温泉クンの旅日記

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伊勢うどん 三重・伊勢

2009-11-18 | 食べある記
  <伊勢うどん>

 ちょっと見、優しそうなひとに見えたのに話してみるとけっこう嫌なヤツだっ
たり、取っつきの悪そうなひとだが、話してみるといいヤツだったりすることが
実生活では案外ある。



 伊勢うどんも、いかにもとっつきが悪かった。
 腰のなさそうないかにも生っ白い極太うどんに、黒っぽい濃厚な汁というか溜
り醤油がちょっとだけかかっているという代物である。箸休めになりそうな具も
ほとんど載ってない。

 なんか貧乏くさいし、血圧に悪そうだなあ・・・というのが、見た目、最初の
感想であった。
 だから、機会に恵まれてもなかなか伊勢うどんの店の暖簾をくぐることはなか
った。
 もともと「素うどん」と呼ばれていたのが、五十年ほど前くらいから「伊勢う
どん」という名前で定着したそうである。 



 伊勢神宮あたりは、どこにいっても伊勢うどんの店ばかりである。
 せっかく伊勢にきて、名物の伊勢うどんを食ったことないというのもなんだ
な。全国あちこちの蕎麦やうどんを食べ歩いているわけだしな。高いうどんでは
ないのだから、ダメならそこで残せばいいか。

 そう思って、ある日食べてみたらこれが案外いいヤツじゃなかった、素朴で旨
いうどんであった。
 ただし讃岐うどんとか吉田うどんとか、「とにかく腰がすべてさ」みたいな
うどんが好みだと相当な抵抗があるかもしれない。



 まったくの別物である。
 煮込みすぎたくらいな鍋焼きうどんが好きなら、たぶんだいじょうぶ。
 わたしは、風邪を引くと決まってよく煮込んだ熱々の鍋焼きうどんを食べると
いう人間なので、この伊勢うどんのフニャフニャもちもちの食感はどちらかと
いうと、好きである。
 黒っぽいタレも、溜り醤油と鰹節や昆布のだし汁を加えてあるので見た目とは
違ってまろやかである。

 もともと昔は、伊勢参りなど生涯にそうそう何度もできないはずで、路銀と
宿賃に大枚はたいているわけだから、こんな安価な食べ物は参詣者にはなにより
だったのだろう。

 もちろん、現代の参詣者の懐にもやさしいのである。

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