観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

「観察」を閉じることのお知らせ

2015-05-17 22:25:37 | 15
 2007年に麻布大学で研究教育をするようになり、この「観察 Observation」を運営してきました。
 それから8年間、毎月続けてきました。数人の学生から原稿を募り、必要に応じて添削をして文章の書き方の訓練をするという機会にもしてきたつもりです。日常生活で観察したこと、観察をして考えたこと、研究上の報告などもあり、中にはかなりの力作もあったと思います。私にとっては大切な記録にもなりました。そうした素朴な「文集」ですが、訪問者数はだいたい毎日200人くらいで、それなりに安定した読者をえていたようです。
 これは研究室の活動のひとつでしたが、いわば私の「個人経営」でしたから、定年退職を機に閉じることにします。長いあいだありがとうございました。

もくじ

2015-03-14 22:03:27 | もくじ
2015年3月 <高槻教授引退記念号>


モンゴルで草原の調査をする高槻(撮影、佐藤雅俊氏)

はじめに

<友人、知人より>
Maria Galindez-Silva Dear Sensei
橋爪善博(東北大学の同級生) ご退官おめでとうございますー蝶友達として
木場英久(桜美林大学) 高槻先生の思い出
伊藤文代(前小平市教育委員長) 「唱歌『ふるさと』の生態学」の感想
岸本真弓 (野生動物保護管理事務所)最終講義を拝聴して ― あれはカラタチ?ー
森井良子(小平市教育委員長) 私の知らなかった高槻さん
今栄博司 (東北大学卒業)高槻さんの最終講義
井澤健輔(株式会社山と溪谷社自然図書出版部)高槻先生の最終講義を聴いて-『唱歌「ふるさと」の生態学』担当編集者より
橋本幸彦(東京大学大学院修了) お疲れ様でした-クマを調べた橋本
久保麦野(東京大学総合研究博物館) 記載と標本の蓄積に尽くされた高槻先生
中川尚史(京都大学大学院) 最終講義を聞いてー金華山仲間
政岡俊夫(前麻布大学学長) 来てもらってよかった
鈴木和男(田辺市) 最終講義と仲間集め
内山 隆(千葉経済大学) 総合芸術のような
薬袋啓一(町田市) 最終講義-ラグビー仲間
柿沼 薫(東京工業大学) 草原を歩く若者
吉田裕之(環境科学研究所) 森に問いかける
関本克宏(「日経バイオテク」) こんなことを考えていたんだ
原 慶太郎(東京情報大学)私にとっての回帰
金成かほる(外務省) 観察の大切さ

<麻布大学卒業生>
立脇隆文(平成22年度修士修了) いきものの記録装置としてのいきもの好き
奥津憲人(平成22年度卒業) 土の中の絵の具
坂本有加(平成22年度卒業) 手紙と、書くこと
藤本彩乃(平成22年度卒業) 地元に戻って感じる季節
瀧口晴嵩(平成23年度卒業) 生涯の仕事 ― 後輩へ
海老原 寛(平成24年度修士修了) 学生時代にしてほしい観察
戸田美樹(平成24年度卒業) 手作りパン
小森康之(平成25年度卒業) この一年で体験したこと – 鳥を飼い、教える職場で -

2015年3月

雑木林 (2013年3月23日 小平市) 


雑木林 (2013年4月7日 小平市) 

鈴木詩織 ヤマネに出会えた!
望月亜佑子 いっしょに歩いたアファンの森
鷲田 茜 フンとの出会いからはじまった
富永晋也 「つながり」の大切さ
宮岡利佐子 高槻先生と歩く森
山本 楓 1年を振り返って

