観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

シカの行動調査に参加して

2014-10-23 12:05:19 | 14
3年 山本楓
 10月1日から10日まで宮城県にある金華山にシカの行動観察に行きました。今まで3月、7月、8月にも金華山に行きましたが、秋のシカは全然違うことに驚きました。オスは袋角もむけて冬毛に変わり、体に泥を塗って黒くなっていました。泥には自分の尿も混ぜているので独特なにおいがしました。そんなにおいが漂っている場所でシカの行動調査ができると思うとわくわくしました。
 調査は人馴れしたシカがいる神社の境内一帯で、調査の前半はシカがどこにいるかを記録するために、1時間ごとにシカの市を地図上にプロットしました。境内はトビヒノ、タロウ、中央、三角、食堂前など、名前がつけられています。オスジカは個体識別されていて、名前がついているのですが、角や耳の特徴と名前がなかなか一致せず、何回も識別ブックや野帳を見返しながら覚えました。角も一頭一頭個性的で、見ていてすごく楽しかったです。
 調査の後半は角切り行事が終わったので、シカが角切場から出されました。そのため前半とは様子がガラッと変わりました。
 今まで中央にいたBOSSというシカの姿が見えなくなり、そこにオクニヌがなわばりを取りました。私はオクニヌの個体追跡をして記録を取りました。個体追跡は8月に練習をしたので、今回は本格的に記録することになりました。秋ですから、繁殖期なので、繁殖関連の行動にはとくに注目しました。この時期のオスの行動はこれまでとまったく違いました。観察を始めて何日か経ったときに、ついにオクニヌの交尾の瞬間を見ることができました。野生動物の行動を詳しく観察できるというだけで感激ですが、「オスがメスと交尾したのを見た」というのではなく、「自分が知っているオクニヌが交尾した」という観察ができたことは、意味が全然違うと思いました。
 金華山では長年シカの研究がされていて個体識別もされているため、このように個体をみる研究をすることができます。この金華山での調査の歴史に私も関わることができてすごく感慨深く思いました。


角を突き合わせて戦うオスジカ

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