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温泉クンの旅日記

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峩々温泉(2)

2019-02-03 | 温泉エッセイ
  <峩々温泉(2)>

 峩々温泉は、蔵王国定公園の真ん中にぽつんとひっそり佇む一軒宿である。たった一軒だけ、他に建造物はまったくない。

 

 

 昭和になってから現在の温泉名と変わったが、明治初期のころは「鹿の湯」といわれる湯治場だったそうだ。
 玄関入口のところに掲げられた、峩々温泉の「峩」をモチーフにしたロゴマークもすこぶる洗練されたセンスでとても味わいがある。

 

「あれっ、宿自慢のボンネットバスがないなあ・・・」
 前に、日帰りやら宿泊やらで来たときには、玄関近くの広場にドーンと駐車していたのだ。

 

 四輪駆動のレトロなボンネットバス(いすずTSD40 1970年式)だが、宮城県仙台市交通局で使われたのち青森の営林署に渡り、1980年に「蔵王銀嶺号」と名付けられて復活し温泉客の送迎用に使われていたのである。厳冬期の坂道は運転が怖い。だから車で来た客の多くも、遠刈田温泉に車を置いてボンネットバスを利用したそうだ。
 わたしが、前に峩々温泉に泊まったときの記憶ですぐ甦るのは、あつ湯のかけ湯、朝の水出し珈琲、ボンネットバスの三つである。

 

 

「あの『ボンネットバス』はどうされたのですか?」
 記帳しながらフロントでズバリと訊いてみると、数年前に処分してしまったという。しょうがないだろうな、半世紀前のバスでは故障したら部品調達もままならないものな。
「ただ、どうしても譲ってほしいという『他県の方』がいらしてお譲りいたしました」
 もしかしたらですが、そちらでまたまた復活するかもしれません、とのことだった。生涯現役か・・・。それにしても宿のシンボルがなくなってしまったのは残念至極。

 フロントの右側には飲泉処があった。左の蛇口が温泉、右は岩清水。峩々温泉での湯治は、入浴、あつ湯のかけ湯、そして飲泉の三つなのだ。

 

 フロントの左手には、広い談話室がある。

 

 書架にある本は椅子や座敷に座って自由に読めるのだろう。
 窓際に、頼もしい薪ストーブが設置されている。なにしろこの地は厳冬期には積雪が三メートルを超え、外気は氷点下十度を下回るのである。

 

 そういえば薪だが、談話室の奥だけでなく、玄関脇や、玄関入ったところにも大量に置かれていた。

 

 

 この談話室は、夜になると源泉で割った「峩々割」やカクテルなどを提供するバーラウンジになる。
 
 案内された部屋は、玄関のある建物内から右へ曲がり階段をあがったところの客室棟にあった。

 


  ― 続く ―


   →「峩々温泉(1)」の記事はこちら
   →「遠刈田温泉」の記事はこちら


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