2015年2月


ロウバイに早春の光 2015.2.3 高尾

高槻成紀 「乗れ!」前田先生を引き継ぐ
落合茉里奈 出会い、触れ合い
土方宏治 その糞はだれの糞?
宮岡利佐子 冬の調査での楽しみ
矢野莉沙子 嫌いだった雪


2015年1月


ケヤキの梢 2013.1.14

高槻成紀 英語で書く
大内 力 素朴な疑問
富永晋也 研究室に入って一年が経って

2014年12月


牡鹿半島の夕景 2014.12.23

高槻成紀 また楽しからずや

上杉美由紀 2014年を振り返って―乙女高原の思い出
大竹翔子 花屋のススキとススキ草原
鈴木華奈 野生動物学研究室に入って変わった自然の見方
鈴木沙喜 シデムシを飼育して
宮岡利佐子 研究室に入って体験したこと 
山本 楓 金華山での初めてのシカの観察


2014年11月


黒姫の森 2014.11.4

高槻成紀 わかりやすい文章
上杉美由紀 小さな住人
大竹翔子 移り行く季節


2014年10月


メスをガードする「オクニヌ」というオス(右) 宮城県金華山 撮影 山本 楓

高槻成紀 小さな質問
高田隼人 ネズミ捕りは奥が深い
椙田理穂 タヌキが戻ってきたということ
秋元 悠佑 私にとっての「自然」
浅井未有子 インターンでの体験
山本 楓 シカの行動調査に参加して

2014年9月

乙女高原で刈り取り実験を終えて一休み

高槻成紀・岩田 翠 戻ってきたタヌキ
岩田 翠 木に登ったイグアナ
三井志文 野外調査に参加して
渡部晴子 変な赤い「実」


2014年8月


群馬県神津牧場での実習風景

高槻成紀 モンゴル草原での出会い
落合茉里奈 夏のツバメはどこにいる?
土方宏冶 話す側になってみて
宮岡利佐子 「動物を見る」ということ
矢野莉沙子 適応ということばを知ったときのこと


2014年7月


スカシユリ 2014.7.22 宮城県網地島にて

高槻成紀 少し変わった「実習」
望月亜佑子 スギ林の色
鷲田 茜 牧場でみたシカとウシ
富永晋也 ひっつき虫
野々村 遥 調査に同行して


2014年6月


八ヶ岳で巣箱に入っていたヤマネ

高槻成紀 「ぼくもうシャベルしない」
中川知己 かくれんぼ
鈴木華奈 密猟は悪い、だけど・・・
鈴木沙喜 みんな大切:シデムシとの出会い


2014年5月



高槻成紀 馬搬を垣間見る
椙田理穂 古いデータをひもとくこと
鈴木詩織 5月―動物との初の出会いの月
上杉美由紀 身近な外来動物
大竹翔子 私のお気に入りの場所

2014年4月


タチツボスミレの群落 2014.4 高尾

高槻成紀 またの春
柏木美香 野生研での成長
小森康之 二年間に得た「縁」
�田隼人 カモシカの体色のバリエーションについて
岩田 翠 意外な一面
土屋若葉 誰がわるもの?
秋元 悠佑 凶暴なイノシシ?
山本 楓 多摩森林科学園での観察 

2014年3月


冬芽を突き抜けたコナラの新葉 2013.3

高槻成紀 最後の登り
高槻成紀 心に響く発表
山本詩織 
朝倉源希 大きな問題への小さな貢献 ― カモシカを調査して ―
遠藤嘉甫 研究室での2年間を振り返って
笹尾美友紀 星をみつけた
鈴木里菜 種子散布研究との出会いと、これから
萩原もえか 野生動物学研究室に入ってよかった
森悠貴 先入観を取り除く
安本 唯 テンとフン

