観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

私を変えた6年間

2013-03-13 09:30:48 | 13.3
修士2年 大津綾乃

 麻布大学に入学し、まだ室生でなかったときから野生動物学研究室の活動に参加し、入室して卒業までの6年間の活動を振り返ると、ここでしか、この時にしかできなかったことをたくさん経験させていただいたな、と思います。
研究室での活動から得たものは多くありますが、その中でも「人と協力してひとつのことをやり遂げる」ということは私の中でとても大きな軸になっています。1年~3年までの金華山調査、大学祭、学会運営などをこなしていく中で、室生や外部の方々と協力して作り上げることがどれだけ大変で、どれだけおもしろく、やり遂げた後どれだけの達成感が感じられるのかということを学びました。1人でできることは限られているけども、仲間がいればできることがいっぱいあると気付けたことで、とても気持ちが楽になり、少しくらい大変でもどっしりと構えていられたような気もします。また、このことに気付けたのは、とくに同期の存在が大きかったとも思います。研究室の同期メンバーは総じて人の気持ちを考えて行動するようなタイプの人が多く、気の利かない私に、行動や言動で相手の気持ちになって考え動くことを教えてくれました。何より皆といるととても楽しくて、本当に毎日とても充実した生活を送っていたな、と思います。
もうひとつ、研究のためにモンゴルへ調査に行ったことも私にとって大きな出来事でした。現地での調査は慣れない部分もありましたが、新しいことおもしろいことに溢れていて、大変だったけれど、それ以上に実りある、有意義な時間でした。また、調査はもちろんのこと、モンゴルの方々との交流は本当に素晴らしいものでした。モンゴルの方は皆親切で、人と人、人と自然の距離が、日本では考えられないほど近く、モンゴルにいた時にはその距離感に少しだけ仲間入りさせてもらったような感じがします。一緒にご飯の支度をしたり、本を片手にカタコトで会話をしたり、調査を手伝ってもらったり・・・。会話の中でモンゴルや日本について話しあったりもしました。
外国の言語や文化を学ぶのは楽しいですが、今までは教科書や本・テレビなどを通じて学んでいたこともあり、どこかぼんやりとした知識のままでいました。しかし実際にその国に行って、その国の人と話すことで新しく知ったことは、より鮮明な記憶となって心に残っていたのでした。実際に体験することは何かを通してみるのに比べてこんなにも違うものなのか!と、実際に体験することがとても大切だと気付かせてくれました。
また、日本以外の文化に触れたことで、一層日本に対する関心を持ちました。日本について聞かれたとき、自分の国であるのにわからないことがいくつかあり、少し恥ずかしく思いました。違う文化に触れることは他国について知るということだけではなくて、自分の住んでいる国がどんな国なのか比較ができ、より深く知ることができるのだと思います。もっと日本について知りたいという欲がでてきたのもこの経験からでした。
室生時代のこれらの経験は今の私に大きな影響を与えました。もちろんそれだけでなく、こんなに鈍くさい私を支えて下さった先生、先輩、同期、後輩方には、本当に、本当に感謝しています。この研究室にいなければ、周りの人と関わらなければ、きっとこんなに素晴らしい思い出は一生得られなかっただろうな、と思うと、私は本当に周りに恵まれて良い人生を歩んで来られたのだと、とてもしあわせだなと実感しています。
私はもう卒業してしまいましたが、研究室から離れることにまだ実感が湧いていません。なんだか間違えてまた研究室にきてしまうような、そんな気もしています。
最後に、6年間過ごしていた研究室なので愛着も強いのですが、実は私たちの学年が抜けたあとの研究室はどうなるのかなと、心配というかおせっかいのような気持ちが少しありました。初めは勝手にそわそわとしていたのですが、私たちがいなくなっても研究室は活発で、さらに進化していくと確信できるほど、3年生や院生の姿がたくましくなっていくのを感じ、とても嬉しく、また少し寂しいような気持ちになりました。よりパワフルになった研究室を見に、ぜひ今度お邪魔したいと思っていますので、皆様、その時にはどうぞよろしくお願いします!


2009年8月 モンゴルにて

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