温泉クンの旅日記

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海月舞い飛ぶ青いトワレ

2019-06-23 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <海月舞い飛ぶ青いトワレ>

「ウヒョー!」
 意表を突かれる、とはこのことだ。なんだこりゃあ。本当に、ここトイレなのか。

 

 奥行きがある青い空間の先には洒落た縦長な水槽があった。どうやら目指す便器はその後ろにあるようだ。

 

 恐る恐る前に進み水槽を覗くと、小さな無数のクラゲが元気いっぱいに泳いでいる。
 昔、接待で二軒目にいったクラブのトイレが前後左右鏡張りだったことがある。おのが姿の鏡に映るのをみて、四六の蝦蟇ばりに油汗をたらーりたらりと流したっけか。

 クラゲは、海に映っている月に似ていることから海月ともいう。その海月が目の前の青い水中を音もなく、飛ぶように舞いあがり、束の間漂い、静かに舞い落ちている。

 

 ついつい、孤軍奮闘するという本来使命を忘れて見とれてしまう。
(これって、きっとこの街で大人気のクラゲ水族館と無関係ではないだろうな・・・・・・)

「お待たせしました」
 席に戻ると、見計らったように頼んだセットを出してくれた。

 

 観光で歩きまわっている途中で「HOUSE清川屋」をみつけて、土産物でも買うかと入ったら喫茶もできる店だった。若旦那風の店の人に注文だけして、店の奥のトイレを借りることにしたのである。二日酔の朝は毎度のことだが腹具合は不調なのだ。

 

 

 店のお勧めである「ほわいとぱりーロール」セットは飲み物付きで五百円だった。わたしはチーズケーキだけではなく、ローソンのロールケーキも好物なのだ。

「凄いトイレですね、驚きました」
 若旦那は、わたしの反応にいかにも満足そうな笑みを浮かべている。
「あのクラゲって、ホンモノですか?」
 舞い飛び方に、秩序とか規律・規則性をふと感じたのである。クラゲのなかに落ちこぼれや反逆クラゲがまるでいなかった。水槽の水も透明でいかにもきれいすぎたように思う。

「さあ、どうでしょうか(ふふふ)」
 笑いを噛み殺すような顔で、一礼すると引きさがっていく。

 

 禁煙なので早々に喫し終え満足すると、店内を歩き回り、昨夜味わって旨かった地酒「大山」と土産の菓子を買って、観光が終わるまで預かってもらうことにしたのである。

「庄内で清川屋はとても有名ですよ」
 土産を食べた酒田生まれの知人が含み笑いをしている。「でも、鶴岡でこのお土産を買っちゃったんだ!?」、と呆れられた。
 そうなのだ。
 わたしは清川屋で大好きな「酒田娘」をみつけ、飛びついてしまったのだった。不覚にも隣町の鶴岡で。




   →「クラゲ水族館(1)」の記事はこちら
   →「クラゲ水族館(2)」の記事はこちら
   →「鶴岡で、西のアカムツ」の記事はこちら

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