<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

春一番の光

2007年06月01日 11時55分48秒 | Weblog
☆ この町にほんとに小さき川ありて春の光が一番に来る 前田 康子

 歌詠みの歌はテクニックが見えてそのテクニッシャンぶりが鼻につくことがある。前田康子という人を知らない。たまたまブログで読んだだけである。一読をして、わたしの琴の弦が感じて鳴り出したので、ここに取り上げる。

      *

 歌は共感かもしれない。感じたものを感じ合うのだ。町の中を小さい川が流れている。川だなんて気づかないほどの川だろうから、両岸に生えているスミレ、タンポポ、スカンポ、ギシギシにも目がいかない。そこに立ち止まる作者がいる。川にはちょろちょろと水が流れている。北国だったら雪解けの水は水量が多いだろう。瀬を作っているかもしれない。春の光が降ってくるのが、瀬に立つさざ波でわかる。きらきらして光ってくる。一番先かどうかはあまり大事ではないが、作者にとっての驚きがそれをそう受け取らせたのであろう。作者の心の中にこれでやっと光があふれてくる。さざ波の声が喉元からこぼれてくる。歌は、もともと自然賛歌なのだという思いがこのごろのわたしには強くなってきた。賛歌というのは、すなわち生きている喜びの表明なのだ。素直な感情の歌を読んでみてわたしは幾分素直になってきている。
コメント (2)
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