2014年2月


時ならぬ雪 2014年2月14日 麻布大学

高槻成紀 戦後の子供の本
中川知己 解剖での黙祷

2014年1月


高槻成紀 違い、段差と斜め板


2013年12月


高槻成紀 食べる、食べられる、食べさせる
小森康之 カエルとの出会いを経て 
椙田理穂 よく見つけられるね

2013年11月


里山の黄葉 2013年11月24日 東京都東村山市

高槻成紀 「北に生きるシカたち」復刻版によせて
朝倉源希 小さな発見
佐々木将隆 色の変化


2013年10月


ススキに風

高槻成紀 カヤネズミとアライグマ、ジョンと正男
高田隼人 四国のカモシカ
岩田 翠 なにごともほどほどに 
片山阿佐美 隠れ下手 


2013年9月


秋の空

高槻成紀 鯱鉾
山本詩織 マレーシアで体験した野生動物の危険  
山尾佳奈子 森のキャビア 
土屋若葉 小さな隣人


2013年8月


モンゴル、モゴッドの景観

高槻成紀 頑固さ:モンゴル牧民のデールを見て思ったこと
安本 唯 とうとう会えた 
望月亜佑子 いもむし・けむし 
鷲田 茜 動物を内側から見る
高槻成紀 二つの原稿を読んで



2013年7月


観察する学生たち 2013.7.20 長野県黒姫アファンの森

高槻成紀 ホンモノなの?
千葉琴美 スルメに食らいつく赤いやつ
萩原もえか スイスで見た人と自然の在り方
中川知己 努力の光

2013年6月


ミズタビラコ 2013.6.12 長野県黒姫アファンの森

高槻成紀 マレーシアで見た二つの「二つの世界」 
高田隼人 見たことないカモシカを見た! 
笹尾美友紀 瞳に夢中 
鈴木里菜 ツバメ通り 
須藤哲平 島での出会い 
銭野 優百聞と一見 


2013年5月


タニギキョウ 2013.5.26 丹沢

高槻成紀 標本を集めるということ
山本詩織 大山のふもとには
小森泰之 人に教えるということ
佐々木将隆 聞こえる声の変化
椙田理穂 カンボジアで見たサル ―- 常識とは?
鈴木詩織 ヤマネのことを調べたい


2013年4月


アズマイチゲ 2013.4.14 アファンの森

高槻成紀 サケと少数民族 
朝倉源希 どこかから見られている
遠藤嘉甫 研究室での生活におけるモチベーション 
岩田 翠 竹やぶの階段物語 
片山阿佐美 白いへんなやつ
加藤美穂 骨をとおして


2013年3月



高槻成紀 枝のような蛾 
海老原 寛 Observation = Observed 
大津綾乃 私を変えた6年間 
八木 愛6年という月日が私にくれたもの 
大貫彩絵 下を向いて歩こう
小島香澄まだ思い出にはしたくない 
佐野朝美 選択
戸田美樹 濃かった2年間 


2013年2月



高槻成紀 おとぎ話
戸田美樹 火起こしが得意なアイドル
森悠貴 日光浴は苦しい!?


2013年1月



高槻成紀 恥ずかしがるな
小島香澄 返答と追伸
佐野麻美 ゾウのはな子
笹尾美友紀 トラップにかけられた!
鈴木里菜 外来種はよくない?!
千葉琴美 白の世界


2012年12月



高槻成紀 頻度と占有率:食性分析で考えたこと
嶋本祐子 たまにはつまみぐい
八木愛 きっかけは意外なところに - ワニとの出会いがすべての始まり -
大貫彩絵 となりのタヌキ
鏡内康敬 冬が来た!
柏木美香 これは冬眠準備?

 
2012年11月


11月のアファンの森

高槻成紀 木造校舎の火事
海老原 寛 サルを見てヒトを思う
大津綾乃 ユニコーンが教えてくれたこと
久保薗昌彦 海の中の世界―ダイビングの入り口―
遠藤嘉甫 野鳥観察を通して
落合茉里奈 初心に帰る


2012年10月


ガマズミ 2012.10.6 神津牧場

高槻成紀 ミクロ生物学が「わかる」
山田佳美 マレーシアで出会ったイーピンさん
中村圭太 「知る」ということ-シカの観察を通じて
青木悠香 実習で体験したこと
朝倉源希 実習での体験とタヌキをみて思ったこと 

