま違法に働いていたのを
政府の合法化プログラムに救われて働く事になったのだ。

普通の気の良い若者なのだけれど、
先日ちょっとテストで時計から時間を読めるかやってみた。
3人は問題なし。
1人は何度も書き直してちょっと怪しい。
最後の1人は全然読めなかった。


考えてみれば、あの丸い時計と言うやつはけっこうわかりにくい。
短い針は横に書いてある数字を読めば良いけれど、
長い針はなぜか数字が1進むたびに5進み、1周で60になる。
誰でも直感的にわかるものじゃない。

そうすると、せっかく5人入ってくれたのに
そのうち2人は仕事がかなり限定されてしまう。

と言うわけで壁掛けのデッカいデジタル時計を買おうと思っている。
デジタル時計なら読んだまま紙に記入すれば間違う事は無いはず。
針の時計は一度頭の中で数字の時刻に変換して書くので間違える。

デジタルなら数字を書く練習さへすれば記号を描き写すのと同じになる。
最近は彼らでもスマホを持っていて
デジタル表示にアレルギーが無いと言うこともある。

日本人としては針式時計は
子供の時に一度訓練されているから
時間を針の角度とか進んだ量としてわかるから
感覚がつかみやすいように感じる。
それも今となっては当たり前のように感じられるけれども
こうしてそれが当たり前と感じない人達を目の前にしてみて
これも訓練の成果だったんだなあ、と改めてわかった。




人間と言うのは面白い。
動物などでは記号化したり概念化しする事自体が
かなりの高度な作業だと思うけれど、
逆に人間は記号とか数字とかに一度変換されてものの方が
なぜか扱いやすかったりする。

そう思うと、作業のやり方などもちょっと考え直してみようと思う。
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