背かない。称賛する。従う。誉め讃える。仰ぐ。奉る。正しいとし、義とする。否定をせずに正面を向いている。
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こうすれば神さまは喜ばれるであろうと思った。神の国に入れる、神の国には入れないなどと書いてあるが、上記の行動をしていれば、そうした選別の網には掛からないで済むだろうと思った。
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ではそれができるか。さぶろうにそれができるか。瞬時はできるかもしれない。そういう気分になることもあるかもしれない。しかし、きっとしれにも疑いを入れて掛かるだろう。
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自己の不幸不運にこと寄せて疑いの地獄に堕ちることもあるだろう。世を正しいと思えなくなるということもあるだろう。そしてそこをどうにか通り過ぎる。明るい青空が見えて来る。そして背いたことを悔いる。悔いが深まる。
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背かない。従う。仰ぐ。称賛する。誉め讃える。こうしたことを喜ぶのは、しかし、人も同じだろう。指導者を自称している人は、こうしてほしいと切望するだろう。国家も国家を率いる指導者もそうだろう。そこまで行かなくとも社会構成の上位に立つ人たちなら、そういう縦列をよろこぶだろう。
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おべんちゃらではなく、こころの底から誉め讃えることができるときもある。そういうときには当の本人だって喜びには入れる。背くことは選択肢にないというときにはこころが晴れ晴れとする。五月の大空のように晴れ晴れとする。
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五月の空を正しいとして義とする。今日の空はそんな空である。山々からは新緑の甘い風が吹き渡ってくる。山の麓のあちこちには栴檀が花を着けて、この世の成り立ちに賛辞を贈っている。渡って来た夏鳥たちが神々を讃える賛歌を歌っている。それらの行動の一々がいかにも自然に聞こえて来る。