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温泉クンの旅日記

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鬼首温泉

2017-10-22 | 温泉エッセイ
  <鬼首温泉>

「ふむ。わざわざ立ち寄ってみて正解だったな・・・」



 先客が誰もいない浴室なので思わず声に出してしまった。
 足先に湯をかけると好みの熱めである。掛け湯をたっぷりしてから、内湯に身を沈めていく。





 鳴子温泉郷の中山平温泉の極上のうなぎ湯をさんざん堪能した帰りに、懲りずにもう一丁立ち寄り湯をしていこうなどとフツ―は思わないだろう。
 鳴子の近くから左折して湯沢に向かって走ると右折して、吹上高原にある鬼首温泉の日帰り温泉施設「すぱ鬼首の湯」だ。



 栗駒国定公園内にある、鳴子温泉の北に位置する鬼首温泉まで中山平から二十分ほどで到着した。



 完全掛け流しであり、どうやら上等の部に入れていい温泉で良かったと胸をなでおろす。ジツはこの温泉地の宿で遥か昔に一度立ち寄り湯をしたことがあり、熱めのいい湯とかすかに記憶していたのだった。
 身体が温まったところで、外の露天風呂に出てみる。



 なかなかの見晴らしである。



 鬼首(おにこうべ)温泉とはインパクトがありすぎる温泉地名だが、もともとは鬼切部(おにきりべ)と呼ばれていたという説や、坂上田村麻呂が蝦夷征伐で蝦夷首領の大武丸を斬ったとき、その首がこの地に落ちたので鬼首と呼んだという伝説がある。



 しかし、出来たてホヤホヤの恋人なんて誘いにくいだろうなあ。独り占めしている露天風呂で四肢を思い切り伸ばして暫し妄想する。

「あのォ、行ってみたい、いい温泉があるんだけど今度一緒に行かない?」
 できれば一泊で、との言葉を男は呑みこむ。
「あら、そう。それってどこ、どこなの?」
 女は満更でもないようで、せがむように眼を輝かす。
「オニコウベ温泉っていうんだけど・・・」
 お前はアホか! もうチィト、ロマンチックな処はないんかい。いったいどこの誰が、なにが悲しくて、鬼首なんてそんな不気味なところを初デートの思い出に残したいと思うか。
「いつかね、じゃあね!」
 とっとと一人で行けっつーの! 女は背を向け去っていく・・・。



 なーんて、ね。鬼首温泉に宿泊施設が少ない理由に地名が関係しているかも、なんてつい湯のなかでバカな邪推をしてしまった。
 鳴子温泉郷は鳴子温泉、東鳴子温泉、川渡(かわたび)温泉、中山平温泉、鬼首温泉の五カ所の温泉地があるが、とにかくどれも掛け値なしにいい湯ばかりである。



  →「中山平温泉、うなぎ湯の宿(1)」の記事はこちら
  →「中山平温泉、うなぎ湯の宿(2)」の記事はこちら
  →「中山平温泉、うなぎ湯の宿(3)」の記事はこちら
  →「中山平温泉、うなぎ湯の宿(4)」の記事はこちら



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