2012年9月


遠野盆地の景観

高槻成紀 松を立てる
高橋和弘 乙女高原の調査をして考えたこと
原 渚 「害獣」ということ
安本 唯 家の近くの森の変化
山尾佳奈子 調査地での出会い


2012年8月


マツムシソウで吸蜜するアポロチョウ、2012年8月モンゴル、ボルガンにて

高槻成紀 おもしろいと思うことをやればいい
田隼人 カモシカの観察 
戸田美樹 土地への執着 ― シカ生息地を訪問して思ったこと
萩原もえか ウミガメに会いにいこう
森 悠貴 守るために殺す
廣本祥恵 伊豆動物園で個性に触れる

2012年7月


アファンの森を歩くオスジカ(センサーカメラによる)

高槻成紀 哀しみ 高尾山トンネル裁判に思う
小島香澄 気付く、気付かれる
小山めぐみ スズメの足音
佐野朝実 野ネズミの違い:去年は気づかなかったこと
笹尾美友紀 調査ガール、尾瀬へ行く
鈴木里菜 セミの声
千葉 琴美 セミ ―命のループ―


2012年6月


町田図師にある神明谷戸 2012.6.28

高槻成紀 美しい田園地帯を見て思う不条理
嶋本祐子 水上の忍者の下に
八木 愛  カメムシの色 
池田有香 ゴキブリやゴミムシのこと:子供の目
大貫彩絵 空にも色々ありまして
鏡内康敬 西表島いきもの紀行
小森康之 都会の中の自然


2012年5月


山梨県早川

高槻成紀  茶碗と鍬           
海老原寛  Observed ~ 他人から見た自分 
大津綾乃  お土産 
久保薗昌彦 我が家に猫がきた       
遠藤嘉甫  親睦旅行を終えて       
落合茉里奈 三浦市の自然と自分      

2012年4月



   高槻成紀   思い込みと「定説」を疑う:石若さんとの交流
   南 正人   新しいカモシカ像に向かって
   樋口尚子   11年目のコジカ調査を前に
   山田佳美   新生活
   山本詩織   まなびのまきば
   中村圭太   初めての野外調査
   青木悠香   春の植物
   朝倉源希   私の好きな春

2012年3月



金華山のイヌシデ 2010.3

高槻成紀 一年が経った
山田穂高 積み重なっていくもの
吉田綾子 5年間を振り返って
海老名 健 お世話になったこと
神宮理沙 木を伐るということ
杉浦義文 卒業をむかえて~何を守り、なぜ守るのか~
寺内麻里絵 測ることに出来ない成長
野呂ほづみ モンゴルの動物を調べるまで
安田慧美 卒業式を控えて


2012年2月


枝に雪 2012.1.23 小平市

高槻成紀 一本松とナラ
久保薗昌彦 アライグマが駆除されるのはなぜ?:「自然」の考え方
野呂ほづみ オーロラを見て
加古菜甫子 土を汚したくない


 


 


                         

   

私にとっての回帰

2015-03-13 08:22:54 | 15
原慶太郎(東京情報大学)

