温泉クンの旅日記

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続・谷川温泉 (2)

2013-09-01 | 温泉エッセイ
  <靴下の宿(2)>

 部屋に戻る前に、二階にある「太宰治ミニギャラリー」でひとときの休憩をとった。



 乱読のわたしだが、情けないことに太宰作品といえば教科書で読んだ「走れメロス」くらいしか思い出せない。



 太宰治は旅館たにがわの前身である「谷川館」に滞在中に「創世記」を書きあげたそうだ。この「創世記」がやがて「人間失格」の引き金となる。
 名作といわれる「姥捨」という作品には谷川館の老夫婦と水上温泉郷が舞台となった。

 食事、とくに朝食での「鮎の一夜干し」は特筆すべきであろう。



 水上温泉郷の宿の朝食には、鮎の一夜干しが出てくることが多い。わたしも十回以上食べているのだが、これが言っちゃあなんだが、それほど旨くない。というより、ズバリ不味いのだ。



(たにがわ・・・お前もか)
 そう、がっかりしたのだが、ひと箸くらいは付けておこうと食べてみて驚嘆した。なんとも絶妙の塩梅の干し加減で、眼を瞠ってしまう。
 旨い・・・のである。
 さすがにたにがわ、品物は吟味厳選したのであろう。たいしたものだ。
 あとで売店を物色してみて、買って帰りたいと思うほどの上物だった。
 昨日預けた靴下はきれいに洗濯され、ビニール袋に簡単に包装して朝食の膳横に置かれていた。

 昨夜の夕食も、品数豊富、どれも適当な量で楽しめた。





 群馬の銘酒の利き酒セットというのを頼んだのだが、三種類の綺麗な切子のぐい呑みで旅の気分をとても盛りあげてくれた。



 チェックアウトぎりぎりまで、谷川温泉の湯をゆっくりと堪能する。





 この宿だが大浴場、廊下、エレベーター、客室、いたるところに活き活きしたいろいろな生花がさりげなく飾られている。



 きっと女将の心遣いなのだろう。
 ゆっくりできて、居心地がよい宿だった。リピーター客が多いというのも頷ける。

 精算を済ませ駐車場に行くと、そこに女将と主人が控えていて、わたしの車が見えなくなるまでいつまでも見送ってくれた。
 見送りありがとうございます。またきっと来ますから。
 バックミラーに映る二人に、そんな思いをこめてわたしはハザードランプを点滅させた。


  →「靴下の宿(1)」の記事はこちら


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