温泉クンの旅日記

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長良川温泉(1)

2020-09-13 | 温泉エッセイ
  <長良川温泉(1)>

 金華山の北麓を流れる長良川沿いの、長良橋の袂にある七軒の大型のホテル、旅館が長良川温泉だ。名物は長良川で行われる長良川鵜飼で、ホテルから川面に浮かぶ篝火を観られる。

 

 

 長良川は木曽三川のひとつであり、四国の高知の四万十川、静岡の柿田川とともに日本三大清流のひとつでもある。

  

 本流脇の岸よりの中州(岸洲?)を挟んだ溜まりに鵜飼の屋形船が避難しているのは、先日九州地方を襲った豪雨が移動して、岐阜にも影響を与えたせいであろう。

 

 目の前に長良川と、先ほど大汗をかかせられた金華山を望む、岐阜グランドホテルが今日の塒(ねぐら)である。

 

「あのォ・・・、ミネラルウォーターはどこで手に入るでしょうか」
 赤外線を手首に当てられて検温をクリア、アクリルパーティションで囲まれたカウンターでチェックイン手続きを終え、部屋のキーを受取りながら訊いた。

 

 一階奥の売店と地下に自販機があるという。自販機のほうが冷えているので、エレベーターで地下に降り自販機で購入すると、冷たいボトルを直に後頭部に押し当ててエレベーターに乗り込み部屋のある階のボタンを押した。

 いつものようにマッハで着替えようとするのだが、汗で濡れそぼっていて着替えにえらい時間がかかった。細いジーンズなどは特にずっしり重くなかなか脱げなかった。なにしろこの日の岐阜は猛暑日だったのである。
 浴衣に着替えると、濡れた肌着、長袖シャツ、ジーンズをハンガーに掛け窓辺に吊るした。

 大浴場の入口で、バスタオルとフェイスタオル、それに番号チップを受取った。番号チップは入浴客が密にならないように状況を把握するためらしい。

 

 大浴場の「白湯(さゆ)」と表示された浴槽のふちにしゃがみ込み、ルーティンの掛け湯を念いりにする。長良川の伏流水である地下水を汲みあげて沸かしているそうだ。
 身体の表面を大量の汗が何度も覆っては乾いたので、まるで脂でコーティングされているようだ。しつこい掛け湯で薄い膜が剥がれるように感じてさっぱりとなり、気持ちがいい。

 

 浴槽に身を沈め、身体をすこしだけ温めると、横にある褐色の薄い温泉ぽい浴槽を横目に、奥にある半露天風呂に移動する。

(これは、いい。なかなかの温泉じゃないか!)
 茶褐色の温泉は源泉温度15度の単純炭酸鉄泉。源泉ぽいが加温の循環湯だ。見た通りの鉄分とラドンを多く含むという。

 

 恥かしながら長良川温泉はこれが初めての経験である。岐阜で温泉といえば、まずは下呂温泉か奥飛騨温泉、鵜飼では有名な長良川温泉はなかなか思い浮かばなかった。

 

 長良川温泉の開湯は千三百年前とされているが、現在の源泉といわれる三田洞神仏温泉は昭和四十三年(1968年)の開湯とまだまだ若い。それでも観光経済新聞社というところが主催する「にっぽんの温泉100選」では上位らしい。

 

 さっぱりして部屋に戻り、くつろいでチビチビ飲み始めていると、驟雨が訪れたようで窓のほうからサーっと音が聞こえだす。驟雨は、ほどなくして外の景色が白く霞むほどの豪雨に変わった。激しい雨で急速に冷やされた大気が、窓から忍び込んでくる。

 

 雨音はショパンの調べ、なんてものではない。これは、X(エックス)ジャパンだ。しかも稲光と、ドドーンと大太鼓なみに腹に響く雷鳴付きのどしゃ降り、ときた。
 いままさに金華山に居たらドエライことだったぞ。


  ― 続く ―


   →「岐阜、金華山へ」の記事はこちら
   →「四万十川」の記事はこちら


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