 早いもので最終講義から1週間が経ちました。「回帰」というテーマが、講義全体に重層的に織り交ぜられ、高槻さんの回帰の話なのに、自分の回帰にもつながり、実に濃密な90分でした。ありがとうございました。
東北大学の植物生態学研究室時代は、高槻・辻村の博士課程後期の院生を筆頭に途切れることなく各学年に院生がおり、毎週開催されるゼミは、植物の生態に軸足を置きながら、地形、花粉、動物、都市、などなど、実に多様な分野の成果の発表と議論がなされました。今になって思うと、その時の様々な経験が景観生態学に取り組んでいる現在の自分の大きな柱になっていることを感じます。高槻さんはというと、ゼミの間、せっせと鉛筆を動かしているのかと思って目をやると、それが演者の似顔絵だったりするのです。しかし、発表に対するコメントは、(悪気はないのですが)容赦なくストレートで、ゼミ終了後に落ち込んだ者は少なくありませんでした。そんな時間を共にした仲間が今回の最終講義に集まり、仙台にいるような感じにさえなりました。
研究室でご一緒した10年ほどの間、高槻さんからボソッとこぼれるひとことは、私の心にいまも残っています。講義でも紹介されたように高槻さんは米国に留学され、その後、パンダ研究で中国に渡ります。
「米国に行くのとは、重みが違うよ」
その時は、中国の歴史や日本との関係のことかと思っていましたが、今回、ご両親が満州から終戦で帰国され、その時の様子を聞かされたことを伺って、より深い意味があったことを理解しました。私の祖父も同じ満鉄に勤務しており、祖母からその時の話を聞かされて育ちました。その後、中国を研究の対象として何度か調査に行く機会を得ましたが、祖父母が暮らしていた瀋陽(奉天)や長春(新京)を訪れたことは、高槻さんの中国やモンゴル調査行と同様、私にとっての「回帰」だったように思います。改めて、出会いとご厚情に感謝します。


こんなことを考えていたんだ

2015-03-11 15:14:29 | 15
関本 克宏

高槻 様

 先日は楽しい時間をありがとうございました。東北大学動物生態学研究室に在籍していた関本です。
 当日思い出したのは、五葉山に連れて行っていただいて、何度も高槻さんの研究に対する姿勢に触れるにつれ自分は研究者には向いていないなあと、つくづく思ったことでした。そして畑違いの企業に就職したわけですが、「北に生きるシカたち」を読んだときに、「ああ、こんなことを考えていたんだ」と私の選択が間違っていなかったことを改めて認識しました。
 今、私は「日経バイオテク」という媒体の編集長をしています。
https://bio.nikkeibp.co.jp/先日のパーティでも、多くの東北大出身者から「おお、あれか」と声をかけていただきました。研究者としての道を歩んでいる方々と今も接点があることをうれしく思います。

手作りパン

2015-03-11 08:30:49 | 15
戸田美樹

高槻先生へ

 学生達の卒業研究も無事に全て終わったでしょうか。先ほど、たまたま卒業間際の先生とのやりとりのメールを見つけて読み返していたのですが、先生に怒られる内容ばかりで、笑ってしまいました。
 最後の学生さん達の卒業式もあと数日ですね。いつもは学生達を送り出す立場だったのに、今度は先生も一緒に卒業なさるのですね。未だに、大西さんと山田さん(奥さん)と「信じられないね~」なんて話をしています。
 先日の最終講義の日は、早川はとても忙しい日だったのですが、大西さんが「私だけでも」とお休みをくださり、先生の最終講義を受けに大学に足を運ぶことができました。
 大西さんは、出席できないのは残念がっていましたが、「ボクは、また高槻さんのうちで奥さんの手作りのパンを食べながらお話できればいいんだ」とおっしゃっていました。私も奥様の手作りのパンが食べたいので、いつかご自宅に伺わせてもらえたら嬉しいです。
 講義は、ご自身の人生を振り返りながら、自分自身の研究を分析して考察なさり、そしてすべてが「つながっている」んだと、とても先生らしく壮大な講義でした。手描きのイラストがたくさんあったのも楽しかったです。大西さんにもイラストをお見せしたかったのですが、冊子にはなかったのが残念です。研究者としての自然への視点と、動植物を慈しむ気持ちで自然を見る心の両方を持つ高槻先生のような方に指導していただけて、本当によかったです。改めて、本当にありがとうございました。(もっとしっかりやればよかったと卒業後に反省しています)
 なにより、先生の幸せそうな姿を見ることができて、最後に一緒に歌をうたえてよかったです。ただ、先生が引っ張りだこで、いつ話しかけていいものかわからず、全然お話できなかったのが心残りなので、いつか改めて挨拶に伺いたいと思います。
 
