会わないでいる 山は山でいる 李白黄
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わたしは、会いたい人に会わないでいると、寂しさがつのる。募ってもさみしい感情はおさまらない、会うまでは。さみしいままでいる。と、思っていたら、山が山でいた。山には会いたい山がないのだろうか。あるのだが、たしかにあるのだが、崇高な山が聳えていて、どの山も己のスピリットを高くしようとして、高め合っているから、会いたい山は山ほどあるのだが、会わないままでいる。孤高は己を高くする。でもわたしは、そんな高尚高邁な思惟を持たない。恋しい人愛しい人に隔てられている、そこでもはやただに無性に、さみしい。さみしいままでいる。
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ほろほろ酔うて木の葉ふる 山頭火
山頭火くらいになると淋しいなどとは言わない。言わないが、言わない代わりに、酒にまぎれている。木の葉が降るのさえ、淋しくてならないのに、さみしいも言わないでいる。俳人はこうでなくちゃなるまいが、酒にほろほろ酔うてほろほろ酔うて。山頭火の書く自由律俳句からさみしさが消えたら、おしまいになる。生きているということはさみしいということでもあるのだ。
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わたしは、会いたい人に会わないでいると、寂しさがつのる。募ってもさみしい感情はおさまらない、会うまでは。さみしいままでいる。と、思っていたら、山が山でいた。山には会いたい山がないのだろうか。あるのだが、たしかにあるのだが、崇高な山が聳えていて、どの山も己のスピリットを高くしようとして、高め合っているから、会いたい山は山ほどあるのだが、会わないままでいる。孤高は己を高くする。でもわたしは、そんな高尚高邁な思惟を持たない。恋しい人愛しい人に隔てられている、そこでもはやただに無性に、さみしい。さみしいままでいる。
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ほろほろ酔うて木の葉ふる 山頭火
山頭火くらいになると淋しいなどとは言わない。言わないが、言わない代わりに、酒にまぎれている。木の葉が降るのさえ、淋しくてならないのに、さみしいも言わないでいる。俳人はこうでなくちゃなるまいが、酒にほろほろ酔うてほろほろ酔うて。山頭火の書く自由律俳句からさみしさが消えたら、おしまいになる。生きているということはさみしいということでもあるのだ。