温泉クンの旅日記

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抹茶一服からの、和歌山ラーメン(1)

2021-12-26 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <抹茶一服からの、和歌山ラーメン(1)>

 和歌山市のシンボルである、紀州徳川家の居城であった和歌山城。

 

 その天守閣はその昔、和歌山弁で「おてんしゅ」から変化して「おてんす」と呼ばれてきたそうである。
 天正十三年(1585年)に紀州を平定した羽柴秀吉は、弟の秀長に命じて平山城を築かせた。これが和歌山城の始まりだ。

 和歌山駅に着いたのはちょうど正午くらいだった。まずは重いザックをコインロッカーに預けた。

 

 心づもりしている昼メシだが、土日なら狙い目の時間帯といえるのだが平日ではいまがまさにピークタイムなので、時間を潰してからすることに変更だ。旅での昼食の「時間」というものは<融通無碍>が鉄則である。幸い、今日はビジネスホテルの夕食のない素泊まりなのもあるが。
 市内にある「花山温泉」の立ち寄り湯で汗をたっぷり流してから昼メシもいいな、と思ったがバスの待ち時間が一時間半あると知り、その案はあっさり棄てて和歌山城にやってきたのだ。

 

 

 城の建つ山だが、海から見ると虎が伏せたようにみえることから虎伏山(とらふすやま)と呼ばれ、城も「虎伏竹垣城」とか「虎伏城」という別名を持っている。
 慶長五年(1600年)、関ヶ原の戦いの後には浅野幸長が三十七万六千石で和歌山城主となる。そして元和五年(1619年)、徳川家康の十男頼宣が五十五万五千石を拝領し、紀州藩が成立する。
 紀州徳川家は、尾張、水戸とともに「御三家」と呼ばれ、あの八代暴れん坊将軍「吉宗」を、十四代将軍「家茂」を輩出することになるのだ。

 

 

「西之丸庭園」は頼宣が築いた庭園で、「紅葉渓(もみじだに)庭園」の名で親しまれている。
 池の水面に映る紅葉など、秋の季節の風景が最も美しいといわれる。残念ながら、紅葉はだいぶ前に終わっている。

 

 畔に建っている趣きのある建物は「鳶魚閣(えんぎょかく)」。その右手奥には、復元された屋根付きの斜めに架かかっていて非常に歩きにくい「御橋廊下」がある。

 数寄屋造りの茶室「紅松庵(こうしょうあん)」。

 

 昭和48年(1973年)庭園整備を記念して、和歌山市出身の松下幸之助の寄附によって翌年落成、紅葉渓の「紅」と松下の「松」から命名されたそうだ。
 右手の座敷は本格的な茶会などで使用されるのであろう。

 

 茶席は椅子席で作法はまったく気にしないでいいし、料金も「点出」で470円と、とても手ごろである。
(たしか、彦根の玄宮園「鳳翔台」の抹茶も500円くらいだったな・・・)
 いずれの城の庭園も、京都とか鎌倉みたいにバカ高くないのがありがたい。
「点出(たてだし)」とは茶道で、茶を客の前で点てずに水屋で点てて運び出すことで、大寄せの茶会などで行う略式の方法で、「蔭出(かげだて)」ともいう。
 椅子席に坐った先客の中年カップルが、茶が届く前に菓子をもぐもぐ旨そうに食べていた。
 わたしは画像を一枚撮りたいので、菓子に手をつけずに茶の到着を静かに待った。

 

 菓子の説明が特段なかったが、まあまあ美味い。食べ終え、玄宮園ほどのありがたい景色もないが、ことさらゆっくりと茶を喫した。
 生きていくとか、日々働くということは、ある意味「命を削る」ことでもある。疲れる。ほっとくと、溜まりつづけてある日、身体にも精神にも奥深いところに「どしん!」と衝撃が襲って亀裂が走ってしまう。
 だから、旅に出るとかの自らへの積極的な癒しが、時には必要なのだ。束の間だけでも静かな気持ちを持って抹茶を喫する、のもいい。
 落ちつく優雅なひとときである。食前の<一服>も乙なものだ。

 腕時計をちらりと確認する。
 あとは城のなかを一回りして、ゆっくり歩いていけば昼のピークタイムは完璧に終わっているだろう。

 よし、今日は並んででも「和歌山ラーメン」を絶対に、喰うぞ! 
 井出商店に向かう列の最後尾にいったんは並んだのだが、その前方の長蛇ぶりと続々と後ろに伸びる列に嫌気がさしてあきらめたのは、ふた昔ほど前だった。
 あれからしこたま月日が流れてしまったが、今日は再挑戦なのである。(なんともはや執念深い性格やのォ)


  ― 続く ―


   →「彦根、玄宮園で抹茶を一服」の記事はこちら


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