戸田さんは麻布大学の研究室の卒業生。いまは早川にある南アルプス生態邑でインタープリターとして働いています。上司の大西信正さんは金華山で長年シカの調査をしてきた人で、ときどき仙台の我が家によってくれました。昨年は家族が早川に遊びに行きました(高槻)。

観察の大切さ

2015-03-11 08:26:24 | 15
金成かほる

高槻先生、

先生のお話は大変楽しかったです。また、観察に重きを置くこと、条件を調整した実験系での科学とは別の大きな価値があるというお話、とても心にしみました。私も、自然環境に従事するなら、フィールドに出ることは重要だと思っています。私のいまの仕事だと、フィールドの経験や理解がないまま机上の仕事で終える人も多いです。そこにはさみしさというか、矛盾というか、疑問というか、そんなものを感じたりします。
良いお話を聞かせて下さり、ありがとうございました。
 お子さん向けのご本を書いておられるとは、とても良いですね。先生ならお子さんに楽しいご本になりそうです。
 今後も引き続きよろしくお願いいたします。



ご退官おめでとうございます ― 蝶友達として

2015-03-02 23:34:53 | 15
東北大学の同級生で昆虫と海外旅行が好きで気の合った橋爪さんから最終講義に参加するという連絡をもらいました。

橋爪善博

 無事退官を迎えられおめでとうございます。好きな仕事を存分にこなされ素晴らしい半生でしたね。沢山の成果もあげられて羨ましい限りです。7日のご講義にはぜひ出席させてください。
 唱歌[故郷]の生態学も面白く拝読しました。我々の年代にはまさに頭にこびりついている記憶と重なっており大変興味深い内容でした。人の文化・社会と自然・生態系が深くかかわって変遷していることを再認識します。
 我が家近くを流れる“野川”(国分寺崖線下)の茅場がなくなりギンイチモンジセセリやツマグロキチョウなどの普通種が絶滅してしまった一方でカワセミ、鯉などがしぶとく生き残り、新たにアライグマなどが繁殖している実態と重なります。そういえば私が長く通勤した会社が日本橋茅場町近くだったこともあり「茅場」のかかわる江戸の歴史を感じました。
 私も第一三共退社後暫く関わっていたドイツの製薬会社の顧問をこの3月末で完全リタイアします。時間があればたまにはお付き合いください。

追伸 この2月に出かけたマレーシア中部山中で撮った野生アカエリトリバネアゲハとモリノオナガシジミの写真を添付します。


アカエリトリバネアゲハ:Trogonoptera brookiana brookiana(マレーシア中部の町Tapahから20マイル程東の山中にて撮影), マレーシアの国蝶。昔欧州の探検家がこのチョウをニューギニアで初めて見たとき(鳥と間違えて?)銃で撃ち落としたというエピソードが有名です。今は国際的に保護蝶扱いで、野生のトリバネをみるという夢がやっとかないました。


ポンピング(吸排水)するアカエリトリバネアゲハ


モリノオナガシジミ:Cheritra freja(マレーシア・ランカウイ島Dataiにて), 英名 Common Imperial と呼ばれる妖精のような蝶です。わりと普通種と思っていましたが今回は一週間以上マレーシアに居てわずかに一頭だけ熱帯雨林の中で出会っただけでした。

 このところ蝶の写真撮りにはまっています。近郊にも平地性ゼフィルス六種などが生き延びています。モンゴルのParnassius情報も知りたいです。

追記:ギンイチモンジセセリ Leptalina unicolar 昭和40年代までは多摩川/野川の河原に多数生息していたが食草のススキ、チガヤが減少して今は壊滅状態。
ツマグロキチョウ Eurema laeta betheseba: 同じく都内を含めてどこにでも産していたが、全国的な河川改修で食草カワラケツメイが帰化植物にとってかわられたことから今は絶滅危惧種に指定されている。私の好きな懐かしい蝶なので今年はわずかに残る生息地・鬼怒川にでかける予定です。

