1
わたしの視力では雨が降っているのかどうかが判別できないが、耳が雨を認識している。スレートに雨垂れが落ちて来る。それが雨音になって耳に届く。もう雨はじきに止むのかも知れない。音が次第にか弱くなって行く。
2
雨が降るたびに、気温が緩んで行く。畑の野菜たちが次々と可憐な菜の花を伸ばして行く。巻く白菜も、巻かない白菜も、青梗菜もターサイも、ほうれん草も春菊も、高菜も大根も。ブロッコリーも。やがてはフカネギも。小ネギも。
3
花を咲かせて種を育てて次の世代に命のバトンを渡して行く。次へ次へ次へ。この営みがあるので、地上はいのちを常に溢れさせていることができる。そういう植物たちの生の営みを見ていると、それがにんげん達の営みにも重なり合って見えて来る。