<財寶温泉へ(2)>
わたしにとって、財寶温泉は長らく謎であった。
温泉に狂い始めたころ、読んでいる週刊誌の記事の袖やら裏表紙やら通勤電車のなかで広告をなんどか見かけて、財寶が地名でなければ、なんという魅惑的なネーミィングの温泉だろうと思ったものだ。

男は、財寶とか秘宝とかの言葉に滅法弱い。
冒険こそともなうだろうが、一攫千金は、男だったら誰しも夢見たことがあるだろう。
海賊が無人島に隠した財寶、嵐にあって海の底に沈んだ難破船に積まれた黄金、豊臣や徳川の埋蔵金など、まだ探している冒険家もいたりする。
財寶とはすこし遠いが、一発逆転とかいう言葉も連想してしまう。人生というほど大袈裟でなく、たとえ麻雀でさえ、大負けしていれば最後の半チャンで一発逆転の役満を狙うものである。
財寶温泉に入浴すればなにか凄い特別なご利益とかがありそうで、ぜひ温泉にはいってみたいと思ったものだ。
ところが、九州の鹿児島県という所在地をみて、気が遠くなるほど遠い、これはとうぶん縁がないなとあきらめたものである。そのころは、いまほどフットワークが軽いわけではなかったのだ。
そこへいま向かっている。
桜島をあとにしてさらに南下していくと、財寶温泉の表示があったので左折する。
ところどころ道端に現れる表示どおりに進んでいくと、工場らしきものの前に出てしまった。ミネラルウォーターを運ぶ大型トラックが止められ積み込み作業をしている。
日帰り温泉施設とか宿のような施設を期待していたのが、とんだ肩透かしである。
すぐに引き返すのもなんなので、駐車スペースがあったので車を止めた。
薩摩明治村はこっちという表示があったので、なにかと思いずんずん歩いていく。このへん、わたしはずうずうしいのだ。
すれ違う作業着のひとたちは誰もが丁寧に挨拶をしてくれる。

広場のようなところへ降りて芝生を横切ると、日帰りの入浴施設らしき小さな建物があり、となりに売店らしきものがあった。
(これが・・・財寶温泉だろうか。まあ、いいや。はいってみよう)
入浴料金を払い、温泉小屋のような建物にはいった。誰もいない。露天風呂もあるようだ。

内湯にはいって、身体をあたためてから外にでた。
露天のなかが滑りやすいのでサンダルを履け、と書いてある。


エル字型の浴槽を辿って、長い部分にいくと景色が開けた。
うっすらとした大きな桜島が眼の前にある。大気が晴れていれば、絶景を眺めながらの湯浴みができる。

泉質は、これはとくに書くほどのことはない。財寶温泉は浸かる温泉ではなく、飲む温泉なのだと思う。
売店で、バラエティーに富む財寶商品のなかから「財寶」という名前の焼酎を買って、途中にあった食堂に向かう。

古里温泉、財寶温泉とハシゴしたので、さすがに腹がすいた。メニューをざっと眺めて、しょうが焼き定食を頼む。

テーブルに載っている冷水、調味料からドレッシング、ソースまで、すべて財寶ブランドであったのにはびっくりさせられた。
目当ての財寶温泉へいったのでこれ以上の南下はやめて、また、桜島のほうに車をはしらせる。

それにしてもこの工場の礼儀正しくすれ違う従業員のひと達から、なにやら宗教めいた雰囲気を感じたのはきっとわたしの気のせいだろう。
財寶温泉・・・特別な御利益とまでもいかなくても、そこそこのツキくらいはもらえたような気がする。
→「財寶温泉へ(1)」の記事はこちら
わたしにとって、財寶温泉は長らく謎であった。
温泉に狂い始めたころ、読んでいる週刊誌の記事の袖やら裏表紙やら通勤電車のなかで広告をなんどか見かけて、財寶が地名でなければ、なんという魅惑的なネーミィングの温泉だろうと思ったものだ。

男は、財寶とか秘宝とかの言葉に滅法弱い。
冒険こそともなうだろうが、一攫千金は、男だったら誰しも夢見たことがあるだろう。
海賊が無人島に隠した財寶、嵐にあって海の底に沈んだ難破船に積まれた黄金、豊臣や徳川の埋蔵金など、まだ探している冒険家もいたりする。
財寶とはすこし遠いが、一発逆転とかいう言葉も連想してしまう。人生というほど大袈裟でなく、たとえ麻雀でさえ、大負けしていれば最後の半チャンで一発逆転の役満を狙うものである。
財寶温泉に入浴すればなにか凄い特別なご利益とかがありそうで、ぜひ温泉にはいってみたいと思ったものだ。
ところが、九州の鹿児島県という所在地をみて、気が遠くなるほど遠い、これはとうぶん縁がないなとあきらめたものである。そのころは、いまほどフットワークが軽いわけではなかったのだ。
そこへいま向かっている。
桜島をあとにしてさらに南下していくと、財寶温泉の表示があったので左折する。
ところどころ道端に現れる表示どおりに進んでいくと、工場らしきものの前に出てしまった。ミネラルウォーターを運ぶ大型トラックが止められ積み込み作業をしている。
日帰り温泉施設とか宿のような施設を期待していたのが、とんだ肩透かしである。
すぐに引き返すのもなんなので、駐車スペースがあったので車を止めた。
薩摩明治村はこっちという表示があったので、なにかと思いずんずん歩いていく。このへん、わたしはずうずうしいのだ。
すれ違う作業着のひとたちは誰もが丁寧に挨拶をしてくれる。

広場のようなところへ降りて芝生を横切ると、日帰りの入浴施設らしき小さな建物があり、となりに売店らしきものがあった。
(これが・・・財寶温泉だろうか。まあ、いいや。はいってみよう)
入浴料金を払い、温泉小屋のような建物にはいった。誰もいない。露天風呂もあるようだ。

内湯にはいって、身体をあたためてから外にでた。
露天のなかが滑りやすいのでサンダルを履け、と書いてある。


エル字型の浴槽を辿って、長い部分にいくと景色が開けた。
うっすらとした大きな桜島が眼の前にある。大気が晴れていれば、絶景を眺めながらの湯浴みができる。

泉質は、これはとくに書くほどのことはない。財寶温泉は浸かる温泉ではなく、飲む温泉なのだと思う。
売店で、バラエティーに富む財寶商品のなかから「財寶」という名前の焼酎を買って、途中にあった食堂に向かう。

古里温泉、財寶温泉とハシゴしたので、さすがに腹がすいた。メニューをざっと眺めて、しょうが焼き定食を頼む。

テーブルに載っている冷水、調味料からドレッシング、ソースまで、すべて財寶ブランドであったのにはびっくりさせられた。
目当ての財寶温泉へいったのでこれ以上の南下はやめて、また、桜島のほうに車をはしらせる。

それにしてもこの工場の礼儀正しくすれ違う従業員のひと達から、なにやら宗教めいた雰囲気を感じたのはきっとわたしの気のせいだろう。
財寶温泉・・・特別な御利益とまでもいかなくても、そこそこのツキくらいはもらえたような気がする。
→「財寶温泉へ(1)」の記事はこちら
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