高槻の註:ゼフィルスというのはミドリシジミの仲間で、樹上性でオスの翅がメタリックに輝く蝶。Parnassiusというのはアゲハチョウ科の属で、ウスバシロチョウなどに近い。アポロ蝶と呼ばれる。橋爪さんは東北大学理学部生物学科の1年生のときから昆虫好き、海外旅行好きで、仲良くしていました。ご覧のように写真の腕前も達者です。

総合芸術のような

2015-03-02 21:52:51 | 15
内山 隆(千葉経済大学)
高槻成紀 様

 先日は、私のこれまでの人生を固めるための一日半になりました。多くの方と会い、話すことができました。皆さんが互いの人生を確認しあえたのだと思います。
高槻さんと過ごすことのできた6年だけではなく、さらに高槻さんが接してこられた数十年に及ぶ人間関係の中に入れていただけたことに感謝いたします。
 最終講義は、総合芸術のような文武両道の才が形になったようでした。自分の興味から発した核が、場を得て時間とともに形を整え、いくつもの枝葉を広げ花をつけ、その花の核には、起点につながる「回帰」があった。というふうに解釈しています。
 いまいる千葉では、東北大学時代の原慶太郎さんや原正利さん、東京に戻られた辻村さんにも支えられております。今回は、鈴木和男君の力に頼りましたが、富田さんとも宿泊先で大いに話ができ、普段の希薄な人間関係を一気に埋めてくれるようでした。時や場を共有できた東北大学の時代は、過去になっていませんでした。改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。



内山さんは私が東北大学の院生時代に大学院に入ってきて花粉分析の専門家になられました。分野は違いますがよく議論をし、野外調査にもいっしょに行きました。(高槻)


最終講義と仲間集め

2015-03-02 21:46:45 | 15
鈴木和男(田辺市)
高槻様
 最終講義は念入りに構成されていて、中身の濃い、聞き手を引きつける90分に感じました、話がきれいにまとめられていて、最終講義を聞くと、高槻さんがまったく無駄のない、ロスの無い研究生活を過ごしたかの印象すら受けました(失敗や遠回りされたこともあったと思いますが)。話が上手いなあ、脱帽です。 
 今回、南さんから最終講義と記念パーティの連絡をいただき、私が連絡係をさせてもらいました。何人もの方にお手伝いいただき、7日のことをできる限り広範囲にお知らせをしたつもりです。お知らせが漏れた方も多数いらっしゃるかと思いますが、どうかご容赦ください。あれだけ多くの懐かしい顔に再会できましたこと、改めて高槻さんに感謝です。

鈴木さんは私が院生のときに研究室に入ってきて、若手助手のときにいっしょに野外調査や分析をしました。最終講義でも金華山のシカの大量死のときにいっしょに回収した人として紹介しました。性格はまったく違うのに弥次喜多コンビでアメリカ、中国などいっしょに行きました。ザンビアでカバの調査もしました。現在は和歌山でアライグマの研究をしています。今回は東北大の旧友集めて大活躍してくれました。(高槻)


来てもらってよかった

2015-03-02 21:43:29 | 15
政岡俊夫(前麻布大学学長)
高槻先生

 ご苦労様でした。先生を本学に迎え入れ本当に良かったと、最終講義を拝聴いたししみじみ感じておりました。
 動植物のつながりを初対面の淵野辺の居酒屋「散歩道」でご教唆いただき、食物連鎖をリンク(環)にして以来、本学の教育の理念にできたことや、モンゴルの複数の機関との協定、何よりも獣医学部棟の展示が充実したことなど、本当にありがとうございました。
 最終講義当日はご挨拶も致さず失礼をいたしましたが、先生をご紹介くださった林良博先生に久しぶりにお目にかかることもでき、小生にとりましては有意義な最終講義で感謝いたしております。
 いのち博物館開館に向けて今後ともどうかよろしくお願いいたします。

政岡先生にはたいへんお世話になりました。今年の夏に「動物の生・命(いのち)」(仮題)を出版予定で、政岡先生には「まえがき」をお願いしました。(高槻)