観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

いきものの記録装置としてのいきもの好き

2015-03-01 07:30:18 | 15
平成22年度修士修了 立脇隆文

「今日、初めてハンミョウみた!」
「緑、青、赤。すごくキラキラしてきれいなのに、顔がすごく怖かった」


ハンミョウ 筆者撮影

「のどの赤い大きな2匹のトカゲが、崖の上から噛みつきあって落ちてきた!」
「トカゲも子孫を残すために必死なんだ」


噛みつきあうトカゲ 筆者撮影

 いきものを見つけること。いきもののおもしろい生態を見つけること。いきものが好きな人にとって、とても幸せなことであり、やめられない楽しみである。
 いきものが好きな人は、いきものを見るために、遠征したり、一日中さがし続けたり、双眼鏡を使ったりとさまざまなことをしている。それでも直接観察の難しい動物については、自動撮影カメラを使うことがある。私たちは自動撮影カメラの写真をとおして、普段なかなか見ることのできない動物たちの素顔やおもしろい生態を見つけようとしている。
 めずらしいいきものや、おもしろい生態を見つけると、ついつい自慢したくなる。いきもの自慢は会話で話されるだけにとどまらず、本や文集、インターネット上へも発信される。中でもソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は投稿への制約が少なく、読者からの反応もわかりやすいことから、本や文集と比べ多くの投稿が寄せられている。たとえば、フェイスブック内のグループのひとつには毎日たくさんのいきものの写真の投稿がある。ある日を例にとれば、ニホンザルが道路わきの農地で落穂ひろいをしている写真、コミミズクが住宅地のすぐそばで空中戦をしている写真、ミヤマシジミがミミズに口吻を伸ばしている写真などである。場所や時間を問わず気の合う仲間と気軽に交流できる仕組みが、SNSにいきものの投稿を集めている。
 私は自動撮影カメラとSNSへの写真の投稿はよく似ていると思う。自動撮影カメラの写真はパソコンなどに保管され、夜行性で直接観察するのが難しい動物が観察される。一方、いきもの好きがめずしい動物やおもしろい行動を見つけると、カメラを構え、写真を撮る。撮影された写真は、SNSに投稿され蓄積される。SNSへの投稿を見ることで、私たちは時間的・経済的に直接観察するのが難しい、離れた地域の様々な種類のいきものを観察する。少しひいた視点から見れば、今や私たち自身も一種の自動撮影装置のようなものである。SNSをはじめとするインターネット上にあふれる観察記録の観察によって、間接的にではあるが、多くのいきもの分布や生態についての知識をえることができる。

 高槻先生のブログである「自然日誌 たかつき」には先生の生活の記録とともに、いきものの記録が詳細に記されています。その更新履歴をみると2007年から現在までほとんど毎日更新されており、投稿数は1000をとうに越えています。この膨大な観察記録は、いつの日かいきものの重要な記録になるのではないかと思います。先生はこれからもいきものを観察し記録し続けることと思いますが、私も少しずつでも観察記録を残していこうと思います。


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