<久村の酒場(2)>
ピザはそれほど大きくなく、一人前でもの足りないほどだからわたしには一品としてちょうどいい。生地もそれなりの弾力で、上に載ったチーズもなかなかいい味をしている。
早めに危険な日本酒に切り替えたが、ホテルまでは五分とかからない。乗り過ごしの心配はまるでないからまあいいだろう。
二杯目の日本酒「鯉川亀治好日」と、ここはやっぱり海鮮系も欲しいところなので岩ガキを注文した。

岩ガキは日本海の、その海の豊饒を、口いっぱいに満喫できる。
三杯目の「初孫純米大吟醸」を呑みきって、比べるとやはり最初の「つや姫」がなんとなく一番に思えて四杯目とする。そして夏場だから茄子の漬物で締めた。

ところで鶴岡ラーメンよりは酒田ラーメンのほうが、若干知名度がある。
酒田ラーメンの特徴は豚骨や鶏ガラ、煮干しと昆布の透きとおった醤油味のスープ、自家製麺の比率が高く、具はチャーシュー・メンマ・ネギが基本らしい。
鶴岡ラーメンを昼に食べたのに、なんとなく食べてみたい。なにしろ酒田なんてそうそう来られる距離ではないのだ。
久村の酒場の開店時間を待っている間、チェックインしたホテルの部屋でいろいろ調べると、酒田ラーメンの店はいずれも営業時間が短い。だいたい夕方くらいには閉店しているのである。
「酒田ラーメンをいまから食べられる店はありませんかね」
勘定を払うときに無理を承知で訊いてみた。
「有名店でなければ、この先の居酒屋ならまだ食べられますよ」
相馬楼のすぐ先の左側・・・あった、あった。

店に入ると、誰もいないカウンター席と小上がりの座敷、奥には広い座敷があるようでそちらは賑やかであった。

小上がりに座って、とりあえず焼酎の水割りと、そしてラーメンはゆっくり作ってくれと頼む。
焼酎を呑み切るころにタイミングよくラーメンが届く。

「あれっ!」
入り口のガラス戸の下のほうに、猫らしい影がかしこまって座っているのが見える。

ふむ、なにかあげるもの・・・チャーシューがいいか。塩分を口のなかで薄めるように吸いながら、そっとガラス戸をあけてしゃがみこみ、与えてあげた。猫は嬉しそうに咥えて暗がりに逃げていった。
席に戻ってラーメンを啜っていると、またガラス戸に影が戻って来た。それも一匹ではなさそうだ。
しかたねえなあ。またチャーシューを持っていくと、なんと三匹いて、どうやら昼間相馬楼の大広間からみかけた猫たちらしい。
こいつらは、チャーシュー三兄弟か。店のなかには入ってこない行儀良さもあるし、毎晩のように来ているのではないか。もらい慣れている。
ナルトを持っていったりして忙しかったので、不覚にも酒田ラーメンの味はよく覚えていない。
→「久村の酒場(1)」の記事はこちら
→「酒田、相馬楼」の記事はこちら
→「鶴岡ラーメン」の記事はこちら
ピザはそれほど大きくなく、一人前でもの足りないほどだからわたしには一品としてちょうどいい。生地もそれなりの弾力で、上に載ったチーズもなかなかいい味をしている。
早めに危険な日本酒に切り替えたが、ホテルまでは五分とかからない。乗り過ごしの心配はまるでないからまあいいだろう。
二杯目の日本酒「鯉川亀治好日」と、ここはやっぱり海鮮系も欲しいところなので岩ガキを注文した。

岩ガキは日本海の、その海の豊饒を、口いっぱいに満喫できる。
三杯目の「初孫純米大吟醸」を呑みきって、比べるとやはり最初の「つや姫」がなんとなく一番に思えて四杯目とする。そして夏場だから茄子の漬物で締めた。

ところで鶴岡ラーメンよりは酒田ラーメンのほうが、若干知名度がある。
酒田ラーメンの特徴は豚骨や鶏ガラ、煮干しと昆布の透きとおった醤油味のスープ、自家製麺の比率が高く、具はチャーシュー・メンマ・ネギが基本らしい。
鶴岡ラーメンを昼に食べたのに、なんとなく食べてみたい。なにしろ酒田なんてそうそう来られる距離ではないのだ。
久村の酒場の開店時間を待っている間、チェックインしたホテルの部屋でいろいろ調べると、酒田ラーメンの店はいずれも営業時間が短い。だいたい夕方くらいには閉店しているのである。
「酒田ラーメンをいまから食べられる店はありませんかね」
勘定を払うときに無理を承知で訊いてみた。
「有名店でなければ、この先の居酒屋ならまだ食べられますよ」
相馬楼のすぐ先の左側・・・あった、あった。

店に入ると、誰もいないカウンター席と小上がりの座敷、奥には広い座敷があるようでそちらは賑やかであった。

小上がりに座って、とりあえず焼酎の水割りと、そしてラーメンはゆっくり作ってくれと頼む。
焼酎を呑み切るころにタイミングよくラーメンが届く。

「あれっ!」
入り口のガラス戸の下のほうに、猫らしい影がかしこまって座っているのが見える。

ふむ、なにかあげるもの・・・チャーシューがいいか。塩分を口のなかで薄めるように吸いながら、そっとガラス戸をあけてしゃがみこみ、与えてあげた。猫は嬉しそうに咥えて暗がりに逃げていった。
席に戻ってラーメンを啜っていると、またガラス戸に影が戻って来た。それも一匹ではなさそうだ。
しかたねえなあ。またチャーシューを持っていくと、なんと三匹いて、どうやら昼間相馬楼の大広間からみかけた猫たちらしい。
こいつらは、チャーシュー三兄弟か。店のなかには入ってこない行儀良さもあるし、毎晩のように来ているのではないか。もらい慣れている。
ナルトを持っていったりして忙しかったので、不覚にも酒田ラーメンの味はよく覚えていない。
→「久村の酒場(1)」の記事はこちら
→「酒田、相馬楼」の記事はこちら
→「鶴岡ラーメン」の記事はこちら
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