<有福温泉>
有福とは、いかにもありがたい名前の温泉である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/38/497627f2f377e25a21399f735f702c72.jpg)
横幅の広い島根県の西の端っこ、海沿いの国道から離れて山間にむかってしば
らく走ったところにある、ひっそりとした静かで小さな温泉町だ。開湯は千三百
年まえと、古い。
十軒ほどの宿と、民家が、低い山の狭い面積の斜面に行儀よくはりついていた。
客は、下にある駐車場に車を停めて、荷物を持って石段をふうふうとあがって
いかねばならない。
その石段が、この有福温泉を「山陰の伊香保」といわれる所以であろうが、
伊香保とはスケールが違いすぎてこれはかなり無理がある。
この温泉地は、静かで小さい、を売りにすればいいと思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/76/d5a90219586eb0ec5377b6168967ad16.jpg)
今日の宿は階段をあがりきったところにあった。下から見上げたほどの苦労は
なかった。
チェックイン・・・というより宿帳に記入をすませると、二階の窓際に面した
部屋に案内された。あがってきた石段と、駐車場が下のほうにみえる。
(なにはともあれ、温泉だ!)
浴衣に着替えてさっそく浴場に向かう。
湯がぜいたくにあふれて、静かに流れている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/e5/026d266109cb0e11c72596073d672434.jpg)
無色透明の単純温泉。とにかく、とても柔らかなお湯である。美肌にいいと
いう。
温泉津の強い成分の濃いお湯とは、まるで違う。温度は、すこし温めである。
徹夜明けで使い続けてくたびれきった身体に、なんどでもはいるのならば、
こういう温泉がいいのだろう。
有福温泉はどちらかといえば山のなかにあるのだが、浜田漁港が近いので新鮮
な魚介が食卓にのぼる。
夕食を終えると、外湯にいくことにした。
共同浴場は御前湯、やよい湯、さつき湯の三軒ある。
やよい湯はぬるいと聞いたので、まず、さつき湯にはいることにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/64/3406793388fed18fac15dd1ddf08e87c.jpg)
すこし深めの浴槽に、わたし好みのすこし熱めの、たっぷりの湯があふれて
いる。
腕をまわし、首をまわし、脚を曲げ伸ばす。ポンコツの、あちこちのジョイン
トで油が切れ掛かっているわたしの身体の隅々に、ありがたい有福の湯が浸透し
て動きがスムースになっていく。
大満足の外湯であった。
朝食前に宿の内湯、朝食後には外湯の午前湯にはいる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/c8/df4cb02bf236f83c156a75618d11e0a1.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/f1/ebd84eba1b78df5a8d3b0fa317762834.jpg)
昭和初期に作られた、タイル張りの外観が有名な外湯である。前回ここに来た
ときに立ち寄っている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/f4/aca14b17956124883eb691a48ebc67ad.jpg)
昨夜はいった、さつき湯の前を通り、狭い温泉街をぶらぶらして、宿に戻る。
玄関をはいったところで、寡黙な宿の主人が靴を磨いていた。そういえば、出
かけるときにも靴を磨いていて見送られた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/b4/fd4ce3991c71eae3774ffb766f1d8cdd.jpg)
風がはいってくるロビースペースのところで、一服する。
部屋に戻って、出発の準備をして降りてくると、ご主人の靴磨きもようやく
終了するところのようである。
宿代を支払い、さて靴を履こうとして、自分の靴がなかなか見当たらない。
天気も悪かったので、泥まみれが白く乾いて汚い靴のはずだ。誰かが間違えて
履いていくとは思えない。
(あっ、これだ・・・)
実際には、目の前にあるのだがピカピカすぎて気がつかなかったのである。
靴下を洗ってくれた宿、靴を磨いてくれた宿、どちらも経験をしているのだ
が、実際にはいままでそれぞれ一軒しかしらない。できそうで、なかなかできな
いサービスである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/3f/631ea55f4a269a5d15eb4934f4325513.jpg)
ご主人にお礼をと探すが見当たらない。
「こんなに綺麗に磨いていただきありがとうございました。そう、ご主人にくれ
ぐれもよろしくいっておいてください」
そう、仲居さんに頼んで宿をあとにしたのであった。
→「温泉津温泉(1)」の記事はこちら
有福とは、いかにもありがたい名前の温泉である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/38/497627f2f377e25a21399f735f702c72.jpg)
横幅の広い島根県の西の端っこ、海沿いの国道から離れて山間にむかってしば
らく走ったところにある、ひっそりとした静かで小さな温泉町だ。開湯は千三百
年まえと、古い。
十軒ほどの宿と、民家が、低い山の狭い面積の斜面に行儀よくはりついていた。
客は、下にある駐車場に車を停めて、荷物を持って石段をふうふうとあがって
いかねばならない。
その石段が、この有福温泉を「山陰の伊香保」といわれる所以であろうが、
伊香保とはスケールが違いすぎてこれはかなり無理がある。
この温泉地は、静かで小さい、を売りにすればいいと思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/76/d5a90219586eb0ec5377b6168967ad16.jpg)
今日の宿は階段をあがりきったところにあった。下から見上げたほどの苦労は
なかった。
チェックイン・・・というより宿帳に記入をすませると、二階の窓際に面した
部屋に案内された。あがってきた石段と、駐車場が下のほうにみえる。
(なにはともあれ、温泉だ!)
