(観世音菩薩の)名を聞いてその菩薩の身を(心に思い)見て、心に念じて空しく過ごさざれば、能(よ)く諸々の有苦(うく)は滅するであろう。たとい害意興(おこ)って、大火坑(だいかきょう)に推(お)し落とされんに、彼の観音(菩薩)の(威神)力を念ずれば、その火坑(かきょう)もたちまちに変じて(水の静かな)池となるであろう。
妙法蓮華経 観世音菩薩 普門品(ふもんぼん)偈より。
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経典は「わたしがあなたを救うぞ」と書いてある。「苦境に立たされても、必ずあなたを救うぞ」「恐がるな」「仏のわたしがあなたを導いているから安心していなさい」「あなたが生きているところは仏のいる世界である」と書いてある。さまざまな表現を駆使して、言葉巧みに口説き落としてある。猜疑心の根深いわたしの疑問が解けるまでくどくどとくどくどと解き明かしている。一巻全部、百巻全部を費やして、ただただ「あなたを救うぞ」と伝えている。
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これが仏教に限ったことではないはずである。そういう救済する大きな大きなパワーが働いている世界に、わたしたちが暮らしている、ということだろう。経典を読むとじわりと涙になる。
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「観世音」とは、「世の中に住んでいる人たちの苦痛の叫び(=声=音)を聴いて、それを感知して、大きく観て下さっている方」という意味合いが込められている。「菩薩」は「利他のハタラキをされている方」の意味合いである。アフガニスタンに赴いて救済活動をされた中村哲医師も菩薩様の一人であったと思う。
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