浴衣に着替えてさっそく浴場に向かう。
湯がぜいたくにあふれて、静かに流れている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/e5/026d266109cb0e11c72596073d672434.jpg)
無色透明の単純温泉。とにかく、とても柔らかなお湯である。美肌にいいと
いう。
温泉津の強い成分の濃いお湯とは、まるで違う。温度は、すこし温めである。
徹夜明けで使い続けてくたびれきった身体に、なんどでもはいるのならば、
こういう温泉がいいのだろう。
有福温泉はどちらかといえば山のなかにあるのだが、浜田漁港が近いので新鮮
な魚介が食卓にのぼる。
夕食を終えると、外湯にいくことにした。
共同浴場は御前湯、やよい湯、さつき湯の三軒ある。
やよい湯はぬるいと聞いたので、まず、さつき湯にはいることにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/64/3406793388fed18fac15dd1ddf08e87c.jpg)
すこし深めの浴槽に、わたし好みのすこし熱めの、たっぷりの湯があふれて
いる。
腕をまわし、首をまわし、脚を曲げ伸ばす。ポンコツの、あちこちのジョイン
トで油が切れ掛かっているわたしの身体の隅々に、ありがたい有福の湯が浸透し
て動きがスムースになっていく。
大満足の外湯であった。
朝食前に宿の内湯、朝食後には外湯の午前湯にはいる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/c8/df4cb02bf236f83c156a75618d11e0a1.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/f1/ebd84eba1b78df5a8d3b0fa317762834.jpg)
昭和初期に作られた、タイル張りの外観が有名な外湯である。前回ここに来た
ときに立ち寄っている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/f4/aca14b17956124883eb691a48ebc67ad.jpg)
昨夜はいった、さつき湯の前を通り、狭い温泉街をぶらぶらして、宿に戻る。
玄関をはいったところで、寡黙な宿の主人が靴を磨いていた。そういえば、出
かけるときにも靴を磨いていて見送られた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/b4/fd4ce3991c71eae3774ffb766f1d8cdd.jpg)
風がはいってくるロビースペースのところで、一服する。
部屋に戻って、出発の準備をして降りてくると、ご主人の靴磨きもようやく
終了するところのようである。
宿代を支払い、さて靴を履こうとして、自分の靴がなかなか見当たらない。
天気も悪かったので、泥まみれが白く乾いて汚い靴のはずだ。誰かが間違えて
履いていくとは思えない。
(あっ、これだ・・・)
実際には、目の前にあるのだがピカピカすぎて気がつかなかったのである。
靴下を洗ってくれた宿、靴を磨いてくれた宿、どちらも経験をしているのだ
が、実際にはいままでそれぞれ一軒しかしらない。できそうで、なかなかできな
いサービスである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/3f/631ea55f4a269a5d15eb4934f4325513.jpg)
ご主人にお礼をと探すが見当たらない。
「こんなに綺麗に磨いていただきありがとうございました。そう、ご主人にくれ
ぐれもよろしくいっておいてください」
そう、仲居さんに頼んで宿をあとにしたのであった。
→「温泉津温泉(1)」の記事はこちら
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